はじまり
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ここは日本と呼ばれる世界
次元の魔女と呼ばれる壱原侑子の前には、4人の男女がいる
黒い印象の男と、白い印象の男
そして少年と、少年に抱かれて眠っている少女
丁度、白黒の彼らが名乗った時だった
侑子「・・・・・・来たわね、最後の1人が・・・いいえ、最後の2人が」
少年「え・・・?」
ドン
現れたのは、アメリス国の双子姫
アカネ「あ・・・侑子!姉様が!姉様が!」
侑子「わかっているわ、アカネ。さて、あなた達がここに来たということは、何か願いがあるということ」
黒・白「「元いた所へ今すぐ帰せ/元いた所にだけは帰りたくありません」」
侑子「それはまた難題ね、2人とも。いいえ。4人とも、かしら。その願い、あなた達が持つ最も価値あるものでも、払いきれるものではないわ。けれど、4人一緒に払うならぎりぎりって所かしら」
黒「何言ってんだ、てめー?」
白「ちょい静かに頼むよぉ、そこの黒いの」
黒鋼「黒いのじゃねぇー!黒鋼だっつの!!」
侑子「あなた達4人の願いは同じなのよ。その子の飛び散った記憶を集めるために、色んな世界に行きたい。この異世界から元の世界に行きたい。元の世界へ戻りたくないから、他の世界に行きたい。姉の一部の記憶と、一部の力を取り戻すために、色んな世界に行きたい」
アカネ「っ・・・」
侑子「目的は違うけど、手段は一緒。ようは違う次元、異世界に行きたいの。ひとりずつではその願い、叶えることはできないけれど、一緒に行くのなら、ひとつの願いに4人分の対価ってことで、OKしてもいいわ」
黒鋼「俺の対価ってなんだよ」
侑子「その刀」
黒鋼「なっ!銀竜はぜってー渡さねぇぞっ!!」
侑子「いいわよ。その代わり、そのコスプレな格好でこの世界を歩き回って、銃刀法違反で警察に捕まったり、テレビに取材されたりするがいいわ」
黒鋼「あ?けいさ?てれ?」
侑子「今あなた達がいるこの世界には、あたし以外に異世界へ人を渡せるものはいないから」
黒鋼「んなデタラメっ!」
白「本当だぞー」
黒鋼「【ぴくっ】マジかよ!?」
白い印象の男が、その言葉にへにゃ、っと笑う
侑子「どうするの?」
黒鋼「くっそー!絶対『呪』を解かせたら、また戻って来て取り返すからな!」
鞘に収められた銀竜という刀を、勢いよく突き出して渡す
受け取った侑子は、白い彼に顔を向ける
侑子「あなたの対価は、そのイレズミ」
白「この杖じゃ、ダメですかねぇ」
侑子「だめよ。言ったでしょ。対価は最も価値のあるものをって」
白「仕方ない、ですねぇ」
すると、白い彼の背中から黒いイレズミが浮き上がった
刀とイレズミはそれぞれ、侑子の側で浮いている
侑子「アカネ、あなたの対価は・・・・・・この旅に同行しないことよ」
アカネ「--え」
少年「!?」
黒鋼・白「「・・・・・・」」
侑子「あなたにとって、姉・ツバキと一緒にいる時間、そして一緒にいられること事態が何よりも大切なはずよ。彼女が存在していることも」
アカネ「そ、れは・・・」
侑子「だからこそ、大切な姉とのこれからの時間。ずっと離れず、側にいたというあなた達の当たり前。それをもらうわ」
アカネ「・・・・・・」
ツバキ「・・・・・・ん・・・」
アカネ「【ハッ】姉様!」
ツバキ「アカネ・・・?」
アカネ「・・・・・・侑子・・・その対価、払うわ」
「「「!?」」」
アカネ「でも・・・」
ツバキ「・・・?」
侑子「・・・・・・いいわ。説明する時間くらいなら、あげるわ」
アカネ「・・・・・・ありがとう」
呟くような「ありがとう」を聞くと、侑子は少年の方を向いた
ツバキ「アカネ・・・?」
アカネ「姉様。今、姉様は一部の記憶と一部の力を失っているの」
ツバキ「一部の?」
アカネ「ごめんなさい。全てを取り戻すことは、私にはできなかった。だから、姉様の飛び散ったアゲハ蝶を取り戻して、姉様の中に戻す必要がある。そのためには、異世界を渡る旅に出るしかないの」
ツバキ「アカネは・・・一緒なの?」
アカネ「私は・・・・・・ごめんなさい。一緒には行けないの」
ツバキ「え・・・?」
アカネ「でも、きっとまた逢えるから。それに私は私で、やるべきことがある。
ツバキ「これ、から・・・?」
アカネ「今はまだ、わからなくてもいいから。それでもいいから・・・」
ツバキ「・・・?」
まだ少し眠そうなツバキは、不思議そうにアカネを見上げる
悲しそうに微笑んだアカネが顔を上げ、侑子の方を見る
彼女はまだ少年に話をしている最中だった