出会い
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「…お先にすいません」
マダラはお風呂から、ブカブカなズボンを引きずりながら出てきた。
短く捲ったのだろうが、落ちてきてしまっている。
「いえ、いいのよ!」
手は出ていない、萌え袖って奴だ。
ぷぷ、かわいい。
あ、てか…髪が濡れてるとなんか色気あるし…ずるい。
「…ぶっかぶかね」
そんな考えが顔にでないようにマダラに軽口を叩く。
「別に不自由はねぇーよ」
「ごめんね…男物は大きいものしかなくって…やっぱりユヅキの服の方がいいかしら」
「ママ!私は貸さないわよ」
「いえ、こっちの方がいいです」
「む…」
こっちの方が良いって言われるとちょっとむかつくけど。
「そう。それなら今日はそれで我慢してね。明日買ってくるわ!」
「ありがとうございます」
「お着物と雪駄だけでは不便でしょうし、アカデミー用の服と、つっかけも必要ね。マダラ君、一緒に買いに行く?」
「…ママと買い物行くと永遠に着せ替えさせられるから行かない方がいいよ」
マダラにこっそりと耳打ちをしといた。
「…いえ、大丈夫です。買ってもらえるだけでありがたいので」
「そう?そんなに遠慮しなくていいからね?」
ママはマダラを着せ替えたいだけだろう。
「いいんだってー」
本音には、マダラだと古風なもの選びそうだし、ついていく私もめんどくさい、っていうのもあるし。
「はい、遠慮じゃないです」
「そう。それならマダラ君、好きな色はある?どんな色の服にしたらいいかしら」
「…黒とか藍色とかかな」
「わかったわ、何着か選んでくる!じゃあ、私はお風呂に入るわね。マダラ君のお部屋はユヅキの隣だから。これから自由に使っていいわよ!」
「ありがとうございます。おやすみなさい」
「おやすみなさい~!」
パタッ
マダラとリビングに二人きりになった。
「…」
なんか二人でいるとちょっとドキドキする。
マダラって無駄に顔がいいし。
まぁ、ドキドキっていっても、ちょっとだけだけど。
「なぁ、ユヅキ」
マダラがこちらを見てきた。
「な、なにっ!?」
「…」
「…」
ごくり、と唾を飲み込んだ。
ママがいたら話せない、何か重要なこと?
ていうか….やっぱり顔がいいな…あー!変なこと考えんな私!
「その…テレビつけてもいいか?」
「はっ!?」
「…なんだよ」
マダラは視線を反らして、少し恥ずかしそうだ。テレビのどこに恥ずかしい要素があるってんだ!
「そんなこと溜めて言わないで!?」
「べ、別に溜めてねーけど」
「なんか妙な間があったから!!てか、マダラ明日試験でしょ?朝早いんじゃないの?」
「ちょっと見たかっただけだ、ケチ」
「は!?心配して損した!勝手に寝坊すればいいよ!」
「わかったよ、心配どーも。もう寝る」
「そもそもマダラって朝起きれるの?」
「俺は日が昇れば目覚める」
「何それ。夏だと三時とかに起きるの?」
「流石にそんなことはねぇよ」
「なんだ、はったりか」
「お前なんか一々うぜぇな!?」
マダラは、ふるふると肩が震えてる。
なんかマダラをからかうの面白いな、わかりやすくて。
「ふふっ!」
「てめー!何笑ってんだ!!」
「いや!あ、あと髪を乾かしてから寝た方がいいと思う。ドライヤーあるよ、マダラの部屋にも」
「あ?なんだよ、どらいあーって」
「突っ込むのめんどい。部屋に行けばわかるよ」
マダラと二人で二階に上がる。
「ここがマダラの部屋ね」
カチャ
この部屋に入るのは久しぶりだ。
だけど、ママは定期的に掃除しているんだろう、綺麗な状態だ。
「この部屋全部俺が使って良いのか?広いな」
「…」
「…ユヅキ?」
「ドライヤーはあのベッド脇に置いてあるやつだよ。それじゃあ、お休み」
「…あぁ。お休み」
ガチャリ
「ふぅ」
ベッドにダイブすれば、急に肩の荷が下りた気がした。不安だったから。
でも、マダラがスパイって疑われなくて良かった。悪いやつじゃなさそうだし、何より、同じ子供が辛い目に会うのは見たくない。
「…」
私ももう寝るか。
カチッ
部屋の電気を消した。
……
「うおおおおっ!?」
「…何?」
その声にどうかしたのかと、向かってみる。
ウイィーン
「…」
「ユヅキっ!これから風遁が…!すげーな!!」
マダラはドライヤーを顔に向けながら目をキラキラとさせている。
「あーはいはい、それがドライヤーね。それで髪乾かすのー。今度こそ、お休み」
「待て」
ドライヤーの音が止まった。
「何?」
振り向けば、マダラと目があった。
「ユヅキ。俺はお前に助けてもらった。だから、お前に嘘はつかねぇ、約束する」
「ふむ、それはいい心がけだ」
「なんかいらっとするわ、お前」
「そう?」
「…。ま、いい。その代わり、お前も俺に隠し事すんなよ」
「うーん。それは考えとく」
「はぁ?不公平だな」
「じゃ、いいよ。マダラも無理にそんな約束しなくて」
「いや。一度決めたことは曲げたくねぇから撤回はしねぇよ」
「そう。ならマダラの言ってること全て信じるよ」
「おう!」
「それじゃ」
「あ、あとさ、姓考えてぇんだけど、何がいいかな?」
「無難にうちは、にしちゃえば?」
「それ全然無難じゃないやつな」