若気の至り〈海堂薫〉
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「それ、でも、話しかけて良ければ…」
海堂は息を呑んだ。
可愛いというのはあまりにも自分には不似合いな言葉だが、表すならこういうときに使う言葉だろうかと思った。
「構わねえよ」
「ほんと?」
顔を輝かせた。それがまた胸を苦く程よく締め付ける。
「…俺もお前と話したいと思ってたよ」
ボソボソとした声だったが、少女にはしっかりと聞き取れたらしい。海堂は思い切り顔を背けながら、なんとかそれだけ言って黙りこくった。
「…え、うそ」
「…」
「…ありがとう」
「礼を言われる話じゃねえ」
お互いに言葉を振り絞りながら、お互いの言葉に驚きながら。
随分昔、入学当初、ほんの少しだけ話した同級生と。
まさか、まさかその時その一瞬程度の時のことを今まで覚えていたのが、自分だけではなかったとは。
お互いに信じられないという顔をして、火照りをおさえようと頭を悩ませながら、関わり合った最初の日。
それがこんなに遅くなるとは。或いは、そんな日がやってくるとは。
不思議に思いながら、嬉しく思いながら、1年の隔たりが少しずつ確かに埋まっていくのを、海堂は肌で感じてまた叫び出したい衝動に駆られるのだった。
海堂は息を呑んだ。
可愛いというのはあまりにも自分には不似合いな言葉だが、表すならこういうときに使う言葉だろうかと思った。
「構わねえよ」
「ほんと?」
顔を輝かせた。それがまた胸を苦く程よく締め付ける。
「…俺もお前と話したいと思ってたよ」
ボソボソとした声だったが、少女にはしっかりと聞き取れたらしい。海堂は思い切り顔を背けながら、なんとかそれだけ言って黙りこくった。
「…え、うそ」
「…」
「…ありがとう」
「礼を言われる話じゃねえ」
お互いに言葉を振り絞りながら、お互いの言葉に驚きながら。
随分昔、入学当初、ほんの少しだけ話した同級生と。
まさか、まさかその時その一瞬程度の時のことを今まで覚えていたのが、自分だけではなかったとは。
お互いに信じられないという顔をして、火照りをおさえようと頭を悩ませながら、関わり合った最初の日。
それがこんなに遅くなるとは。或いは、そんな日がやってくるとは。
不思議に思いながら、嬉しく思いながら、1年の隔たりが少しずつ確かに埋まっていくのを、海堂は肌で感じてまた叫び出したい衝動に駆られるのだった。
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