御伽の国
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じろじろ
じろじろ
ファイ「あははー。なんか、注目されてるねー」
ツバキ「そりゃあされるでしょうね」
小狼「やっぱり、この格好がいけないんでしょうか」
ファイ「んー。全然違うもんねぇ、ここの国の人達と。特に黒たんがー」
黒鋼「あー?文句あっか」
ツバキ「うるさい、全身真っ黒。モコナみたいに大人しくしてなさいっての」
小狼「あの、大丈夫なんでしょうか。この食事」
ファイ「んん?」
そんな中、ぬいぐるみのように大人しくしていたモコナが、急いで黒鋼の食事を口に入れた
もちろん、黒鋼は苛つくわけで・・・
小狼「この国のお金、ないんですけど」
ファイ「大丈夫だよー。ねっ、サクラちゃん」
サクラ「え!?」
というわけで、サクラはカードゲームで賭け勝負をすることになった
「お嬢ちゃんのカードは?」
サクラ「えっと。こう、なりました」
見事に、5枚とも同じ絵柄が揃っていた
「何度やっても負けないなんて!どうなってるんだ、一体!?」
「イカサマじゃないのか!?」
ツバキ「あんた達ねぇ・・・」
ファイ「イカサマしてるヒマなんかなかったでしょー。文句あるなら、あの黒い人が聞くけどー?」
黒鋼「【ギロッ】あぁ?」←モコナに自分の食事を取られて不機嫌度MAX
「い・・・いや!」
「う、疑って悪かった!」
ファイ「はい、サクラちゃんもお疲れさまー。これで軍資金ばっちりだよー」
ツバキ「無銭飲食せずに済むわねぇ。この国の服も買えそうだし、とりあえず」
店員「しかし凄いな、お嬢ちゃん」
サクラ「ルールとか分かってなかったんですけど、あれで良かったんでしょうか」
店員「面白い冗談だな!」
サクラ「冗談じゃないんだけど・・・」
店員「変わった衣装だな。旅の人だろう?」
小狼「はい。探しものがあって、旅を続けています」
店員「行く先は決まってるのかい?」
小狼「いえ、まだ」
店員「・・・だったら、悪いことは言わん。北へ行くのはやめた方がいい」
ファイ「なんでかなぁ?」
店員「北の町には、恐ろしい伝説があるんだよ」
小狼「どんな伝説なんですか?」
昔、北の町のはずれにある城に
金の髪の、それは美しいお姫様がいたらしい
ある日、姫の所に鳥が一羽飛んで来た
輝く羽根を一枚渡して、こう言ったそうだ
「この羽根は『力』です。貴方に不思議な『力』をあげましょう」
姫は羽根を受け取った
そうしたら王様とお后様がいきなり死んで、姫がその城の主になった
そして、その羽根にひかれるように、次々と城下町から子供達が消えていって
二度と帰って来なかったそうだ
ファイ「それはー、おとぎ話とかいうヤツかな」
店員「いいや、実話だよ」
小狼「実際に北の町に、その城があるんですね」
店員「もう三百年以上前の話だから、ほとんど崩れちまってるがな」
ファイ「で、そんなこわい話があるから、北の町には行っちゃいけないのー?夜寝られなくなるからー?」
ツバキ「ガキか・・・」
店員「いや。伝説と同じようにまた、子供達が消え始めたんだよ」
ファイ「・・・・・・『力』をくれる、輝く羽根。なんだか、サクラちゃんの羽根っぽいねぇ」
この国の服に着替えた5人は、それぞれ馬に乗っている
小狼とサクラ、黒鋼、ファイとツバキに分かれ、馬は計3頭
ちなみにモコナは、ファイの肩に乗っている
モコナ「モコナ、まだ強い力は感じない」
ファイ「でも羽根がないとは言い切れないよねぇ。何か特殊な状況下にあるのかもしれないし。昔の伝説って言ってたけど、
黒鋼「で、行くのか」
小狼「はい。北の町へ」
ファイ「わー、いい感じにホラーってるねぇ。この木の曲がり具合がまた」
ツバキ「はいはい」
黒鋼「そりゃどうでもいいが、冷えて来たな」
ファイ「雪、降りそうだもんね」
小狼「大丈夫ですか?」
サクラ「平気です。この服、暖かいから」
ファイ「ツバキちゃんは大丈夫?」
ツバキ「私も大丈夫」
明るく返事をしたツバキは、サクラと同じようなローブで、青い色の物を着ている
ツバキ「そういえばサクラの国って、砂漠のド真ん中にあるんだっけ?」
サクラ「はい。でも、砂漠も夜になると冷えるから」
ツバキ「【ムッ】ちょっとサクラ。それ禁止」
サクラ「え?」
ツバキ「敬語よ、敬語。堅苦しいのは苦手なの。フツーに喋ってよ」
サクラ「あ、はい。あ・・・うん」
ツバキ「ふふっ。ま、ちょっとずつ慣れてくれれば良いから。ところで、黒るんとこは?」
黒鋼「黒るん言うなっ!日本国には四季があるからな。冬になりゃ寒いし、夏になりゃ暑い」
モコナ「ファイの所はどうだったの?」
ファイ「寒いよー。北の国だったから。ここよりもっと寒いかな」
ツバキ「げぇ、行きたくないかも。寒いの苦手だし」
ファイ「あはは。ツバキちゃんとこはー?」
ツバキ「黒鋼のとこと同じよ」
サクラ「小狼くんは?」
小狼「おれは、父さんと色んな国を旅してたので」
サクラ「寒い国も暑い国も知ってるのね」