若気の至り〈海堂薫〉
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海堂はズカズカと彼女の目前まで歩み寄った。
取り敢えず、目は合った。
一応、これで会話も出来る。
しかし。
「…」
「…」
「…あ、あの…」
「あ?」
半ば無計画に引き止めてしまったので、海堂は傍から見れば恐ろしく眉をひそめた状態で、だんまりとしてしまった。
「…あー…お前、その…」
「…うん」
相槌を打たれるとその先を話さなくてはならない。
自分で会話を始めておいて、海堂は既に少し苦しくなってきていた。
「…俺が気になるなら堂々と話しかけろ」
「えっ…あ、うん、ごめんね?」
彼女は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに勢い良く謝罪した。
「あの、本当…冷やかしとか、そういうんじゃなくて…!」
「別に冷やかしだとは思ってねえ」
「でも影から見てたら嫌だったでしょ?」
「嫌じゃねえよ」
彼女は今度こそ本当に固まった。
「…え」
しかしそれより海堂の方が混乱していた。
心の中で絶叫している。
自分は今何といったか?何故そんなことを勢いで言ってしまったのか?この鳩が豆鉄砲をくらったような、目の前の少女の顔は何だ?
「…海堂くん」
「…ちょっと待て」
彼女は素直に待った。
「…海堂くん、嫌じゃないって」
「待て!」
「あっごめん!」
「謝るんじゃねえ!」
「えっ、え!?」
海堂は喋れば喋るほど自分が混乱していることを自覚していた。
しかしどうしたらいいのか全くわからない。というか、どうしたらいいとかそういうことを考えられるほど頭が冷えてくれない。
「…口が滑った」
「じゃあやっぱり嫌だったよね、ごめん」
「だから嫌だったんじゃねーんだよ…」
「えぇ…?」
海堂は頭を抱えた。いつの間にか耳まで赤くなってしまっている。
情けねえ、と思いながら、もうどうにでもなれ、と半ば諦めに似た気持ちで腹を括った。
「…いいか、嫌だったんじゃねえ」
「…うん」
「でもお前が目を逸らすから俺は誰が見てるのか分からねえんだよ、いつも」
「…うん」
「だから…用があるなら、普通に声をかけろ」
「…えっとね」
海堂はぎろりと目線を上げた。しかし彼女はそれではたじろかない。普段から海堂を見つめるくらいだから、どこか見慣れてしまっている可能性がある。
「用は、ないの」
「…は?」
「何か話したいことがあるんじゃなくて、また話してみたいな、っていうか」
その、と口ごもりながら、彼女もまたさっと顔を赤らめた。海堂はそれを見て少しだけ冷静になる。同時に、何だこれは、と胸が軽く締め付けられたような心地にもなる。
取り敢えず、目は合った。
一応、これで会話も出来る。
しかし。
「…」
「…」
「…あ、あの…」
「あ?」
半ば無計画に引き止めてしまったので、海堂は傍から見れば恐ろしく眉をひそめた状態で、だんまりとしてしまった。
「…あー…お前、その…」
「…うん」
相槌を打たれるとその先を話さなくてはならない。
自分で会話を始めておいて、海堂は既に少し苦しくなってきていた。
「…俺が気になるなら堂々と話しかけろ」
「えっ…あ、うん、ごめんね?」
彼女は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに勢い良く謝罪した。
「あの、本当…冷やかしとか、そういうんじゃなくて…!」
「別に冷やかしだとは思ってねえ」
「でも影から見てたら嫌だったでしょ?」
「嫌じゃねえよ」
彼女は今度こそ本当に固まった。
「…え」
しかしそれより海堂の方が混乱していた。
心の中で絶叫している。
自分は今何といったか?何故そんなことを勢いで言ってしまったのか?この鳩が豆鉄砲をくらったような、目の前の少女の顔は何だ?
「…海堂くん」
「…ちょっと待て」
彼女は素直に待った。
「…海堂くん、嫌じゃないって」
「待て!」
「あっごめん!」
「謝るんじゃねえ!」
「えっ、え!?」
海堂は喋れば喋るほど自分が混乱していることを自覚していた。
しかしどうしたらいいのか全くわからない。というか、どうしたらいいとかそういうことを考えられるほど頭が冷えてくれない。
「…口が滑った」
「じゃあやっぱり嫌だったよね、ごめん」
「だから嫌だったんじゃねーんだよ…」
「えぇ…?」
海堂は頭を抱えた。いつの間にか耳まで赤くなってしまっている。
情けねえ、と思いながら、もうどうにでもなれ、と半ば諦めに似た気持ちで腹を括った。
「…いいか、嫌だったんじゃねえ」
「…うん」
「でもお前が目を逸らすから俺は誰が見てるのか分からねえんだよ、いつも」
「…うん」
「だから…用があるなら、普通に声をかけろ」
「…えっとね」
海堂はぎろりと目線を上げた。しかし彼女はそれではたじろかない。普段から海堂を見つめるくらいだから、どこか見慣れてしまっている可能性がある。
「用は、ないの」
「…は?」
「何か話したいことがあるんじゃなくて、また話してみたいな、っていうか」
その、と口ごもりながら、彼女もまたさっと顔を赤らめた。海堂はそれを見て少しだけ冷静になる。同時に、何だこれは、と胸が軽く締め付けられたような心地にもなる。