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序章




翌朝

またもや朝から女生徒達に囲まれ、登校してくる空条承太郎

そしてその後ろを、距離をあけて見ている明日華

というより、視界に入ってしまうのだから見るしかない

例によって、明日華の両耳はイヤホンで塞がれている

承太郎「喧しい!鬱陶しいぞ!」

明日華「ひっ」

怒鳴った彼の低い声は、イヤホンごしでも聞こえてきた

どうやら周りで騒いでいる女生徒達に向けて怒鳴ったらしい

ホッと一息つくと、止まっていた足を動かす

だが2、3歩ほど歩いた所で足を止める

視線を感じてそちらを見ると、緑の学ランを着た男子生徒がいた

デッサンをしているらしく、彼の前にはその道具がある

嫌な予感がした

彼の鋭く冷たい目付きに、冷や汗が頬を伝う

「「キャー!」」

明日華「!?」

悲鳴を聞いて駆け出すと、承太郎が石段から落ちていっている

だが承太郎の体から出た何かが、木の枝を掴んだのを“明日華だけ”が見た

他の女生徒達は、それが“見えていない”

明日華「・・・」

石段の一番上から見ていると、緑の学ランを着た男子生徒が横を通り過ぎる

何か言われたようだが、イヤホンをしているせいで聞き取れなかった

一番下で承太郎と話したらしい彼は、何かを渡して去って行った

ハッとして石段を駆け降りる明日華

明日華「空条くん」

振り向いた承太郎が見たのは、イヤホンを外してこちらを見る明日華

承太郎「・・・いたのか」

明日華「その足・・・」

承太郎「なんでもねぇ。気にするな」

明日華が承太郎になんの気もない事を知っているからか、彼の追っかけの女子達は彼女をどうこうしたりはしない

明日華「・・・・・・枝を掴めてよかったね」

承太郎「!?」

明日華「・・・保健室には行った方がいい」

承太郎「・・・ああ、そのつもりだ」

そう言って軽く片手をあげると、騒ぐ女子達を意図せず引き連れて去って行った

黙ってその背中を見送る明日華は、イヤホンを耳に戻した










保健室でガス爆発があったと、朝から学校が騒がしい

その日は学校自体、休校となってしまった

保健室にいた女医は怪我をし、保健室はめちゃくちゃ

女医は病院に搬送されたらしい

明日華「・・・」

黙って保健室を見つめていた明日華

破壊された保健室の壁に右の掌を当てると、そっと瞼を閉じた

次に瞼を開けると、そこはただの保健室

“元通りの保健室”が目前に広がっている

明日華「・・・後始末するこっちの身にもなってほしいな」

ぽつりと呟くと、保健室の窓から外に出た

家に帰ると早々に、自宅の固定電話が鳴り響いた

明日華「はい」

詐欺対策のため、名乗らないまま電話に出た明日華

だが相手は黙ったままで、何も言ってこない

明日華「・・・あの、どちら様でしょうか?」

承太郎「・・・俺だ。風祭か?」

意外な声に、思わず目を見開く

明日華「・・・・・・風祭、だけど。空条くん、それだとオレオレ詐欺に聞こえるよ。っていうか、なんでうちの番号知ってるの?それに私の事・・・名前、覚えてたんだ?少し意外」

承太郎「番号は学校で調べた。名前は覚えてるも何も、ノートに堂々と書いてあるぜ」

明日華「あ、そっか・・・」

承太郎「・・・お前に確認したい事がある。会えるか?」

明日華「このまま電話で話しちゃダメなの?」

承太郎「直接会って話す必要がある」

明日華「・・・・・・わかった、じゃあそっち行く」

承太郎「助かる。お前も昨日会ってるからわかるだろうが、デカいのが3人も一人暮らしの女の家に押し掛けるわけにもいかねぇからな」

明日華「・・・え?ねぇ、私、空条くんに一人暮らしだって話した事あったっけ?」

承太郎「・・・・・・」

プツッ

明日華「あ・・・切ったな」

切れてしまった電話の受話器を置き、思わずため息を吐く

あの時「枝を掴めてよかったね」と言った事から、こうなるだろうとは思っていた

明日華「・・・パパ、時間をかけて調べた甲斐はあったよ。ママ・・・必ず、終わらせるから」

亡くなった両親に向けて呟くと、明日華は家から出た










明日華「こんにちは」

ホリィ「あら、いらっしゃい明日華ちゃん!」

明日華「あの、空条くん・・・承太郎くんはいらっしゃいますか?」

ホリィ「承太郎なら奥にいるわ。茶室じゃないかしら」

承太郎「来たか」

明日華「空条くん」

承太郎「行くぜ」

そう言って歩き出す承太郎の背中を追い、後ろを明日華が歩く

辿り着いた茶室にはジョセフとアヴドゥル、緑の学ランを着た男子生徒がいた

男子生徒の方は、頭に包帯を巻いている

そしてその彼には見覚えがあったが、あの石段で見かけた生徒だった

ジョセフ「おぉ!昨日のお嬢さんじゃあないか。あの時は挨拶もできんで、すまんかったな。わしはジョセフ・ジョースター。承太郎の祖父じゃ」

アヴドゥル「モハメド・アヴドゥルです。よろしく」

明日華「風祭明日華です。空条くんのクラスメイトです。あなたは、今朝の・・・」

花京院「・・・花京院典明、です」

承太郎「自己紹介はもういいだろ?質問だ。お前・・・幽波紋スタンドが見えてるのか?」

明日華「・・・・・・」


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