神の宿る国
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カチャ
男「よう!目ぇ覚めたか!」
お菓子とお茶を手に、一組の男女が入ってきた
男「んな警戒せんでええって。侑子さんとこから来たんやろ」
小狼「ゆうこさん?」
男「あの魔女の姉ちゃんのことや。次元の魔女とか、極東の魔女とか、色々呼ばれとるな」
そこで小狼は、今この場にはいないアカネが、次元の魔女のことを「侑子」と呼んでいたのを思い出す
女「これを」
小狼「あ!ありがとうございます」
女の人が敷いた布団に、サクラを寝かせる
空汰「わいは有洙川空汰」
嵐「嵐です」
空汰「ちなみに、わいの愛する奥さん。ハニーやから、そこんとこ心に刻みまくっといてくれ」
無視して、空汰に預けていたお茶を乗せたお盆をヒョイと取る嵐
ひとりでなんだか盛り上がっている空汰を無視し、嵐はお茶を配っていく
空汰「つーわけで、ハニーに手ぇ出したらぶっ殺すでっ♡」
黒鋼「なんで俺だけに言うんだよ!!」
空汰「ノリやノリ。ノリは命や!でも、本気やぞ!」
いい笑顔で親指を立てる空汰
黒鋼「出さねぇっつの!!」
空汰「さて」
言いながら、空汰の掌にモコナを乗せる
空汰「とりあえず、あの魔女の姉ちゃんにこれ、預かって来たんやな」
これ→モコナ
モコナ「【しゅた】モコナ=モドキ!」
空汰「長いな。モコナでええか」
モコナ「おう!ええ!」
ツバキ〈関西弁・・・〉
空汰「事情はそこの兄ちゃんらに聞いた。主にそっちの金髪の方やけどな。黒い方は愛想ないな、ほんま」
ファイ「【へにゃ】」
黒鋼「うっせー」
空汰「とりあえず兄ちゃんら、プチラッキーやったな」
ツバキ「プチラッキー?」
空汰「モコナは次に行く世界を選ばれへんねやろ?それが、一番最初の世界がココやなんて、幸せ以外の何もんでもないでー。ここは、阪神共和国やからな」
モコナを左肩に乗せたまま窓まで行き、振り返りながら開けた
窓の外には、まるで大阪のような街並みがあった
空汰「ここは阪神共和国。とってもステキな島国や!周りは海に囲まれとって、時折、台風が来るけど、地震は殆どない。海の向こうの他国とも、交流は盛んやで。貿易もぶいぶいや。四季がちゃんとあって、今は秋。ご飯が美味しい季節やな!主食は小麦粉。あとソースが名産や!法律は阪神共和国憲法がある。他国と戦争はやってない。移動手段は、車、自転車、バイク、電車、船、飛行機、あとはー、乳母車も一応移動手段かな。ハニー」
嵐「・・・・・・」
ホワイトボードとパペットを持ち出し、阪神共和国について説明を始めた空汰と嵐(主に空汰)
空汰「島の形はこんな感じ。形が虎っぽいんで、通称『虎の国』とも呼ばれとるんや。そやから阪神共和国には、虎にちなんだモンが多い。通貨も
ファイ「はーい、質問いいですかー?」
空汰「はい、ファイ君」
ファイ「この国の人達は、みんな空汰さんみたいな喋り方なんですかー?」
空汰「んな水くさい。空ちゃんでええで。わいの喋り方は特別。これは古語やからな」
小狼「この国で過去使われていた言葉なんですか」
空汰「そうや。もう殆ど使われてへん言葉なんやけどな。わい、歴史の教師やから、古いもんがこのままなくなってまうんも、なんや忍びないなぁと」
小狼「歴史の先生なんですか」
空汰「おう!なんや、小狼は歴史、興味あるんか」
小狼「はい。前にいた国で、発掘作業に携わっていたんで」
空汰「そりゃ、話が合うかもしれんなー」
ファイ「もうひとつ、質問でーす。で、ここはどこですかー?誰かの部屋ですかー?」
空汰「ええ質問や!ここは、わいと
嵐「・・・・・・」
そこから空汰がひとりほのぼのとした空気に入ると、黒鋼が寝てしまう
空汰「そこ、寝るなー!」
パコン
黒鋼「なにぃ!?」
小狼はサクラを守るように覆い、黒鋼とファイとツバキは、そちらに向く
黒鋼「【きょろきょろ】なんの気配もなかったぞ!てめぇ、なんか投げやがったのか!?」
ツバキ「それはないと思う。投げたのなら、あの角度からは当たらないし」
ファイ「ツバキちゃんと同意見だなぁ。真上から衝撃があったみたいだし?」
空汰「何って。くだん、使たに決まってるやろ」
「「「「クダン?」」」」
空汰「知らんのか!?そっかー、お前さんら異世界から来たから、わからんねんなー。この世界のもんにはな、必ず巧断が憑くんや。漢字はこう書く」
黒鋼「あー、なるほど」
ファイ「あはははは。全然わからないー」
モコナ「モコナ読めるー!」
ファイ「すごいねぇ、モコナは」
モコナ「えへへー。小狼は?」
小狼「うん、なんとか」
モコナ「ツバキは?」
ツバキ「読める」
空汰「黒鋼と小狼とツバキちゃんの世界は漢字圏やったんかな。んで、ファイは違うと。けど聞いたり、喋ったり言葉は通じるから、不思議やな」
黒鋼「で、巧断ってのはどういう代物なんだ?『憑く』っつったよな、さっき」
嵐「例え異世界の者だとしても、この世界に来たのならば、必ず巧断は憑きます。サクラさんとお呼びしてもよろしいですか?」
小狼「・・・はい」
嵐「サクラさんの記憶のカケラが何処にあるのかわかりませんが、もし、誰かの手に渡っているとしたら・・・争いになるかもしれません。今、貴方達は戦う力を失っていますね」
ファイ「どうしてそうだと?」
空汰「うちの
ひとりでまた盛り上がる空汰を、嵐は無視する
ツバキ〈慣れてるのかな、やっぱり・・・〉