不穏な中忍試験
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カリカリ…
教室に文字を書きつける音が響いている。
…みんな本当にわかってるのかな。
「…」
私、一問もわからないけど。
これでもアカデミー副主席なのに。
「…はぁ」
カンニングしたら2点減点、実質4回までカンニングできるわけだけど、普通カンニングって即失格だよね。
それにこの異常な試験官の数。
忍なら裏の裏を読め…意図を考えろ、かぁ。
それなら私もカンニングするか。
ワンワン…
キバの赤丸が小さく鳴いてる。
イノは…心転身の術を使ってるみたいだ。
テンテンは鏡を動かしてるし…。
…無様なカンニングじゃなければ見逃してくれるんだな。
「…」
でも問題はどうやってカンニングするかだよね。
私の術にカンニングできそうな術はない。
それなら物は試し、よね。
スッ
手から生み出した種子をサクラの机へ投げた。
…この種を通じて机の木を転写板にして…
「…木転写の術」
イノなら見逃してくれるはず。
ズッ
私の机から、薄い木の板がでてきた。
「…成功!」
私は木の板に書かれている解答を紙に写していく。
「…よし」
解答を全て写した。
私は術を作る才能があるのかもしれない。
二人はどうかな。
マダラは大丈夫だろうし、タグラは…
サァァッ
教室を霧が覆った。
それと同時に、タグラの手が動き始めた。
「…大丈夫そう」
カチッ
時計の針の音が教室に響いた。
「よしっ!これから第10問目を出題するっ!」
最終問題は試験10分前に試験官の指示に従うように書かれている。
もうその時間が来たらしい。
…どんな問題なんだろう。
「その前に一つ、最終問題については、ちょっとしたルールを追加させてもらう」
パタッ
「…!」
黒い服の人は、試験官とともに、教室に入ってきた。
たしかあの人は…カンクロウだ。
「フッ、強運だな、お人形遊びが無駄にならずにすんだな」
「…」
お人形?
…カンクロウの隣の試験官は傀儡か何かなのかな。
「…ッ」
カンクロウは席についた。
「では説明しよう。これは絶望的なルールだ」
「…」
「まず、お前らには、この10問目の試験を受けるか受けないか選んでもらう」
「受けないって!もし受けないを選んだらどうなんの!?」
「受けないを選べば…その時点でその者の持ち点は0となる。つまり失格。勿論、同伴の2名も道連れ失格だ」
ザワザワッ
「そんなの受けるに決まってるじゃないか!」
「大体、道連れなんて卑怯だ!!」
教室がブーイングで溢れている。
「そして…もう一つのルール。受けるを選び、正解できなかった場合、今後永久に中忍試験の受験資格を剥奪するっ!」
「えっ!?」
永久に!?
千手なのに一生下忍だったら、面汚しにも程があるよ!?
「んなバカなルールがあるか!ここには、中忍試験を何度か受験してるやつだっているはずだ!」
キバは完全にきれているようだ。
「ッフフッ…ックハハハッ!!」
シン
イビキ先生の笑い声に教室が静まり返った。
「運が悪いんだよ、お前らは!!今年はこの俺がルールだ」
「…」
「…その代わりに引き返す選択肢も与えてるじゃねぇか。自信がない奴は引き返して、来年も再来年も受験したらいい…クハハハッ!」
「…」
この不条理感はあの時に似てる。
茸が2つしか用意されていない、そんな不条理な試験。
マダラはあの時裏を読んでいた。
「では…始めよう…。この第10問目、受けない奴は手を上げろ。番号確認後、ここからでてもらおう」
ガタッ
「俺は…俺はやめるっ!受けない!」
「50番失格。130番、111番、道連れ失格」
ガタガタッ
「俺もだ…」
「俺も…」
手を挙げ、多くの人が教室をでていく。
私の同期は手を挙げていない。
けど…この中の全員が受かるのだろうか。
もし、不正解だったら。
「…」
いや、私もマダラの真似をしよう。考えるんだ。
そもそも試験官一人で、本当に他里の忍まで一生試験を受けさせないなんて権限あるのかな。
それに、中忍の数が増えないって、里にとってデメリットしかないと思うんだよね。
「…20番、失格!53番、92番道連れ失格!」
バタバタッ
「…」
この試験はカンニング前提にしてるわけだし、10問目だって、単純な学力問題をだすわけがない。
カンニングのように、抜け道が用意されてるはず。
なら、もちろん…
「…ナルトっ!?」
思わず声に出してしまう。
ナルトが、手を挙げたのだ。
その手は…震えている。
「…っ!!」
バンッッ!!
「…!」
ナルトは、挙げた手を勢い良く机に置くと、立ち上がった。
「舐めんじゃねぇー!俺は逃げねぇーぞ、受けてやるっ!もし一生下忍になったって、意地でも火影になってやるから別にいいってばよっ!!こわくなんかねぇーぞぉっ!!」
ガタンッ
「…」
ナルトらしいな。
「もう一度聞く…人生をかけた選択だ。やめるなら今だぞ」
「真っ直ぐ自分の言葉は曲げねぇ!俺の忍道だ!」
「…」
イビキ先生は、他の試験官の方を見た。
試験官は、イビキ先生と目を合わせると、小さく頷いた。
「これ以上は意味ねぇか…」
「ここに残った全員に、第一の試験、合格を申し渡すっ!」