cotton Candy
夢小説設定
この小説の夢小説設定夢主の設定
・20歳
・職業は芸能界関係、所謂アイドル。(ある理由で隠している)
・尚、芸能界ではMCnameを使っているので、本名は公開していない。
・控えめの性格。
・容姿については任せます。
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朝。
今日はなんのスケジュールも入っておらず、普段の疲れからすやすやと眠っていた。
ベットのそばにあるカーテンは閉ざされており、閉ざされた窓の外から風が入って揺れることもない。
そんな誰も邪魔することを知らない夢の中に私はふよふよと浮かんでいた時のことだった。
ガチャリ。
玄関から鍵の開く音がすると誰かが中に侵入してくる。
眠っている私には何も聞こえないし、知らない。
「……」
無言で、その男は私の部屋へと入ってくる。
私が寝ているのを確認するとすぐ近くまで顔を寄せる。
「寝てンじゃねぇよ。」
その人物が何を言おうと私は起きようとしなかった。
それを見て、彼は少し悪戯をしようとした。
「………」
顔の距離が近くなる。目を細め、まるで何か今にも壊れそうなものを見ているような優しい眼差しで見つめる。近づく。
あと少し…少し…
…と、もうすぐ額がつきそうな距離で私の瞼が開く。
『…ん、あれ…お兄さん…?』
「チッ…だからその呼び方やめろって言ってるだろ。」
先ほどまで近かった顔を離し舌打ちをされたが、寝ぼけていた私には顔が近かったこと、なぜ不機嫌なのか分からずにいた。
もしかして、昔の呼び方で言ったからだろうか…?
『んー…左馬刻、さん…』
「…おー。」
目を擦り、無防備な笑顔(その時は完全に無意識だったが)を向けて名前を呼ぶと彼は少しだけ嬉しそうに微笑む。
『…そういえば、左馬刻さんはなんでここに居るんですか?』
ようやく記憶やら思考能力やらが復活していた時、出たのは疑問。
合鍵は渡した記憶はある。あるけれど、何故来たのか。
「…合歓と一緒に遊んでた時のお前思い出して会いたくなったから来た。」
『…えっと…それだけですか…?』
「あと、お前のことだから、自分の朝飯とかちゃんと食べてンのか分かんねえからな。」
『それは…はい…』
「だろうな。俺様が作ってやんよ。」
私は、合歓ちゃんとは同じ中学、高校に進んでいた。
合歓ちゃんは後輩ながら女子力が高くて沢山友達は居たけれど、その中で私を親友にしてくれた。
対して私は友達など同級生には2、3人くらいしか居なくて、クラスにもあまり馴染めないでいた。
だからこそ、私の中で合歓ちゃんという存在は本当に大きい。
そして、合歓ちゃん経由でおにいさ…左馬刻さんとも知り合った。
最初はお兄さん、お兄さんと呼んでいたものの、左馬刻でいいと言われたのは合歓ちゃんが高校1年…私が、高校2年生の頃。
そして、私の職を知っている数少ない人物の一人でもある。
『私も手伝います…!あの、お、お料理練習したいので…!』
「あ?誰かに飯でも作んのかよ。」
『はい、つい昨日お礼にご飯をご馳走すると約束したんです…!』
「何作るんだ?」
『鯖の味噌煮です。』
昨日ネットで調べた一郎の好物。
最初見た時は意外だった。彼は意外と和風なものが好きなのか…と。
わざわざそのことまで口にすることはなかったものの、メニューだけで誰に作るのかが分かったのか、左馬刻さんは顔を顰めた。
「…それ、一郎に作るんじゃねえだろうな。」
『え…?な、なんで知って…』
「あー…なんでもねえ…とりあえず、お前はあぶねーから座っとけや。」
『は、はい……』
言われた通り、リビングにあるテーブルの椅子に腰掛けて座っているとキッチンからいい匂いがふわりと香る。
それと同時にジュゥゥ…というベーコンを焼くおとが眠っていた食欲を覚ますものだから、私は早く食べたいと気付けばキッチンを覗いていた。
それを手伝いたいと思っていると解釈したのか、左馬刻さんが此方を見るとおかずの盛ってある皿を渡して向こうに持ってけ。とお願いされたので、喜んで持って行った。
「美味しそう…!」
『ハッ、たりめーだろ。俺様が作ってやってんだからよォ。』
ご飯を持った皿を二つ、左馬刻さんが置くと私の席の向かい側について、お互い手を合わせる。
『「いただきます」』
そう言ったのを合図に私の箸は迷わずおかずを取りに向かう。
最近は朝忙しすぎて朝食はヨーグルト一つでなんとかしていたので、こんなマトモな朝食は本当に久しぶりだった。
『!お、美味しい…美味しいです!』
「ん、まあまあだな。」
まあまあという割には驚くほどの美味しさで、私は少しいつもより多めに盛られたご飯もいつもより早く食べ終わった。
手を合わせてご馳走様と言うと、先に食べ終えていた左馬刻さんが私の目の前にコーヒー(砂糖とミルク入り)を一杯置いてくれた。
「あ、ありがとうございます…!」
『冷めないうちに飲めや。』
「あ、はい、いただきますね…」
そうしてカップに口をつけると
『あっつ…っ』
「あ?…猫舌か」
『そのとーりれす…』
舌を少し出して涙目で返事をすると左馬刻さんはその様子を面白いと感じたのか、笑われた。笑い事じゃないんだよなあ…
そんな様子を横目にまだ熱いコーヒーをふーふー、と冷ましながら少しずつ飲むと、ようやく火傷が少し収まり、味が分かった。
『美味しい…』
「おー、分かったからゆっくり飲め。」
カップの角度を変えると左馬刻さんにそう言われる。でも、本当に美味しいのだから仕方がない。
この人は本当にたまにお兄さんの顔を見せてくるからか、何故か居た堪れない気持ちになる。
『…美味しかったです!ご馳走様。』
「なんでも美味いって言うな、お前。」
呆れたように笑う姿に何故か此方も笑ってしまう。
すると何笑ってンだよ。と優しくデコピンされてしまった。なんで…
「ンじゃあ、様子も見れたし、やりてえこともやれたから帰るわ。」
『あ、はい!気をつけてくださいね!』
「おー。また今度ヨコハマ来る時は連絡寄越せや。」
ガチャン
扉が閉まる音がする。
さて、今日はこれから何をしようか。