神の宿る国
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
正義「止まれーーー!止まれってばーーー!!」
キラキラ
正義「光ってる!?」
ドン、ドドン
正義「小狼君!!」
小狼「おれには探してるものがあるって言いましたよね。今、君の巧断の中にそれがあるんです」
正義「こ・・・これですか!?」
小狼「それを取り戻したいんです」
正義「でも!今僕の巧断は全然言うこと聞いてくれないんです!近寄ったら小狼君に怪我を・・・!!」
ズン
正義「僕の巧断から火が!!やめろー!!小狼君が!!!小狼君が・・・・・・死んじゃうよ!!小狼君!・・・・・・小狼君・・・・・・熱っ!!」
小狼「【ハッ】正義君!!」
正義「取・・・って、下さ・・・・・・い!僕の巧断の中にあるものが、小狼君の探していたものだったら、ちゃんと渡したい・・・!だから熱くても平気です!!取って下さいーーー!!!」
そして伸ばされた小狼の手は・・・羽根に届いた
小狼は地面に着地
元の大きさに戻った巧断と正義は、小狼の巧断が背で受け止めた
正義「笙悟さんの巧断・・・」
雨が降り出したかと上を見上げると、笙悟の巧断から水が降ってきていた
笙悟「とりあえず、火事になるのはふせげたかな」
小狼「さくらの羽根・・・・・・さくらの記憶・・・・・・ひとつ、取り戻した・・・」
空汰「曇ってきたなぁ。こりゃ、一雨来るかな?」
ダダダ
空汰「お帰りー、小狼ー!どうやったー?」
が、小狼は何も答えることなく、掃除をしていた空汰と嵐のそばを走って通り過ぎる
空汰「また、急いで。なんでそんなにボロボロなんや!?」
小狼「さくらの羽根がひとつ、見つかったんです!」
空汰「ほんまか!?」
急いで部屋に戻り、サクラへと羽根を返す
小狼〈この羽根で目を覚ましてくれ、さくら!!〉
サクラの手を握り締め、祈るように待つ
そして、すう、と目が開き--
小狼「さくら!」
サクラ「・・・あなた、だあれ?」
声を発したサクラの第一声により、小狼の嬉しそうだった表情は一気に曇った
握り締めていた手を離し、無理に笑顔を作った小狼が口を開く
小狼「おれは小狼。あなたは桜姫です。どうか落ち着いて聞いて下さい。あなたは、他の世界のお姫様なんです」
サクラ「他の・・・世界?」
小狼「今、あなたは記憶を失っていて、その記憶を集めるために異世界を旅しているんです」
サクラ「・・・一人で?」
小狼「いいえ。一緒に旅している人がいます」
サクラ「・・・あなたも・・・一緒なの?」
小狼「はい」
サクラ「・・・・・・知らない人なのに・・・?」
小狼「・・・はい」
ファイ「サクラ姫、はじめましてー。ファイ・D・フローライトと申します」
モコナを肩に乗せたファイが入り、小狼の肩にそっと触れる
ファイ「で、こっちはー」
黒鋼「黒鋼だ」
ファイ「で、この子はー」
ツバキ「ツバキよ。よろしく」
ファイ「で、このふわふわ可愛いのがー」
モコナ「【しゅたっ】モコナ=モドキ!モコナって呼んでっ」
黙って部屋から出て行く小狼を、黒鋼とツバキが見送る
外では雨がザーザーと降り頻っている
ファイ「泣くかと思った。あの時。サクラちゃんは小狼君の本当に大切な人みたいだから。だからこそ、だれ?って聞かれた時、泣くかと思った」
窓から外を見ながら、ファイが言う
そこから見えるのは、顔を俯かせている小狼と、その彼に寄り添う炎の巧断
ファイ「今は・・・泣いてるのかな」
黒鋼「さぁな。けど泣きたくなきゃ、強くなるしかねぇ。何があっても泣かずにすむようにな」
ファイ「うん。でも。泣きたい時に泣ける強さも、あると思うよ」
ツバキ「同感」
まるで、小狼を雨から守るようにして現れた、鳥と竜の巧断
そして小狼の巧断と同じように寄り添う、ペガサスのような巧断
ツバキはその光景を見下ろしながら、ふと口を開いて呟く
ツバキ「こういう時の一番の被害者って・・・忘れた方じゃなくて、忘れられた方なのかな」
黒鋼「あ?」
ツバキ「忘却って、忘れてしまった本人も被害者だけど・・・忘れられてしまった人達もまた被害者なのよ。まあ、忘却してしまった側である私が言うのも、おかしな話なんだけどね。ただふと、そう思ったの」
ファイ「ツバキちゃん・・・」
そんな会話のことを知らず、サクラは自分の手を見つめていた
小狼が握り締めていた手を--
サクラ「眠っている間、誰かが握っててくれてたのかな。手・・・すごく・・・あたたかかった」