秘術の国
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ファイ「あれー?なんだか人いっぱい?」
ツバキ「怪我してるけど、小狼も無事っぽいね。ていうか、なんでサクラと春香もいるのよ?」
モコナ「3人とも遅いー!!」
ゴッ←モコナが黒鋼に頭突き
黒鋼「うるせぇ」
ファイ「こっちも色々あったんだよー。ごめんねぇ」
小狼「・・・羽根を返せ。それはサクラ姫の
サクラ「小狼くん・・・」
領主「ま・・・待て!これを使えば、春香の母親を生き返らせられるかもしれん!」
ツバキ「【ピクッ】」
黒鋼「?」
領主「わ、わしを傷つけたり殺したりすれば、それも出来な--!」
ドゴオォォォン
バチバチッ
バチィ
大きな音と共に、領主の真横をレールガンが通過する
当たるか当たらないかはギリギリの距離だった
黒鋼に横抱きにされたまま、ツバキが領主に向かって放ったのだ
領主「ひっ・・・!?」
ツバキ「黒鋼、降ろして」
黒鋼「・・・・・・」
先程と同じ「降ろせ」と言う言葉なのだが、声のトーンが低い
同じ言葉でも声のトーンが違うだけで、彼女の感情を簡単に読み取れた
先程の「降ろせ」には、照れや恥ずかしいと言った感情を読み取れた
だが今の「降ろせ」には、彼女の怒りが感じ取れた
黒鋼は無言のまま、視線をツバキへと下げる
が、俯いているせいで前髪が目元を隠し、領主を視界に捉えるため前を向いているせいで顔は見えない
特に口を出すこともなく、黒鋼がそっとツバキを降ろす
怒りの感情を出しているとはいえ、まだ眠気が残っているらしい
少しだけフラついた彼女はファイに支えられ、「ありがとう」という意味を込めて肩にある彼の手に触れる
ファイの手が離れると、ツバキは領主に歩み寄っていく
ツバキ「春香の母親を生き返らせる?よくもまあ、そんなこと・・・易々と言えたもんね」
領主「ひっ!?」
ツバキ「例え誰がどんなに願ったとしても、死んだ者は決して帰っては来ない。神にもそんなことできやしないわ。人間も神も万能じゃない。全ての“命”には終わりがある。それを知ってるからこそ、一人ひとりが精一杯生きてるんじゃない!それなのにあんたは・・・!」
春香「ツバキ・・・」
サクラ「ツバキちゃん・・・」
小狼「ツバキさん・・・」
黒鋼・ファイ「「・・・・・・」」
ツバキ「春香!」
春香「!」
ツバキ「仇、討ちたい?」
春香「っ!」
ツバキ「自分の手を汚してまで、あんたはお母さんの仇を討ちたい?春香が手をかけるほど、こいつは価値のある男なの?」
春香「こんな奴・・・殴る手が勿体ない!」
ツバキ「・・・・・・何も出来なくて、出来ることが少なくて・・・・・・悔しい気持ちは、私だって良くわかるつもり。春香、あんたのその小さな両手は、子供から大人になって、いずれ大きくなる。その時、力に従うような大人になるな。こいつらみたいに力に溺れ、人を傷つけるような大人に・・・私利私欲に溺れた大人になるな」
そこでツバキが振り返り、後ろにいる春香を見つめる
強く語ったツバキの表情は、おそらく真剣そのものだったろう
だが振り向いた今の彼女は、母性を感じさせるような・・・そんな、優しい微笑みを浮かべている
ツバキ「この町を守ろうと命を懸けた、あんたの母親のような大人になりなさい」
春香「っ・・・!」
その言葉に、春香の両目に溜まっていた涙が頬を伝って流れる
止まることを知らないかのように、次々と溢れ出る
春香が見たのは、穏やかで、優しさのあるツバキの笑顔・・・
先程までの怖く、冷たい程の視線を向けて領主に怒鳴っていたのが、まるで嘘のようだ
ツバキ「さーってと。覚悟なさい、このゲス。小狼、こいつ私がぶっ飛ばしてもいいわよね?」
小狼「え?・・・あ、はい」
また表情が変わって、ツバキはとても楽しそうな顔をする
その変わりように思わず戸惑い、小狼は気の抜けた返事を返してしまう
ツバキ「【にっこー】と、いうわけで。さっきのは本気じゃなかったし。本物の本気のレールガンでも、じっくりたっぷり、味わってもらおうかしら?そうすれば抵抗する気も失せて、羽根を大人しく渡す気になるんじゃないかしらぁ」
ファイ「【苦笑】ツバキちゃん、おっかないねぇ」
モコナ「ツバキ、こわーい!ある意味、最強!」
ファイ「ほんとにねー」
黒鋼「【冷汗】おっかないにも程があんだろ」
領主「わ、わしに触るな!く・・・来るなー!」
ツバキ「往生際が悪いわよ、あんた」
スッ
秘妖「そこまでだ」
ツバキ「あ・・・」