秘術の国
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ザアアアアア
ファイ「この水、やっぱ痛いねぇ」
黒鋼「当たったら服も体も溶けちまうみてぇだからな」
ツバキ「本物の酸性雨を頭から浴びてる気分だわ」
ファイ「ツバキちゃん、大丈夫?」
ツバキ「私なら平気」
秘妖「先程の童と同じ方法では逃げだせんぞ」
ツバキ「そんなのとっくに諦めてるわよ」
飛んできた珠を棒で払い退けようとしたファイだったが、直前で形が変わった
パアンッ
黒鋼・ファイ「「!!」」
ツバキ「ファイ!わっ!?」
片腕でツバキを抱えた黒鋼は、棒でファイを強制移動させ、同時に自分も避ける
ファイ「ケホケホ。黒むー、ひどいー」
黒鋼「ああしなきゃお前、今頃溶けてるぞ」
ファイ「そうなんだけどー、もっと優しく移動させて欲しかったよぅー。ツバキちゃんみたいに」
ツバキ「あ、ありが・・・とう」
黒鋼「ふん」
秘妖「なかなかやる童共だ。これは、久しぶりに退屈せずに済みそうだ」
周囲にある珠が、取り囲むようにして飛び交っている
ファイ「あー。あんなに速く動く上に、変形されたんじゃたまんないなぁ」
黒鋼「けっ。ぶよぶよ膨らんだり縮んだりしやがって」
ファイ「あはは」
ツバキ「面倒くさい状況よねぇ」
秘妖「ここまで耐えた人間は、童共と過去戦ったことのあるこの蓮姫の女秘術師だけだ」
ファイ「それって、春香ちゃんのお母さんかな?」
秘妖「そういう名前の娘がおると言っていたな。この国に真に必要なのは、あの馬鹿な現領主達ではなく、童達やあの女秘術師だろうが。今、私はここから出られぬ身。理不尽にも、私を意のままに操ろうとする者の身の程を弁えぬ令を聞かねばならん。名残惜しいが、童達。そろそろお別れだ」
高波となって、酸の水が襲い掛かる
ファイ「わー。これ最大のピンチとか言うやつかなぁ」
黒鋼「まあ、このままあれ食らったら死ぬだろうな」
ツバキ「でしょうねー」
ファイ「えーっと、それは困るかもー。オレ、とりあえず死ねないもん」
黒鋼「・・・・・・死にたくねぇのに、この事態になっても魔法とやらは使わねぇか」
ファイ「うん、ごめんねぇ」
黒鋼「・・・・・・俺にゃあ関係ねぇがな」
ファイ「ツバキちゃんは?」
ツバキ「私も、簡単には死ねないわ。一応、一国の王女だし。それに・・・・・・私が死んだら、アカネがひとりぼっちになっちゃう」
黒鋼・ファイ「「・・・・・・」」
ツバキ「で、黒みーは?」
黒鋼「俺も、こんな所では死なねぇ。帰らなきゃならねぇからな、日本国に。白まんじゅうは、あの姫の羽根とお前の蝶が見つかるまでは移動しねぇだろ。だったら、さっさと済ませて次の世界へ行く」
ツバキ「あ、あはは。なんか、ごめんねー。けどまあ。なかなか、らしい答えじゃない」
ファイ「オレも、あんまり一箇所にはいたくないからねぇ」
黒鋼「なんでだ?」
ファイ「・・・・・・元にいた国の水底で眠っている人が、もし目覚めたら、追いつかれるかもしれないから。オレは逃げなきゃならないんだよ、色んな世界を」
黒鋼・ツバキ「「・・・・・・」」
秘妖「最後の話は終わったか?」
ツバキ「勝手に最後にしないでくれる?」
ファイ「さーて、どうしようかー」
黒鋼「・・・・・・おい」
ファイ・ツバキ「「ん?」」
秘妖「では・・・・・・さらばだ」
酸の高波・・・そこから飛び出してくるように来たのは、ファイだった
秘妖「死に急ぐ気か、童よ」
だが、ファイの後ろから黒鋼が飛び出し、秘妖に向かっていく
秘妖「何!?」
ドシュ
秘妖「・・・・・・なかなかの策士だな」
刺されたと思った黒鋼の懐から出て来たのは、彼の代わりに秘妖の爪で刺されたマガニャンだった
フッ
ツバキ「【にっ】三重の策よ」
黒鋼の背後から、ツバキが顔を出して笑う
一番身長の高い黒鋼と被れば、小柄であるツバキは簡単に隠れる
それを利用し、先に飛び出したファイと、その後ろから飛び出した黒鋼が囮となった
本命は、ツバキを秘妖に届かせること
ツバキ「私、正直雨って苦手なのよね。鬱陶しいし、いろいろヤなこと思い出すから・・・さっ!」
バチィッ
パリン
フッ
ツバキの放った電撃が秘妖の額に当たり、何かが割れた音がした
次の瞬間、辺りの風景は元に戻った
ツバキ「あー、やっと戻ったわぁ。床サイコー」
ファイ「【苦笑】ツバキちゃん・・・」
黒鋼「また妙なことしやがったら・・・」
シャラ←秘妖がツバキの頬にキス
ツバキ「・・・・・・へ?」
ぐいっ
ツバキ「わっ」
黒鋼「てめっ!こいつになんの術かけやがった!」
後ろから黒鋼に腕を引っ張られ、秘妖から強制的に離されるツバキ
ファイにはその光景が、噛み付かれた主人を守る番犬に見えた--とか・・・
秘妖「今のは礼だ。私はあの石に込められた秘術で、領主に囚われていたのだ」
ファイ「あー、なるほど。それをツバキちゃんが雷で、粉々のバラバラに壊したんですねぇ」
秘妖「これで私は自由だ。あの馬鹿な領主親子より、余程気骨がある童達の行く道を塞ぐ気もない。知りたいのは領主の居場所だったな。この城の最上階に奴はおる。一番小さな童は、先に辿り着いたようだな・・・・・・また卑怯な手を使おうとしているな、あの