序章
アヴドゥル「あくまでも騎士道とやらの礼を失せぬ奴。しかも、私の背後からも短剣を投げなかった。ディオからの命令をも越える誇り高き精神。殺すのは惜しい」
明日華「あの・・・」
アヴドゥル「ん?」
恐る恐る、といった様子の明日華が歩み寄って来た
言い難そうにしながらも口を開く
明日華「その人の
その明日華の言葉にハッとしたアヴドゥルは、ポルナレフの額に手を伸ばす
見つけたのは、ディオの肉の芽
花京院にもあったそれで、ポルナレフは操られていたのだ
承太郎の
実は明日華が知らないだけで、花京院にあったものもスタープラチナで承太郎が引き抜いていた
ジョセフ「これで肉の芽がなくなって、“憎めない”奴になったわけじゃな!ジャンジャン、ヒヒッ」
承太郎「花京院。おめぇ、こういうダジャレ言う奴ってよ。無性に腹が立ってこねぇか?」
花京院「フッ」
明日華〈寒っ・・・〉
翌日
ジョセフ「昨日、スピードワゴン財団にチャーターを依頼した船が、すでに港に入っているはずじゃ」
突然目の前に現れた人物に、明日華は思わず承太郎の後ろに隠れた
アヴドゥル「どうした?まだ何か、ポルナレフ」
ポルナレフ「まだディオの呪縛を解いてもらったお礼を言ってない」
アヴドゥル「だったら私でなくジョジョに言え」
承太郎「いらないな」
アヴドゥル「ハッ。折角の礼だが、受け取り手はいないらしい」
ポルナレフ「あ・・・わかった。くどいのは俺も嫌いだからな。だが用はもう2つ。ムッシュジョースター。ものすごく奇妙な質問をさせて頂きたい」
ジョセフ「奇妙な質問?」
ポルナレフ「詮索するようだが、あなたは食事中も手袋を外さない。まさか、その左腕は右腕ではないだろうな?」
ジョセフ「ああん?左腕が右腕?確かに奇妙な質問じゃ。一体どういう事かな?」
ポルナレフ「妹を殺した男を捜している」
明日華「え?」
ポルナレフ「顔はわからない。だが、そいつの腕は両腕とも右腕なのだ」
それを聞いたジョセフは、左手の手袋を外して見せる
現れたのは、銀色の左腕だ
ジョセフ「50年前の戦いによる名誉の負傷じゃ」
ポルナレフ「・・・失礼な詮索であった。許してくれ」
ジョセフ「よければ何があったのか、聞かせてくれんか」
ポルナレフは承太郎の後ろから顔を覗かせている明日華を見てから、背を向けて海の方へ向かった
ポルナレフ「もう3年になる。俺の妹は雨の日、学校からの帰り道をクラスメイトと2人で歩いていた。故郷、フランスの田舎道だ。道の端に男が1人、背を向けて立っていた。不思議な事に、雨なのにその男の周りは、透明の膜でもあるかのように雨がドーム状に避けて通っていた。突然、クラスメイトの胸がかまいたちにでもやられたかのように裂けた。そして次に--妹が辱めを受け殺された。男の目的は、ただそれだけだった。九死に一生、命を取り留めたその友人の証言だ。その友人は男の顔は見ていないが、両腕とも右腕だったと。誰もそれらの証言の内容を信じなかったが、俺には理解できた。俺がそれまで誰にも隠していた能力と同じものを--その男は持っていると思ったからだ」
ジョセフ「明らかに
ポルナレフ「俺は誓った!我が妹の魂の尊厳と安らぎは、そいつの死でもって償わなければ取り戻せん!俺の
ディオは、ポルナレフに言ったそうだ
自分は日光の下に出られない体で、力を貸してくれと
両腕が右腕の男を、捜し出してやると
そして、肉の芽を植え付けられた
ポルナレフ「そうして、きみらを殺してそこのお嬢さんを連れて来いと命令された。それが正しい事と信じた」
アヴドゥル「肉の芽のせいもあるが、なんて人の心の隙間に忍び込むのが上手い奴なんだ」
花京院「しかし話から推理すると、どうやらディオはその両手とも右腕の男を捜し出し、仲間にしているな」
ポルナレフ「俺はあんた達と共に、エジプトに行く事に決めたぜ!ディオを目指していけば、きっと妹の
花京院「・・・どうします?」
アヴドゥル「私に異存はありませんが」
承太郎「ふんっ」
ジョセフ「どうせ断ってもついて来るじゃろうしな」
ポルナレフ「よろしく頼むぜ!」
明日華「・・・」
ポルナレフ「・・・悪いな。女の子に聞かせるような話じゃなかったよな」
明日華「・・・別に」