御伽の国
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カイル「本当にすみません。町の人達が失礼を・・・」
ファイ「いいえー。みんないなくなった子供達が心配なんでしょう」
カイル「でも、サクラさんとツバキさんもいなくなってしまって・・・」
黒鋼「・・・・・・」
黒鋼『お前、あの医者のこと随分と嫌ってるようだな』
ツバキ『今それ聞くの?』
黒鋼『・・・・・・』
ツバキ『・・・・・・ハァ・・・まあいいわ。ええ、嫌いよ。胡散臭いんだもん』
黒鋼『胡散臭い?』
ツバキ『普通なら、町の人達と同じ反応をするはず。でもあいつは真逆だった。冷静過ぎる。最初から・・・出逢った瞬間から嫌いだったわ、あの医者』
黒鋼『・・・・・・』
ツバキ『お互い、気を付けた方がいいかも。目に見えているものだけが、目の前にあることだけが真実だとは、限らないんだから』
黒鋼〈胡散臭い、か・・・〉
小狼「・・・・・・診察ですか?」
カイル「残った子供達の、様子を見てこようと思って」
キィ
「どこへ行く!」
一歩外に出た途端、自警団のリーダーが怒鳴ってきた
ファイ「いなくなった子供達と、オレの妹と彼女の手掛かりを探しにー」
「一緒に行くぞ!!お前達だけで行動させたら、何しでかすかわからないからな!」
ずいっ
「な・・・なんだよ!」
小狼「聞きたいことがあるんです」
話は、歩きながら続けることになった
小狼「・・・ここ数年、凶作だと町長に伺いました」
「ああ。自分達が食うので精一杯だ!」
ファイ「この町の土地ってほとんどグロサムさんのものなんですってー?」
黒鋼「借りた土地代はどうしてんだよ」
「・・・・・・待ってもらってる!カイル先生がグロサムさんに掛け合ってくれたんだ!先生が言ってくれなかったら今頃、俺達はこの町を出なきゃならなかったかもしれないんだ!」
ファイ「へー。ってことは、グロサムさんはここ数年、あんまり収入的にイイ感じじゃないとー」
小狼「・・・・・・」
「お前達、馬を持ってただろう。なんで乗らないんだ!?」
ファイ「馬からだと、見逃しちゃうでしょうー」
黒鋼「だめだな。夜通し降った雪で、足跡は消えてる」
小狼「町の周辺は、既に探されてますよね」
「【怒】当たり前だ!!」
ファイ「わー、声おっきー」
小狼「城の方はどうですか?」
「城の手前までは探した!けど、あの川があるから、向こうへは渡れない!!」
そう--城の前では流れの激しい川が、今も流れ続けている
「お前ら。なんで、こんなに冷静なんだ?旅の仲間がいなくなったんだろ?」
黒鋼「・・・少なくとも、あのガキに関してそう見えるんなら。お前の目は節穴だな」
サクラ「ん・・・んんーーー・・・」
ずるずる
もぞ
サクラ「すう【はっ】」
バッ
サクラ「子供達が!!」
べしゃっ
サクラ「真っ暗」
ジャラッ
サクラ「鎖!?ここ、どこ・・・?」
ツバキ「やっとお目覚めかしら?寝坊助さん」
サクラ「ツバキちゃん!?ここは?わたし達、一体・・・!?」
ツバキ「こっちが聞きたいわよ。ぶっちゃけ、私も起きたばっかりだしね」
周りを見回せば、そこにはいくつかのベッドが置いてあった
部屋の中もベッドも、かなり古い感じがする
寝ぼけたままサクラが手探りで引き寄せたのは、ボロボロになった毛布だ
だが、裸足にさせられている2人の足首にある枷と鎖は、この部屋の中の物と比べても真新しい
ツバキ「それよりサクラ、後ろ」
サクラ「え?」
言われて振り向くと、その壁には--
サクラ「お姫様!?・・・の絵?」
ペタペタ
ツバキ「!?静かに!」
サクラ「え?」
ペタペタ
サクラ「足音?」
ツバキ「部屋の外・・・廊下から?」
立ち上がった2人が、ドアの格子から廊下を見る
そこには--
消えた子供達が、歩いている様子があった
サクラ「みんな、どこへ行くんだろう」
ツバキ「私が聞きたいわよ」
ガチャッガチャッ
ツバキ「無駄よ」
サクラ「どうして?」
再び外を見るように促すツバキ
ドアの格子から覗き込むと、取っ手には棒が立て掛けられていた
ツバキ「これじゃ簡単には出られないわね。それにまず、この鬱陶しいのを外さないと」
ジャラジャラと言わせながら、今度は鎖の存在を指摘した
確かに、このままでは自由に動き回れない
サクラ「外すって、どうやって?」
ツバキ「完全に外すことはできなくても、鎖を切ることはできるわ。まあ、多少は残るけど」
サクラ「えぇっと・・・?」
ツバキ「とりあえず電撃で焼き切るけど・・・頭殴られたからか、上手くコントロールが利かなくて・・・・・・足まで焼きかねないから、ある程度の長さで鎖が残っちゃうって意味」
サクラ「大丈夫?このベッド、すごく古いし・・・ひょっとしたら」
ツバキ「折れるでしょうね。見たところ、ベッドの足に巻き付けて固定してるから。足を折ればベッドからは離せる。けどメンドイ、労働が」
サクラ「え?」
ツバキ「焼き切る方が早い」
サクラ「そ、そうなの?」