闇の中へ
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ズズズッ
「…分かったよ、マダラが長期任務に行った理由も」
「…ユヅキ。シスイが言っていたように…俺はうちはマダラなのかもしれない」
「うん。それでもいいよ」
「…俺は木の葉を潰そうとした男かもしれないんだぞ」
「一気に情報が入ってきてわからないことばかりなんだけど…私ね、マダラがうちはマダラ本人かそうじゃないかなんてどっちでもいいと思ったんだ。マダラが記憶を取り戻しても、取り戻さなくても、それだってどっちだっていい」
「なぜそんなことが言える?もし、俺があっち側についたらどうする?」
「…第一に思ってるのって、私のことなんじゃないの?」
「…あぁ」
「…だよね」
今までずっとマダラの優しさを受け取ってきたから。
「…」
「…私だってマダラの味方だって言った。マダラが正義だと思うことなら、私はそれが正義なんだと思う」
「…俺が罪なき人間を殺しても?」
「マダラはそんなことはしないよ」
「うちはマダラはした」
「私は、いま私の目の前にいるマダラのことを言っているんだよ」
「…」
「だから、マダラが人を殺しても私は正義だと信じるよ」
「…そうか」
「うん」
「…」
マダラは、瞳を閉じた。
サァァッ
「ユヅキ」
マダラの黒い瞳と目が合う。
何を考えているかずっと教えてくれなかった瞳が、揺らめいている。
「なに…?」
「…」
「…っ!マダラ!?」
マダラの手が私の髪を撫でた。
「…木の葉が髪についてた」
「…はぁ…先に言ってよ…」
「…」
マダラは無言で見つめてくる。
「ま、まだ何か…?」
「…あぁ」
トッ
「…わっ!?」
マダラに手を引かれた。
「…えっ!!?」
気づけば…
マダラの両足と腕に挟まれ、後ろから抱きつかれていた。
「ちょ…恥ずかしい…っ!!ここ火影岩の上だよっ!?」
心臓がドクドクしてきた…!顔も絶対赤くなってる…!
「遠くからは見えない。それに近くに気配は感じない」
「…そ、そういうことじゃなくて!」
見られてなくてもこんな場所で抱きつかれてるなんて!
「…少しの間だけだ」
「な、なんで…!?」
「…本音を言えば…」
「…少しだけ寂しかった」
少しの間の後、マダラは私を抱き締めたまま呟いた。
「…っ!仕方ないな…」
「これでおあいこだ」
「…全然違うもん…」
マダラの胸が呼吸と共に上下するのを感じる。
私の鼓動はマダラに聞こえているかな?
「…ねぇ…マダラ」
「なんだ?」
「…さっき私が抱きついたのにまたこうするってことはさ…結構寂しかったんでしょ?」
「どうだろうな」
「…そうやって大人ぶるとこは変わんないね」
「ユヅキが軽口を叩くこともな」
「…変わってなくて安心したからさ」
「…奇遇だな。さ、帰るぞ」
「…え、もう!?」
「恥ずかしいんじゃなかったか?」
「えっ、そ、それは…!!」
「なんだ?」
マダラは、クスリと笑うような顔をしている。
…なんか悔しい。
「も、もうっ!いいよ!…早く帰ろっ!!」
私は立ち上がった。
「お腹空いたしっ!!」
帰り道。
「え?」
私の家はここを左。
なのにマダラは右へ行こうとしている。
「ふふっ!マダラ、ひょっとしてうちの場所忘れちゃった?」
「俺はこっちに帰る」
「だから、うちはこっちだっ…」
「アパートを借りた」
「ええぇっ!!なんで!?うちに住んでいいって!マダラがいて迷惑だとか思ってないよ!?むしろママなんて、マダラがいなくなってすごく寂しがっていたんだからね!?」
「…気持ちはありがたいが、大丈夫だ」
「そもそも、そんなお金をどうやって!?」
「任務の報酬、それに賞金首を何人か捕まえた」
「えぇ!?すごっ!?」
「だから心配は無用だ」
「…わかった。でも、今日はママが待ってるよ」
「ユヅリさんに挨拶はしに行くが、日を改める」
「今日のご飯はいなり寿司だよ。いくらいなりに、ネギトロいなり、梅しそいなり、小松菜いなり、明太子いなり…」
「…それなら遠慮なくいただく」
「ふふっ!!昔と変わらないね!!いなり寿司だと一瞬だ!」
「…六年ぶりだからな」
「…え!?いなり寿司が!?」
「いや…いなり寿司は食べたが、美味しさが違うだろ」
「わっ!!それママに言ってあげて!ママめちゃくちゃ喜ぶから!!」
「あぁ、そうだな」
「…ていうかマダラってさ、言葉遣いは昔とは変わったよね」
「任務の時の話し方が染み付いた」
「なんか距離感あるんだけどー」
「そうか?」
「うん…ママはマダラの話し方がかわいい!って私によく話してたのになぁ」
「もうガキじゃない」
「うーん…」
マダラは大人っぽいけど…年齢的には微妙な気がするなぁ。
「…俺がまだガキだと?」
「微妙なラインかな…」
「心外だな」
「ま!ともかく!!ママのためにさ、今日だけでも昔の話し方に戻して!私からの任務!」
「断る」
「へぇー?断るならいなり寿司はあげないよー?」
「…困る」
「なら、はい!昔の話し方!」
「…」
「私だって、マダラの記憶見てなんか聞きたくなったんだもん!!」
「…」
「少しだけでいいから、お願い!!」
「…」
「いなり寿司あげな…」
「…分かったよ!仕方ねぇ、今日だけだかんな」
「…っ…」
「…」
「…ぷ…っ…」
顔のひくひくが…
「お前…」
「…ぷぷっ…あははははっ!!!顔に似合わなすぎて…はぁっ…!」
「…やめだ」
「あっ!…ご、ごめん!!もう絶対笑わないから!!」
「…次笑ったら?」
「いなり寿司を毎日マダラに献上致しますっ!」
「いいだろう…
…なら早く帰んぞ!腹減った!」
「…ぷっ………フフフッ……コホン」
「アウト」
「…今のはノーカン!!真顔で言うのはずるいっ!!ていうか笑わせに来てたっ!!」
「アウトだ」