謎の転校生 運命の出逢い




城之内「・・・・・・」

杏子「やっぱりあんたの負けだったわね、城之内」

城之内「う、うるせぇ!」

ゲームセンターにて、シューティングゲームで対戦をした菜織と城之内

結果としては、菜織の圧勝だった

パーフェクトクリアを叩き出す菜織相手に、城之内が勝てるわけもなかった

パーフェクトクリアは、全ての標的に対して、表示されている弱点となる的のど真ん中に命中させる事で出される評価だ

そう、菜織は全ての的に対してど真ん中を撃ち抜いた

これには遊戯達も驚いた

この結果、昼食は城之内の奢りが決定した

そして、城之内が負けたショックで沈んでいる冒頭に戻る

城之内「全弾ど真ん中とか・・・どんだけやり込んでんだよ・・・」

菜織「いや、あのゲーム機は初めてだったんだけど・・・」

城之内「ウソだろ!?」

遊戯「あ、だからゲーム機をじっと見てたんだね?」

菜織「前住んでた家の近所のゲーセンにあったのと、少し機械が違ったから」

本田「な?楽勝だったろ?」

菜織「うん」

城之内「即答すんなよ・・・!」

杏子「城之内はデュエルも弱いもんね」

菜織「・・・デュエルって、デュエルモンスターズ?」

遊戯「松田さんもやってるの?今うちの学校でも流行ってるんだよ!」

菜織「カードは2枚だけ持ってるけど・・・やってない」

城之内「なんで2枚だけなんだよ?」

菜織「・・・・・・大切な人からもらった、大切な物だから」

遊戯「え?」

菜織「・・・・・・まあ、お守りみたいな物かな。私にとっては」

遊戯「松田さんにとって、とても大切なカードなんだね」

菜織「まあ・・・」

城之内「松田もやってみねぇか?デュエル」

菜織「やらない」

杏子「どうして?」

菜織「ルールが面倒そうだから」

遊戯「あはは・・・確かに。ちょっと複雑なところはあるかも」

菜織「・・・・・・武藤くん、だっけ」

遊戯「あ、うん。なに?」

菜織「それ、どこで手に入れたの?」

言いながら菜織が指差したのは、遊戯が首から下げている千年パズルだ

遊戯「ああ、これ?これは千年パズルっていうんだ。ボクん家ゲーム屋なんだけど、その棚の隅で埃被ってるの見つけて、もらったんだ。完成させるのに8年もかかっちゃったけど」

菜織「・・・・・・」

遊戯「松田さん?」

菜織「・・・なんでもない、ありがとう」

城之内「なぁ松田ぁ?やろうぜ、デュエル!」

菜織「やらない」

遊戯「・・・・・・」

杏子「どうしたの、遊戯?」

遊戯「あ、ううん。なんでもない」

しつこくデュエルに誘う城之内に、ため息を吐いて呆れて見せる菜織

そんな彼女を、遊戯はじっと見つめていた

だがこの時、誰も気付いていなかった

菜織を見つめる遊戯の雰囲気が、いつの間にか変わっている事に--

遊戯《松田菜織・・・・・・彼女から感じるこれは・・・懐かしさか・・・?なぜ・・・?》

なぜ、彼女を見て懐かしさを感じるのか--

遊戯、いや・・・『遊戯』にはそれが、なぜなのかがわからなかった

あの日--

武藤遊戯が千年パズルを完成させ、目覚めたあの日から・・・それは一度も感じた事のない感覚だった

どこか懐かしい

だが“何かが違う”とはっきり言える・・・この奇妙な感覚

なぜ懐かしく感じるのか

何を違うと感じているのか

今の『遊戯』には、それがわからなかった

ふと、菜織の左手首で何かが煌めいた

なんとなく、反射的にそちらに視線を向ける

そこにあったのは、金色の腕輪--所謂、ブレスレットという物だ

彼女だって高校生の女の子だ、アクセサリーをつけてお洒落くらいするだろう

遊戯『ッ!?』

普段なら気にも留めなかっただろう

そのブレスレットの1ヶ所にある、小さいが見逃せない装飾がなければ・・・

千年パズルの中央にも装飾されている、ウジャト眼をそのブレスレットに見つけなければ--

遊戯『・・・・・・オレも聞いていいか?』

菜織「え?あ・・・ん?え?なに?」

声をかけられ、初めて遊戯の雰囲気が変わっている事に気付く菜織

少し困惑したが、とりあえず彼の質問に答えようと返事をした

遊戯『お前のそれ・・・ブレスレットはどこで手に入れた?』

菜織「・・・・・・わからない」

遊戯『なに?』

菜織「お母さんがもう持ってたから。私はそれをもらっただけ。どこで手に入れたのかは聞いてないから、私も知らない」

遊戯『なら母親に』

菜織「悪いけど無理。もう聞けない・・・聞くどころか、話す事すらできないけど」

遊戯『え?』

菜織「・・・」

『遊戯』には俯いた菜織が、ひどく寂しそうに見えた

“聞けない”、“話せない”--

何か事情があると察するには十分だった

遊戯『・・・悪い』

菜織「なんで謝るの?何も知らないんだから仕方ないじゃん。だから謝る必要、なくない?」

遊戯『それは違う。オレがお前にとって不快な事をしたのは確かだ。だから謝らせて欲しい』

菜織「・・・・・・そう・・・でも別に気にしてないから」

遊戯『・・・そうか』

これが、菜織と『遊戯』が交わした、初めての会話だった--


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