序章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
茉莉「仗助。仗助!起きてんの!?」
仗助「っせぇな・・・起きてるよ、起きてる」
茉莉「なによ、人がせっかく起こしに来てやってんのに」
仗助「誰が頼んだんだよ」
茉莉「朋子さん」
仗助「余計な事頼みやがって・・・」
茉莉「あんたバカ?私が言うのもあれだけど、朋子さんに物理的に起こされるのと私に怒鳴られて起こされるの、どっちがいいわけ?」
仗助「・・・怒鳴られて起こされる方がマシだな」
茉莉「でしょ?ほら、朝ご飯早く食べて来なよ。入学初日だってのに、遅刻しちゃうじゃない。あんた、この私に遅刻させる気?」
仗助「だったら先に行けばいいだろ?」
茉莉「待っててやる幼馴染に感謝なさい」
仗助「するかよ」
とかなんとか、朝からこんな感じで始まる2人
だがこれはいつもの事だった
今日からぶどうヶ丘高校に通う、東方仗助と姫神茉莉
同い年で腐れ縁の幼馴染であり、近所付き合いもある2人だ
仗助「お前、まだそれ着けてたのかよ?」
茉莉「そんなの、私の勝手でしょ」
仗助「そりゃそうだけどよ・・・」
彼が言っているのは、ツーサイドアップにしている茉莉の紅いリボンの事
幼い頃からずっと着けているのだ
茉莉「それよりさ、どう?私の制服姿!似合う?かわいい?」
仗助「ふつー」
茉莉「ぶちのめされたい?」
仗助「あー、はいはい。カワイイ、カワイイ」
茉莉「・・・」
仗助「無言で拳握るのやめろって!怖えんだよ、お前がやると!お?」
茉莉「ん?」
駅まで来ると、ある一点を見て仗助が止まった
釣られて茉莉も止まると、彼の視線の先にいたのは
茉莉「亀?あんたダメじゃなかった?」
仗助「・・・この際、慣らしとくか」
茉莉「はぁ?なんで?なんでよりによって今?あんたバカなの?ねぇ、バカでしょあんた」
仗助「バカバカ言うなっての」
そう言ってしゃがんだ仗助に、茉莉は呆れたため息を吐く
少しだけ付き合ってやるか、と辺りを見回す
茉莉〈うわ、あの白コートの人、背高っ。仗助よりも高いかも〉
「何しとんじゃ、貴様!」
「なんのつもりじゃあ!」
茉莉「ん?」
その声に視線を戻すと、数人の不良グループがいた
制服からして、ぶどうヶ丘高校の生徒だ
茉莉〈うわぁ、面倒な事に・・・〉
仗助「何って、その・・・この池の亀が冬眠から覚めたみたいなんで、見てたんです。亀ってちょっと苦手なもんで。触るのも恐ろしいもんで。その怖さ、克服しようかなぁと思って・・・」
「んなこと聞いてんじゃねぇ!」
「立て、ボケ!」
立ち上がった仗助はそこそこ身長が高く、茉莉は自然と見上げる事になる
「ほほう。1年坊にしてはタッパあるっちゃ。けどな、そんな生意気な格好する前にまずは、わしらに挨拶がいるんじゃい!」
掴んだ亀を、仗助に向かって突き出すリーダーらしき不良
茉莉は黙ってそれを見ている
仗助「ちょ、ちょっと爬虫類って苦手で・・・怖いです」
「ウダラ、何ニヤついてんじゃ!」
そう怒鳴り、仗助の頬を叩いた
口の中を切ったのか、血が出ている
それを見た茉莉が鋭く目を細めるのを、仗助は見逃さなかった
仗助「ごめんなさい。知りませんでした、先輩」
「知りませんでしたと言って、最後に見かけたのが病院だったって奴は何人もいるぜ。てめぇもこの亀のように・・・してやろうか、コラ!」
投げ飛ばされた亀は柱に当たり、血が出ていた
甲羅が砕けてしまうほど、それは強かったようだ
「今日のところは勘弁してやる。その学ランとボンタンを、脱いで置いてきな」
「それと銭もだ」
仗助「はい、すみませんでした」
「おい、腰抜け。貴様の名前、聞いとくか」
仗助「はい。1年B組、東方仗助です」
茉莉「・・・・・・さっきから黙って聞いてれば」
仗助「ん?」
茉莉「なんなのよ、あんた達!先輩だからって威張ってんじゃないわよ!だいたい、亀になんて事してくれてんのよ!死んだらどうするつもり!?死んだ命はもう二度と戻らない!そんな事もわからないの?先輩のくせに!」
「んだと、このアマ!」
仗助「お、おい」
茉莉「あんたもあんたよ!なに大人しくしてんのよ!」
仗助「お、落ち着けって」
茉莉「あんたバカ!?これで落ち着いてられるかっての!」
仗助〈マズい・・・茉莉って案外短気なんだよなぁ〉
「生意気言ってんじゃねぇぞ!」
茉莉「あんた達こそ寝ぼけた事してんじゃないわよ!」
仗助「ちょ、ちょっと待て茉莉!」
だが、すでに時遅し
茉莉の回し蹴りが、不良のひとりに当たってしまった
仗助「やっちまった・・・」
「何しやがる、このクソアマ!」
茉莉「なに?やる気?手加減しないわよ」
仗助「まあまあ、お互い落ち着きましょうよ。ね?」
茉莉「仗助は黙ってて!」
「ふざけた事抜かしてんじゃねぇぞ!でねぇと、そのアトムみてぇな頭刈り上げっど!」
茉莉「あ」
彼女の怒りの熱が、一気に冷めた気がした