御伽の国
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バチィ
ガチャン
ツバキ「はい、終わり」
サクラ〈ほ、本当に早かった・・・〉
ツバキ「さぁて、あとはドアだけど・・・・・・吹っ飛ばす?レールガンで」
サクラ「そ、それはやめた方がいいんじゃあ・・・」
ツバキ「え?そう?」
サクラ〈ツバキちゃんって、時々やることめちゃくちゃな気がする・・・〉
ビリビリ
毛布を手で裂き、丸めて細くすると先端に輪っかを作る
それをドアの格子からたらし、輪っかを棒に引っ掻けると持ち上げ--
カラーン
サクラ「外れた!」
ツバキ「・・・・・・あんたって、意外と器用ね」
サクラ「え?あ、ありがとう」
ツバキ「さて、追っ掛けるわよ」
サクラ「うん!」
ツバキ〈私の推測が正しければ、おそらく・・・〉
サクラ「ツバキちゃん。ツバキちゃん!」
ツバキ「ん?あぁ、ごめん。どうしたの?」
サクラ「みんな、様子がおかしいの。まるで・・・」
ツバキ「半分眠ってるみたい?」
サクラ「え?」
ツバキ「合ってるわよ、それ。私、ひとりで勝手に色々調べてみたんだけど」
サクラ「え!?いつの間に・・・?」
ツバキ「出掛けにちょっちね。まあそれで、色々わかったこともあってね。まだ確信があるわけじゃないけど、犯人の目星もついてる。あとは決定的な証拠とかあれば、叩ける」
サクラ「どうして、小狼くん達に言わなかったの?」
ツバキ「言えるわけないでしょ?確信があるわけじゃないって言ったじゃない。そんな段階で言えなかったのよ。ところでサクラ?ここ、どこだかもうわかった?」
サクラ「え?ううん」
などと話しているうちに、奥の広い部屋へと辿り着いた
一番奥には、またも金髪の姫君の絵がある
ツバキ「やっぱりね。ここは城内で間違いないかな」
サクラ「城内って・・・あのお城の中なの?」
ツバキ「あれ以外に城なんかないでしょ?ここ」
サクラ「でも、お城は崩れてて・・・」
ツバキ「わかってる。私にはその謎は解けなかったけど・・・」
すると、子供のひとりが絵を横にスライドさせてずらし、そこに抜け穴が現れる
子供達は、次々とその穴に入っていく
サクラ「待って!」
その言葉に、子供達が一斉に振り向いた
足を進め、サクラとツバキに向かってくる
サクラ「きゃあああ!」
ツバキ「--ちょっと。サクラ?あんまり引っ付かないでくれる?動き難い」
サクラ「え?」
ツバキの後ろにいたサクラは、思わず彼女にくっついて悲鳴をあげた
反射的に閉じていた目を開け、ツバキを見上げてから正面を見る
フッ
《待っていました》
サクラ「エメロード姫!!」
子供達とサクラ達の間に現れたのは、エメロード姫だった
彼女は抜け穴の方を指差す
サクラ「あの中・・・?」
覗き込むと、そこには--
サクラ「わたしの羽根!?」
氷の柱に閉じ込められた、サクラの記憶の羽根があった
その氷を、子供達が大きめの石を使って削っている
氷の柱が砕け、羽根の入っている部分が取り出せた
子供達のひとりである少女が、羽根が入った氷の塊を抱えて出てきた
エメロード《これは貴方のものですね》
少女がサクラに差し出すそれを見ながら、エメロード姫が言った
ツバキはそれを阻むことなく、腕組みをして続きを聞く
エメロード《三百年前、私はこの羽根の力で、子供達を救うことが出来ました。けれど、もう私は死んでいて、誰にも見えなくて。この子達が、この城に羽根を掘り出すために連れてこられても、何も出来なかった。でも、貴方達は私を視て、ここまで来てくれました》
ツバキ「・・・・・・」
エメロード《子供達を、どうか家に帰してあげて下さい》
サクラ「・・・エメロード姫」
やはり、ツバキは黙ったままだ
まるで、どこか納得したかのような顔で
カイル「サクラさん!ツバキさん!」
サクラ「カイル先生!」
ツバキ「!」
すぐに反応したツバキが動き、サクラを庇うようにして前に出る
カイル「みんな、探していましたよ。さ、こちらへ」
ツバキ「サクラ。絶対に、私から離れないで」
サクラ「え?」
カイル「どうしました。裸足のままでは怪我をしてしまう。早くこちらへ・・・」
ツバキ「・・・・・・フッ」
カイル「?」
ツバキ「今ので確定されたわ。何を焦ってるのか知らないけど、墓穴を掘ってくれて感謝するわ」
カイル「何を言って・・・」
ツバキ「あんたなんでしょう?子供達を連れ去ってた犯人は」
カイル「え?」
ツバキ「私、ひとりで勝手に色々調べてたのよ。気付かなかった?町長から、子供達がいなくなった時の記録を見せてもらったわ。それと、あんたの診察記録、無断拝借させてもらったわ。いなくなった子供達はみんな、必ずあんたの診察を受けてる」
カイル「・・・・・・」
ツバキ「町の人に聞いたんだけど、あんた催眠治療もするそうね?子供達にも、それやってたんでしょう?足跡が残っていないことや、すぐに捜索を始めても誰ひとり見つかっていないことを踏まえて考えると・・・・・・足跡が残らない雪の日に、子供達が自分から姿を消すように促した。そんな感じの暗示でも掛けたんじゃないかしら。だから子供達は、半分眠ってるような様子でいる」
カイル「・・・・・・」
ツバキ「問題はあの川だけど・・・まあ解決できる何かが、この城自体にあったんでしょうね。何より決定的な証拠となったのは、あんたの今の発言。城の前で意識を失って、この城で目覚めてここに来るまで。私達は子供達以外の生きてる人間とは会っていない。それなのにあんた、なんで私達が裸足だって知ってるのかしら?誰も知るはずがないのに--私達の靴を脱がせ、裸足にした張本人である犯人以外は、ね」