謎の転校生 運命の出逢い




海馬瀬人を倒した、武藤遊戯

それから数日後

彼らのクラスに転校生がやって来た

菜織「松田菜織です、よろしくお願いします」

無表情とも言える涼しい顔をし、短い挨拶をした松田菜織はぺこりと頭を下げる

腰まである長い髪は、綺麗な赤みがかった茶色をしている

エメラルドの瞳は宝石を思わせる美しさがある

そんな彼女は、遊戯の左斜め後ろの席になった

遊戯がちらりと後ろを盗み見ると、授業中にも関わらず、菜織はつまらなさそうに窓に視線を向けていた

その物静かな雰囲気のせいか、話題の中心になりがちな転校生である彼女に、話しかけるクラスメイトはいなかった

遊戯もそのひとりだ

話しかけたい気はするが、話しかけられない

そんな感じだ

菜織自身、クラスの誰かと関わろうとする様子がない

寂しい子--そんな印象だ

そうして数日が過ぎたある日

休みの日に城之内克也、本田ヒロト、真崎杏子と出かけていた遊戯

公園を通りかかると、ベンチに座る菜織の姿を見かけた

手元で指を忙しなく動かしている

どうやらゲーム機で遊んでいるようだ

城之内「どうした、遊戯?」

遊戯「え?あ、うん。あれ・・・」

城之内「あ?・・・って、松田じゃねぇか。転校生の」

本田「何やってんだ、あいつ?」

杏子「あれって、ゲーム機?あの子もゲームやるのね」

遊戯「うん」

その事が妙に嬉しくなり、遊戯は笑顔を浮かべて公園に入った

ゲームに夢中なのか、菜織は遊戯に気付いていない

遊戯「ねぇ、松田さん」

菜織「・・・・・・」

遊戯「・・・松田さん?」

カチカチと、ボタンを押す音が忙しなく鳴る

城之内「おい、松田!」

菜織「あ」

見ていた城之内が我慢できず、菜織の手からゲーム機を取り上げた

やはり夢中になっていたらしく、顔をあげて目の前にいる遊戯と城之内を見ると、きょとんとした顔をする

菜織「・・・だれ?」

城之内「だれって・・・城之内克也だ、お前のクラスメイトだよ」

菜織「・・・・・・あぁ・・・いたような、いなかったような・・・」

城之内「覚えてねぇのかよ!」

遊戯「じゃあ、ボクの事も覚えてないよね?ボクは武藤遊戯、よろしく」

本田「俺は本田ヒロトだ」

杏子「私は杏子、真崎杏子よ。よろしくね!」

菜織「・・・・・・名前は覚えておく」

城之内「名前は、って・・・」

菜織「・・・ねぇ、いい加減ゲーム返して。途中やりだから」

城之内「え?ああ、悪ぃ」

思っていたよりも大人しくゲーム機を返す城之内から受け取ると、途中やりだったそのゲームのプレイを続行する

菜織「・・・まだ何か用?」

顔はゲーム画面に向けたまま、目の前に立つ遊戯と城之内に声をかける

すると横から、杏子が声をかけてきた

杏子「ねぇ、これからみんなで遊びに行くんだけど。松田さんも一緒に行こうよ」

菜織「・・・なぜ?」

杏子「なぜって・・・」

菜織「あんた達と遊びに行く理由がない」

言いながらもプレイを続けていると、クリアの文字が画面に表示された

一息吐いた菜織はベンチの背もたれに体を預けると、再び顔をあげて彼らを見上げる

菜織「あんた達は友達なんでしょうけど、私とあんた達は違う。そうでしょう?」

杏子「そ、それは・・・」

遊戯「じゃあさ、これから友達になろうよ!」

菜織「は・・・?」

遊戯「そういえば松田さん、ゲーム得意なの?」

菜織「それなりにはやるけど」

遊戯「今からみんなでゲーセンに行くんだ。松田さんもどうかな?松田さんはどんなゲームが得意なの?」

菜織「・・・・・・もっと内気かと思ってたけど、あんた意外と食いつくのね・・・」

遊戯「あ、ごめんね。ボクもゲーム好きだから、なんだか嬉しくて」

菜織「・・・・・・シューティング」

遊戯「え?」

菜織「シューティングは好きよ。基本的にひとりプレイばっかだけど。一緒にゲームする人なんていなかったから」

遊戯「シューティングかぁ・・・かっこいいね!」

城之内「オレと勝負しようぜ!」

杏子「弱いくせに?」

城之内「なんだとぉ!?」

遊戯「まあまあ!」

本田「松田、城之内が相手なら楽勝だと思うぞ」

城之内「てめっ、本田ぁ!」

菜織「行く事は決定なの・・・?」

遊戯「やっぱり嫌、だったかな?」

菜織「・・・・・・ハァ・・・」

ため息を吐いてから立ち上がると、公園の出入り口に向かう菜緒

ぴたりと足を止めると、振り返らないまま口を開いた

菜織「・・・お昼まだなの。私が勝ったら奢ってよ。それなら付き合う」

城之内「よっしゃあ!じゃあオレが勝ったらお前が奢れよな」

菜織「いいカモだと思ったから提案したの。負ける可能性があるならそもそもこんな提案しない」

城之内「な、なにぃ!?」


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