序章




ジョセフ「そういえばお前さん、もう1つ用があるとか言っとらんかったかのう?」

ポルナレフ「ん?ああ。用があるのはお嬢さんの方だ」

明日華「私?」

すっかり警戒心は解けたのか、隠れていた承太郎の後ろから出て来た明日華

その彼女に顔を向け、ポルナレフが真剣な眼差しで口を開く

ポルナレフ「お嬢さんだけだったぜ。初めから俺に警戒心を持っていたのは。なんでわかったんだ?俺がディオの刺客だって事が」

承太郎「そいつは俺も気になっていたぜ。それにお前、こいつがまだ倒されていない事も、肉の芽がある事もわかっていただろ?」

明日華「・・・・・・」

花京院「それが、きみの幽波紋スタンドの能力なのかい?」

ジョセフ「なんじゃと!?」

明日華「ううん、幽波紋スタンドとは関係ない。私が・・・ディオの気配に敏感なだけ」

花京院「僕の時はなんともなかったのに?」

明日華「え?」

花京院「きみを初めて見た時、僕にも肉の芽があったんだ。それにあの時、きみとはまたあとで。と、言っていたんだが・・・」

明日華「あー・・・イヤホンで耳を塞いでたから、聞いてなかった・・・それとたぶん、空条くんの方に意識が向いてたから・・・それでわからなかったんだと思う」

アヴドゥル「では、ポルナレフがまだ戦える状態だとわかったのは?」

明日華「ただの勘です。私も、生まれながら幽波紋スタンド能力を持っていましたし。ある程度はわかるつもりです。それに・・・ディオの気配が、まだ完全には消えてなかったから」

ジョセフ「つまりお嬢さんは、ディオの刺客がいるかわかるのか?」

明日華「いいえ。タワーオブグレーの事はわかりませんでした。私がわかるのはきっと、肉の芽を埋め込まれている奴だけ。肉の芽はディオの一部だから」

アヴドゥル「なるほど・・・」

ポルナレフ「あー・・・ところでお嬢さん?」

明日華「なに?」

ポルナレフ「お嬢さんの幽波紋スタンド能力ってなんなんだ?」

明日華「言わない」

アヴドゥル「彼女の幽波紋スタンドについては、我々も知らないのだよ」

ポルナレフ「は?」

明日華「ディオはまだ知らないんでしょう?」

ポルナレフ「俺は特に聞かされなかったが・・・」

明日華「じゃあ尚更言わない。ディオに知られるわけにはいかないから。あいつやあいつの手下が、いつどこで聞き耳を立てているか・・・わからないしね」

ポルナレフ「けどよ、そうなるとお嬢さんはどう戦うつもりなんだ?」

明日華「逃げの一択に決まってるじゃない」

ポルナレフ「俺の時は捕まってただろ?」

明日華「あなたの騎士道精神とやらのおかげで強く掴まれてなかったから、簡単に振り解けたけどね」

ポルナレフ「そりゃあまあ、女の子には優しくしないとなぁ」

明日華「・・・どっちにしても、私の幽波紋スタンドは戦闘向きじゃないから戦えない。だから自分が足手纏いになるのはわかってた。それでも、狙われてるからただ逃げるだけなんて・・・納得できなかった。両親の事もあるから」

ポルナレフ「両親って・・・」

明日華「私の両親、ディオに殺されてるから」

ポルナレフ「ッ!?」

明日華「・・・・・・」

ポルナレフ「すまん・・・」

明日華「どうして謝るの?あなたの妹さんの事も聞いたんだし。これでウィンウィンだと思うんだけど」

そう言って背を向けた明日華は、海に向かって歩いて行った

彼女のその背中は、ひどく孤独に見えた


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