序章
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「今日から私達が、あなたのママとパパよ」
「家族3人、仲良く暮らそう」
両親が死んで、わたしはここに来た
わたしのお父さんとお母さんは、あの2人だけ
いなくなってしまったのなら、代わりなんていらない
あの2人だけだもん、わたしの家族は・・・
「うっ・・・ひっく・・・」
「だいじょうぶ?」
また、こっそり泣いていた
そんなわたしに声をかけてきたのは、近所に住んでいるらしい男の子
「だぁれ・・・?」
「じょーすけ」
「・・・まつり」
「まつりちゃん、なんで泣いてるの?」
「泣いてないもん!」
「泣いてたよ」
「泣いてないもん!」
喧嘩腰でそう言うわたしに、“じょーすけ”は首を傾げるだけ
なんでわたしが怒っているのか、わかっていないようだった
それもそうだ、本人であるわたしにもわからないんだから
「わたしにかまわないで!」
最悪な出逢いをしたはずなのに、彼はわたしに何度も構ってきた
何度も、何度も
突き放したって、何度も
だから、わたしが諦めた
気付いたら、“じょーすけ”の手を取っていた
茉莉「・・・姫神茉莉」
「え?」
茉莉「え、じゃない!ちゃんと名乗ってなかったから。今更だけど」
仗助「東方仗助。って、本当に今更だな。もう何年経ってるよ?」
茉莉「うるさい!」
なんだかんだで、私達は同級生にして幼馴染、そしてご近所さんという関係でこれまで過ごしてきた
仗助「そういやお前、なんでガキの頃あんな泣いてたんだよ?」
茉莉「・・・今更聞きたいの?」
仗助「気になるんだよ」
茉莉「・・・・・・あの頃は、両親が亡くなってすぐだったから・・・なんか、寂しくて」
仗助「・・・・・・お前でも寂しがるのか?」
茉莉「あんた何気に失礼!」
怒鳴りながら右手で殴ろうとすれば、仗助は「おっと」なんて言いながら容易く掌で受けた
ムカつく
仗助「でもまあ、その様子なら、もう寂しくなんかなさそうだな」
茉莉「どこぞの世話の焼ける腐れ縁の幼馴染がいますからねぇ」
仗助「誰の事だよ」
茉莉「あんた以外に誰がいるの?」
仗助「お前も何気に失礼だろ」
でも、仗助がいてくれるから寂しくないと言うのは、本音だ
本人には絶対に言ってやらないけど
言ったら調子に乗るもん、絶対
茉莉「・・・・・・ねぇ、仗助。変な事、言ってもいい?」
仗助「なんだよ?」
茉莉「・・・・・・勝手にいなくなったら怒るから」
仗助「・・・」
そう言われて、俺はガキの頃を思い出した
こいつとかくれんぼして遊んでた
何気に隠れるのが上手かったこいつを探すのに、みんなが苦戦してやがった
見つかっちまった俺は、茉莉が見つかるのを待ってた
けどちっとも見つからなくて
仕方なくみんなで探して、やっと見つかった時だった
いつも強気でちと男勝りな茉莉が、俺と2人になった途端に顔をくしゃくしゃにした
どうしたのかと慌てた俺に、「じょーすけのバカ!おそい!」とか言いながらわんわん泣き出した
強がっちゃいたが、あの頃の茉莉は長時間ひとりになるのをとにかく嫌がった
独りになるのが怖かったんだろうなと、今ならわかる
だから茉莉のこの言葉も、勝手にいなくなって独りにするなって、そう言われてる気がした
仗助「・・・ああ。約束してやるよ」
茉莉「男に二言はないよ」
仗助「わぁってるよ」
茉莉「約束だからね」
小指を立てて突き出してきた茉莉に、俺は歳を考えろよとか思いながら小指を絡めてやる
指切りってやつだ
それでもまあ、茉莉が笑ってくれんならいいやとか、思っちまったからな
俺より頭が良くて、そこそこ運動神経も良くて、まあこいつはモテる
俺みたいな、見た目が不良みたいな奴と一緒にいてもいいのかってくらいには、優等生な奴だと思ってる
けど茉莉だって、普段は口調が少し荒いし、怒ると怖えし、よく手が出る
いや、手って言うより足だな
それでも俺は、そんな茉莉にも弱さがあるのを知っちまった
だからなのかも知んねぇな
茉莉が笑ってくれるのなら、それを護りてぇとか思っちまうのは
釣り合わねぇなんて事は、とっくにわかってる
それでも、この時のこの約束だけは
何がなんでも絶対に守ってやらねぇと、って
そう思った
特にそう強く思ったのは、あの時だ
これから先、こいつを巻き込むかもしれねぇって考えながらも
突き放す事はしなかった、あの戦いが始まった時・・・
約束も、茉莉も、必ず護ってやる--俺はあの時、そう誓ったんだ
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