秘術の国
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
黒鋼「ったく、あれだけ歩いてムダ足かよ」
ファイ「んー、これ以上歩くのヤだねぇ」
壁の一カ所に手を当て、呟くようにファイが言う
ファイ「・・・・・・ここかなぁ」
小狼「何かありましたか?」
ファイ「この手の魔法はね、一番魔力が強い場所に術の元があるもんなのー」
黒鋼「この向こうに領主がいるのか?」
ツバキ「確かに強い力は感じる。けどそんな簡単に、ラスボスまで行けるとは思えないわ」
ファイ「ささっ、黒鋼っち。ストレス発散にぶっ壊して!」
黒鋼「・・・・・・魔力は使わねぇんじゃなかったのかよ」
ファイ「今のは魔力じゃなくて、カンみたいなもんだから。ね、ツバキちゃん?」
ツバキ「あ、うん・・・」
曖昧な声色で答えるツバキは、ファイを横目で見つめる
ツバキ〈とは言っても、相手より強い魔力を持っていなければ、簡単にはわからないだろうけど〉
ドゴ
ガラガラガラ
モコナ「あたりー!」
ツバキ「殴って壁、壊す?フツー」
小狼「誰かいます」
黒鋼「誰だ?てめぇ」
秘妖「たかだか百年程しか生きられぬ虫けら同然の人間達が、口の利き方に気をつけよ。と、言いたいところだが、久しぶりの客だ。大目に見てやろう」
黒鋼「あー?何言ってんだ?とりあえず、さっさと領主とかいうのの居所を吐け。面倒くせぇから」
ファイ「黒ぷん、短気すぎだよぉ」
秘妖「面白い童達だ」
ファイ「ほめられちゃったー」
黒鋼・ツバキ「ガキって言われたんだよ!/ガキって言われたのよ!」
小狼「この城の中に、探し物があるかもしれないんです。領主がどこにいるか、教えて頂けませんか」
秘妖「・・・・・・良い目をしている。しかし、その問いに答えることはできんな。それに、ここを通すわけにもいかぬ」
ファイ「えっと、それはー。オレ達を通さないためには、荒っぽいコトもしちゃおっかなーって感じですかねぇ」
秘妖「その通り」
次の瞬間、景色はあっという間に変わってしまった
ツバキ「これって・・・」
黒鋼「・・・・・・幻か」
秘妖「いいや、秘術だ。幻は惑わせるだけだが、私の秘術は・・・・・・ただ美しいだけではないぞ」
人差し指で弾くような動作をすると、辺りに浮いていた珠の1つが飛んでいく
その行き先には小狼がいる
珠は小狼の目の前で弾け、水が飛び散る
小狼〈水!?〉
ジュウウウウウウ
小狼「・・・溶けた」
ツバキ〈酸・・・〉
秘妖「私の秘術によって出来た傷は、すべて現実のものだ」
ファイ「ってことは、大怪我をするとー」
秘妖「死ぬ」
飛び掛かってくるたくさんの珠を避けていると、小狼が着地した石柱が消えた
片足は下に広がる水に浸かってしまう
ジュッ
小狼「!!」
ツバキ「小狼!?」
小狼「く・・・っ!」
すぐに飛び上がり、別の石柱へと足を着ける
小狼「足が!!」
秘妖「この池も、この珠と同じもので出来ている。そして、この中の目に見えるものすべてが本物とは限らない」
黒鋼「池に落ちたら溶けちまうってことかよ!」
ファイ「黒みん、これ壊して」
ツバキ「街灯?」
黒鋼「ああ!?なんでだ!?」
ファイ「素手じゃいつまでも避けるしか出来ないでしょ?」
黒鋼「自分でヤレ!!」
ツバキ「【苦笑】って、なんだかんだ言って壊すのね」
パシ
ファイ「これで、触らずに珠を壊せるよ」
ツバキ「電撃で壊して、変に化学反応起こされるのも面倒だしね。私も借りるわよ!」
パパパパン
ファイ「ひゅー。黒さま、すてきー♡」
黒鋼「だから、口で言うくらいならやめろ!!」
ファイ「さて。ここで、ずっと玉遊びしてても仕方ないよねー。小狼君ー、モコナと一緒に先に進んでー」
小狼「まだ決着は付いていません」
ファイ「うん。でも、人数いっぱいでかかってもあんまり効果なさそうだしー。それに、足が動くうちに先に進むべきでしょう。小狼君には、やるべきことがあるんだから。大丈夫。ここは黒ぴーがなんとかするから」
黒鋼「また俺かよ!!」
小狼「・・・ありがとうございます」
ファイ「あの上の方が魔力が薄い。小狼君なら出られるよねー」
モコナ「すごく高いー。小狼、届く?」
黒鋼「おめっ!そんなトコに隠れてやがったのか」
モコナが顔を出したのは、小狼の服の懐からだった
ツバキ〈いつの間にか、いないと思ったら・・・〉
ファイ「それも大丈夫だよー。あのね」
秘妖「なんの相談かは知らないが、私をあまり退屈させてくれるな。童達」
ファイ「すみませーん。すぐ終わりますからー」
黒鋼「なんで俺が・・・!」
小狼「行きます」
石柱から飛び上がった小狼は、黒鋼が持つ棒の先に乗る
そのまま黒鋼が振り、勢いに乗って小狼が飛び上がった
秘術で作られた結界のようなものの天井を壊し、小狼は脱出した
ファイ「2人共カッコいいー。ひゅー」
黒鋼「だからやめろ」
秘妖「一人逃がしてしまったのだな。仕方ない。残った童に、少々
珠が同時にいくつも頭上で割れ、雨のように3人に降り注ぐ
ファイ「なかなかマジなピンチだねぇ」
黒鋼「・・・ふん」
ツバキ「面白そうじゃない」
3人の顔は、この状況にも関わらず--笑っていた