秘術の国
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
黒鋼「何でっ、俺がっ、人ん家、直さなきゃ、ならねぇんだ、よっ!」
トンカントンカントンカン
ファイ「一泊させてもらったんだから、当然でしょー」
黒鋼「しかし、あの子供一人で住んでるとはな。この家」
ファイ「んー。お母さん、亡くなったって言ってたね。春香ちゃん」
黒鋼「で、いつまでここにいるつもりなんだ?」
ファイ「それはモコナ次第でしょー」
ツバキ「【こくこく】」
黒鋼「あーくそー!なんで、あの白まんじゅうはあの
とんかんとんかんとんかん
ファイ「あははは。春香ちゃんの案内で、小狼君とサクラちゃんとモコナで偵察に行ったし。何か分かるといいねぇ」
黒鋼「しかし、大丈夫なのか。あの姫、出歩かせて。しょっちゅう船、漕いでるか寝てるかだぞ」
ツバキ「足りないのよ、記憶の
ファイ「まあ、羽根が戻っても、小狼君との思い出は戻って来ないけどね」
黒鋼「・・・・・・」
ファイ「それでも探すでしょう、小狼君は。色んな世界に飛び散った、サクラちゃんの記憶の
黒鋼「【びきっ】って。ナニ茶飲んでくつろいでんだよ!」
ファイ「んー?」
黒鋼「お前もヤレよ!!」
ファイ「やー、黒ぴっぴの働く姿を見守ろうかなーって」
ツバキ「ちょっと、あんた。頭、トンカチ。クリンヒットしてるから」
ファイ「あははー」
ツバキ「笑い事じゃなくね?」
ファイ「ツバキちゃんは、何かあった?」
ツバキ「え?」
ファイ「春香ちゃんのお母さんのこと聞いた時、悲しそうな顔してたから」
ツバキ「!」
黒鋼「・・・・・・」
ツバキ「・・・・・・私も、両親死んだから。なんとなく、ね。正確には、殺されたらしいんだけど」
ファイ「え?」
黒鋼「・・・・・・らしいってのはどういう事だ?」
ツバキ「・・・・・・わからない。殺されたっていうのは、覚えてるんだけど・・・誰になのかが、思い出せなくて・・・」
黒鋼「・・・?」
ツバキ「誰なのか・・・突き止めてた気は、するんだけど・・・」
ファイ「ツバキちゃん?」
ツバキの声が少しずつ、重いものに変わっていくことに疑問を持つ黒鋼
同じく疑問に思ったファイが顔を覗き込むと、彼女の目が細められているのがわかった
開いては閉じ掛ける--これが数回繰り返される
ツバキ「思い、出せな・・・」
ふらっ
黒鋼・ファイ「「!?」」
ドサッ
黒鋼「おい!」
ファイ「【ほっ】大丈夫。寝ちゃっただけみたいだよー」
床に頭がつく前に、ファイが彼女の上体を支えた
ファイ「ずっと普通に起きてたから、特になんとも思わなかったけど。ツバキちゃんも記憶の
黒鋼「なぜ姫と小娘は違う?」
ファイ「単純に、取り戻した記憶の量の違いだと思うよ。ツバキちゃんのアゲハ蝶は、アカネちゃんによって何羽かは戻ってきてる。でもサクラちゃんの羽根は二枚だけだから」
黒鋼「だから小娘には、意志も自我もある。あの姫ほど、眠気に襲われやすいわけでもない。ってわけか」
ファイ「それでもやっぱり、アゲハ蝶を取り戻せば体が対応しようとして睡眠を取らせるし。まだ足りないから、元のツバキちゃんと同じように起きて行動することはできない。サクラちゃんよりは、まだマシな方だろうけど」
黒鋼「・・・・・・」
ツバキの体を横にさせ、頭を自分の膝に乗せてやるファイ
静かに寝息を立てる彼女の前髪に触れ、払うようにそっと撫でる
ツバキ「ん・・・」
ファイ「【クスッ】」
黒鋼「・・・・・・」
くすぐったそうに身動いだツバキに、思わずクスリと笑うファイ
そんな2人を、修理中の屋根から黒鋼は見下ろしていた
黒鋼「・・・・・・小娘の蝶も、あの白まんじゅうは感知できるんだったよな?」
ファイ「阪神共和国の時に、波動を覚えたって言ってたから。モコナもわかるはずだよー」
黒鋼「・・・・・・」
ファイ「もしかして黒りん、気になってるのー?ツバキちゃんのアゲハ蝶が、この世界にあるのかわかるのかなーって」
黒鋼「そんなんじゃねぇ!あと妙な呼び方するんじゃねぇ!」