神の宿る国
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ツバキ「・・・・・・」
モコナ「ツバキ、どうしたの?」
夕飯を済ませて部屋に戻ったツバキは、膝の上にモコナを乗せたまま、窓の外を見つめていた
ツバキ「ううん。なんでも」
モコナ「でもツバキ、なんだか悲しそうなの」
ツバキ「・・・・・・私の蝶。どこにいるのかなぁ、って」
モコナ「・・・・・・」
ツバキ「そんな暗い顔しないで、モコナ。サクラの羽根みたいに、一度アゲハ蝶の波動を感じれば、きっと今後はすぐにわかると思うの」
モコナ「ほんと?」
ツバキ「うん。だから、その時はよろしくね」
モコナ「うん!まかせて!」
ツバキ「【クスッ】・・・っ!」
モコナ「【めきょっ】ツバキ、あの紅い蝶!すごく強い力を感じるの!」
ツバキ「!」
窓の外を舞うように飛ぶ、紅い光を放つアゲハ蝶
しかしアゲハ蝶は、彼女達に気づいていないように飛んでいこうとする
モコナ「大変!蝶々がどこかへ行っちゃうの!」
ツバキ「・・・・・・あの蝶は元々、私の中にあったもの。なら・・・」
モコナ「ツバキ?」
両目を閉じ、祈るように両手を組む
アゲハ蝶に意識を集中し、気づいてもらえるよう、必死に祈る
モコナ「あ!蝶々がこっちに来るよ!」
ふわり、ひらりと舞うように飛ぶアゲハ蝶は、ツバキへと向かう
パアアア
スウ
アゲハ蝶がツバキの中に入り、彼女の体が後ろへと傾く
モコナ「きゃー!ツバキ!」
ドサッ
モコナ「黒鋼、ファイ?」
ファイ「黒様、ナイスキャッチー」
黒鋼「うるせぇ」
ファイ「ツバキちゃん、眠っちゃってるみたいだねぇ」
モコナ「ツバキ、よく寝てるの」
ファイ「たぶん、蝶が戻ったからだろうね。体が対応しようとして、その手段として睡眠を取ってるんだよ」
黒鋼「最初、あの蝶が小娘に気づかなかったのは何故だ?元々、この小娘のなんだろ?」
ファイ「うん、ツバキちゃんのものだよ。けど今のツバキちゃんは、記憶も魔力も不足してる。だからきっと、魔力を感知できなかったんだよ」
黒鋼「それで小娘を見失い、戻って来られなかった」
ファイ「たぶんね。はい、黒たん。ツバキちゃん、ここに寝かせてねー」
話ながら布団を敷いたファイに促され、黒鋼はツバキの体を抱え上げると、布団に横にさせた
すぐにファイが毛布を被せる
ファイ「どう、モコナ?波動は記憶できた?」
モコナ「うん!今度からは、ツバキの蝶々も探せるよ」
ファイ「そっか。なら、よかったー」
黒鋼「小娘を見失ってたなら、なんで今は戻ってこられたんだ?」
ファイ「さっきツバキちゃん、祈るみたいなポーズしてたでしょ?意識を集中させてたから、力を感じ取れたんじゃないかなー。でもよかったね」
黒鋼「何がだ」
ファイ「もしもツバキちゃんのアゲハ蝶も、巧断に取り込まれていたら・・・サクラちゃんの羽根を見つけるのよりも、大変だったろうからね」
黒鋼「・・・・・・」
静かに眠るツバキの寝顔を、黒鋼が黙って見つめる
ファイ「心配?」
黒鋼「あ?」
ファイ「昨日の夜、急に寝ちゃったもんねぇ。ツバキちゃん」
モコナ「え?そうなの?」
ファイ「うん。まあ、偶然にも通り掛かった黒っちが、ツバキちゃんを横にさせたんだけどねー」
モコナ「黒ぽん、やさしいー」
黒鋼「うるせぇよ」
そう言いながらも、黒鋼の声音は不機嫌そうなものではなかった
ファイはツバキの横に腰掛け、顔に掛かった前髪をそっと払ってやる
その彼の表情は、どこか優しげだった
ファイ「ツバキちゃんって、なんかちょっと不思議な感じの子だよね」
黒鋼「?」
ファイ「なんていうか、雰囲気が・・・かな」
黒鋼「・・・・・・ただの小娘だろ」
ファイ「一応、お姫様なんだけどなぁ」
黒鋼「こんな雷女、姫だなんて思いたかねぇな」
ファイ「あはは。でも、なんでツバキちゃんの能力も巧断も、雷なんだろうね」
黒鋼「・・・・・・俺が知るか」