御伽の国
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カイル「・・・・・・ククッ。助手とかいう子供といい。知恵がまわるのも困りものだね。靴を脱がせて鎖までつけたのに、こうやって抜け出してるしな」
ツバキ「あんな鎖、焼き切るのは簡単だったわ。私、初対面の時からあんたが気に入らなかったから。警戒はしていたけれど・・・・・・本性現したわね!」
カイル「羽根を寄越せ!」
エメロード《渡さないで》
両腕を広げて立ち、阻もうとしたエメロード姫だったが
スル
サクラ「エメロード姫!」
彼女は死者だ--阻めるわけなどなかった
カイル「お前に暗示は掛けていない。幻でも見てるのか?」
ツバキ「夢でも幻でも、あんたの暗示でもない。彼女は確かにそこにいる。ってか、あんたに言われるまでもないわよ!羽根は渡さない!」
バチィッ
ズキッ
ツバキ「痛っ・・・!」
サクラ「ツバキちゃん!?【はっ】」
ツバキ『頭殴られたからか、上手くコントロールが利かなくて・・・』
サクラ「ツバキちゃん・・・」
ツバキ「【こそっ】なんとか隙を作るから、逃げなさい」
サクラ「でも・・・」
ツバキ「あんた、羽根を掘り出すためだけに、子供達を集めたの?」
カイル「ああ、そうだ。あの絵に隠されていた穴は三百年前、城にいた子供達の避難用だったらしい。掘り崩せない程固い上に、大人じゃ通れないくらい狭い。おまけに羽根がある氷は、春になっても溶けやしない。バカみたいに硬いしな」
ツバキ「それで、子供達に暗示を掛けて城に集め、掘らせてたのね?」
カイル「思ったより時間が掛かったがな」
ツバキ「--あんた、本当にどうしようもないわ。許す気なんかさらさらないけどね!サクラ行って!」
サクラ「は、はい!」
バチィッ
カイル「!?」
ツバキ「手加減なんかしてやらない・・・黒焦げにしてやるわ!」
カイル「くっ・・・!」
ツバキ「この!【ズキッ】つっ・・・!」
サクラ「ツバキちゃん!」
小狼「サクラ姫!!」
サクラ「小狼くん!」
この場に駆け込んできたのは、小狼と黒鋼とファイ
そしてグロサムと自警団のリーダーだった
ツバキ「遅いのよ、バカ」
カイル「近寄るな」
そう言って、カイルはツバキの喉元にナイフを添えた
カイル「その羽根さえ手に入れればこんな小さな町、いや国も全部、意のままだ。なにせ三百年前、金の髪の姫はこの羽根の力で、城下町の子供達を救ったらしいからな」
「金の髪の姫は、子供達をさらって城で殺したんじゃ・・・!」
カイル「殺すためだけなら、こんな部屋、必要ないだろう」
今いるこの広い部屋には、子供が遊ぶための遊具がいくつかある
ファイ「そういえばここに来る途中、たくさんベッドがある部屋もあったねぇ」
グロサム「城に集めた子供達の為のものか」
「羽根を手にしたあと、王と后はすぐに死んだって!」
サクラ「・・・・・・違う」
全員「!?」
ツバキ「・・・・・・」
エメロード《お父様とお母様が亡くなったのは事故です。その後、子供だけが掛かる病が城下の町を襲って、何人もの子供が犠牲になりました。その時、この羽根が降って来て・・・羽根の周りだけ、何故か病気は力を無くすようでした。凶作も重なり、皆、困っていました。だから、少しでも力になれればと、城下町の子供達を皆、この城に招いたんです。元気になるまで》
サクラ「じゃあ、いなくなった時と同じ姿で戻ってこなかったっていうのは・・・」
ツバキ「忌み言葉、ってやつね。そりゃあ勘違いするわ。勘違いされたままなんて、死んでも死にきれないでしょ?あんた。まあ、一番の心残りは--」
ファイ「2人共、誰と話してるんだろうー?」
カイル「幻との会話に付き合っているヒマはない!」
ツバキ「っ!」
サクラ「ツバキちゃん!!」
小狼「やめろーーー!!」
タッ
振り下ろされたナイフが、ツバキの目前に迫る
サクラ「だめ!」
ザシュ
ナイフが掠めたのは、ツバキではない
彼女の視界を覆っているのは、黒--
ツバキ「!?」
ナイフが掠めた左肩から僅かに血を流し、彼女を抱えているのは--黒鋼だった
ツバキ「な、ん・・・」
黒鋼「・・・・・・」
なんで?--そう、聞きたかった
だが彼は黙ったまま、カイルの方に視線を向けて睨んでいた
ズゥゥン
全員「!?」
ファイ「なんの音かなぁ」
黒鋼「地震か?」
ツバキ「なんか嫌な予感・・・」
ザアアアァ
小狼「違う!!この音は!」
ドン
「うわぁっ!」
グロサム「水が!?」
壁が壊れ始め、大量の水が流れ込んでくる
崩れた壁は瓦礫となり、次々と上から降ってくる
ガンッ
ガチャン
小狼と黒鋼はほぼ同時に、サクラとツバキの枷に繋がれている鎖を切った
枷に一番近い所に踵をぶつけ、鎖を短くして切り離したのだ
小狼「川の水を止めていた装置が壊れたんでしょう」
ファイ「あー、古かったもんねぇ。あんまり長い間止めてられないんだー」
「危ない!!」
ツバキ「小狼!サクラ!上!!」
ドン
小狼「子供達を上へ!!必ず城から出ます、先に行って下さい!」
グロサム「しかし!!」
黒鋼「・・・行くぞ」
ファイ「はーい」
「えっ!?」
ファイ「さ、行きましょー」
「まだ仲間が危ないのに!?」
ファイ「『やる』って言ったらやる感じの人だから--小狼君」
ツバキ「小狼・・・サクラ・・・」