序章




明日華「とにかく、花京院くんの幽波紋スタンドが有効だと思うけど」

アヴドゥル「な、なぜ・・・」

明日華「あなたのマジシャンズレッドで、飛行機を爆発させたいんですか?空条くんの幽波紋スタンドだって、そのパワーで機体壁に穴でも開けられたら大惨事で大迷惑。だから私は、静の幽波紋スタンドを持つ花京院くんにお願いするのがいいと思った。それだけ」

花京院「・・・奇遇だな。私もそう言おうと思っていたところです。ハイエロファントグリーンこそ、奴を始末するのに相応しい。とね」

『ヘッヘッヘ。花京院典明か。ディオ様から聞いてよぉく知っているよ。やめろ。自分の幽波紋スタンドが静と知っているなら、俺には挑むまい。貴様のスピードでは、俺を捕らえる事はできん』

花京院「そうかな?エメラルドスプラッシュ!」

クワガタはエメラルドスプラッシュを簡単にかわすが、花京院はそれでも技を出す

『お前な。数打ちゃ当たるという発想だろうが、ちっとも当たらんぞ』

明日華「・・・・・・バカな奴」

承太郎「?」

ハイエロファントグリーンの口元が攻撃され、花京院が吐血して倒れる

それでも明日華は表情を変えず、ただ床に倒れた花京院を見下ろす

『スピードが違うんだよ、スピードが。ビンゴにゃ、のろ過ぎる!そして花京院。次の攻撃で、今度は貴様の幽波紋スタンドの舌に、このタワーニードルを突き刺して引き千切る!』

花京院「エメラルドスプラッシュ!」

『わからぬか!イヤッハッハハハ!』

アヴドゥル「ま、マズい!またエメラルドスプラッシュをかわされている!」

『俺に舌を引き千切られると、狂いもだえるんだぞ。苦しみでなぁ!』

花京院「なに?引き千切られると狂いもだえる?私のハイエロファントグリーンは・・・引き千切ると、狂いもだえるのだ。喜びでな!」

触手のようなそれが、クワガタの体を捕らえた

花京院「すでにシートの中や下に、ハイエロファントの触脚が伸びていたのだ」

明日華「エメラルドスプラッシュは当てるために連発していたんじゃない。そのエリアに追い込むためだって、気付かなかったの?」

ジョセフ「ま、まさか気付いておったのか?」

明日華「普通は気付きます」

クワガタの体が引き千切られると、先程花京院が気絶させたはずの老人が苦しみの声をあげた

花京院「さっきのジジイが本体だったのか。フッ。おぞましい幽波紋スタンドには、おぞましい本体がついているものよ」










花京院「こいつの額には、ディオの肉の芽が埋め込まれていないようだが・・・」

アヴドゥル「タワーオブグレーは元々、旅行者を事故に見せかけて殺し、金品を巻き上げている根っからの悪党幽波紋スタンド。金で雇われ欲に目がくらんで、そこをディオに利用されたんだろうよ」

明日華「・・・あの、ところでさっきから・・・機体が傾いてませんか?」

ジョセフ「お嬢さんもそう思うのか?実はわしもじゃ・・・ま、まさか!?」

駆け出したジョセフは、キャビンアテンダントが止めるのも聞かずに、コックピットに入った

その後ろから来た承太郎に、キャビンアテンダントの2人は乱暴に退けられる

それを受け止めた花京院は、丁寧に彼女達に声をかける

頬を赤く染め、うっとりした様子のキャビンアテンダントの2人

呆然とした様子で見つめるアヴドゥルと、呆れた顔をする明日華

ジョセフ「おぉ、なんてこった!してやられた!」

承太郎「舌を抜かれている。あのクワガタ野郎、すでにパイロット達を殺していたのか」

明日華「退いて」

言いながら割り込んで来た明日華

操縦席に近付くと、計器類に視線を走らせる

明日華「降下してる。オーパイも破壊されてるし・・・墜落するわよ、この飛行機」

承太郎「オーパイってのはなんだ?」

明日華「自動操縦、オートパイロットの略」

直後だった

承太郎達の後ろから、タワーオブグレーの幽波紋スタンド使いが笑いながら姿を現したのは

明日華「!?」

承太郎「なに!?」

「わしは事故と旅の中止を暗示する、塔のカードを持つ幽波紋スタンド!お前らはディオ様の所へは行けん。たとえこの機の墜落から助かったとて、エジプトまでは1万キロ。その間、ディオ様に忠誠を誓った者どもが、四六時中貴様らをつけ狙うのだ!世界中には、お前らの知らん想像を超えた幽波紋スタンドが存在する。ディオ様は幽波紋スタンドを極めるお方。ディオ様は、それらに君臨できる力を持ったお方なのだ。辿り着けるわけがない!貴様ら、エジプトへは決して行けんのだ!だが小娘!」

明日華「!」

「貴様はなんとしても!なんとしてもディオ様が手に入れるのだ!覚悟しておけぇ!」

最期にそう言い残し、タワーオブグレーは絶命した

CA「「ひっ」」

承太郎「・・・」

明日華に顔を向ける承太郎

彼女は頬に冷や汗を流し、座席の背もたれに置いていた手を握り締めている

置いているというより、掴んでいる状態だ

承太郎「・・・さすがプロ中のプロ。悲鳴をあげないのは、鬱陶しくなくてよいぜ。そこで頼むが、このジジイがこの機を、これから海上に不時着させる。他の乗客に救命具着けて、座席ベルト締めさせな」

CA「は、はい!」

承太郎「ジジイ」

ジョセフ「・・・プロペラ機なら経験あるんじゃがのう」

花京院「プロペラ?」

ジョセフ「しかし承太郎、これでわしゃあ3度目だぞ。人生で3回も飛行機で墜落するなんて、そんなやつあるかな?」

その発言に、全員が顔を伏せた

飛行機墜落のフラグでもあるのではないか、と本気で疑った

承太郎「二度と・・・二度とてめぇとは一緒に乗らねぇ」


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