出会い
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「ただいまー」
「お帰りなさい!あら?ユヅキのお友達?」
「失礼します」
「うん。ママ、今日泊めてもいいよね?」
「え!!もしかして…その…付き合って…」
「はぁ?そんなわけないでしょ」
ママには呆れるしかない。
「そう?それにしても、かっこいい子ねー!!」
ママはマダラを見てデレデレしている。
確かにそれは頷くしかないが。
「もう!!ともかく上がっていいよ!」
「あぁ、お邪魔します」
「あら、雪駄なのね」
本当だ、今気づいた。
里の忍は全員つっかけだから珍しい。
着物に雪駄、マダラって古風だよね…。いや…古風どころか違和感を感じる…。
「そ、そう!マダラはこだわりが強くて、アカデミーが終わると着替えるんだよね、和服に!」
「あら、そうなの!おしゃれさんね!」
なんか変な嘘をついちゃったけど仕方ないよね…。
「?…はい」
「さぁ、どうぞ上がって!」
ママはスリッパをマダラの前に置いた。
「これ…履き替えればいいんですか?」
マダラはスリッパをまじまじと見つめた。
「えぇ!」
「…」
スリッパ、見たことないのかな。マダラって、本当に分からないものが多いんだな。
やっぱり…一世代前の人って感じ。変なの。
スリッパさえも記憶喪失で分からなくなってしまうものなんだろうか。それとも未開の地的なところから来た?
「あなたのお名前は?」
「マダラです」
「マダラ…マダラ君ね!いらっしゃい!」
ママは、少しきょとんとした顔をしたが、すぐにいつものおっとりとした雰囲気に戻った。
「…すげぇ!」
リビングに入れば、マダラはさらに驚いたような顔をした。
「もう少しでご飯できるから待っていてね!」
「一々驚かないでよ。さ、そこのソファーに座って」
ママがキッチンに行ったのを見計らい、突っ立っているマダラに声をかける。
「あ、あぁ」
「…あれはなんだ?」
マダラはテレビを指差した。
「テレビだよ」
リモコンを手に取り、テレビをつけてみれば、いつもと同じニュース番組が流れた。
「てれびってすごいんだな!」
マダラは無邪気に目を輝かせている。
「もう!ママにそういうこと言わないでよ?初めて見た!みたいな態度とらないで」
「わかったよ…って俺は無意識にやっちまってるんだがよ」
「なんでもいいけど、ママには、まだ記憶がないこと、気づかれないようにしといてね」
「なんでだ?」
「いいから」
勿論、ママに隠し事はしたくない。
だけど、記憶喪失が知られて、調べられたとして、もしマダラがこの里の者ではなかったら。
…里のスパイだと疑われる可能性が高い。
そしたら、マダラはどうなってしまうのだろう。それが一番の気がかりなのだ。
だから、しばらくは家出とかなんとかで誤魔化しておきたい。
「…」
マダラは黙っている。
「ちょっと?」
「出来たわよー!」
シチューとサラダがテーブルに置かれた。
「なんだこれ…!」
マダラってばまた驚いているし。
「マダラ君、シチューは食べられる?」
「たぶん…はい」
「そう!良かったわ!」
三人で席に座った。
「いただきまーす!」
「うめぇ…!」
マダラは感激したようにパクパクと口にシチューを運んでいる。
昨日から何も食べてないって言ってたし、なんだっておいしく感じるだろう。
というか、なんだかスプーンの扱いが不慣れだ。
「…」
私はこぼさないかハラハラしながらシチューを口に運ぶ。
「嬉しいわぁー!ユヅキはあまり感想を言ってくれないものだから…」
「別に…美味しいけど」
「凄くうまいです!」
「あら、ありがとう!!おかわりたくさんあるわよ!いる?」
ママはニコニコしてる。
「え!いいんですか?いただきます!」
マダラは笑顔で皿をママに渡した。
意外に愛嬌あるな。
「はーい!ちょっと待っててね、大盛りいれてくるわ!」
「で、今日はどんなことがあったの?」
しばらく、今日のアカデミーのこととか、無難な話をしていたのだが。
「…そういえば、マダラ君の姓は?どこの一族なの?」
マダラに関する質問が来てしまった。
「あー…えと…」
里の忍ならそんなの当たり前に答えるのだ。だが、マダラは。
「…」
マダラは俯いている。
ママはそんなマダラを見てハテナを浮かべている。
「えっと!ママ、マダラはね、そのー…秘密主義って言うか…なんていうか…」
「そうなの…?…マダラ君?」
ママはマダラを見た。
どうしよう…どうやって誤魔化せば…。
「…俺…実は記憶がないんです」
マダラは少しの間のあと、声を発した。
「マ、マダラ!」
「えっ?一体…どういうこと?」
ママは驚いた顔でマダラを見た。
「わからないんです。火影岩の上に倒れていたみたいで、目を開けたらユヅキがいた。思い出そうとしても、名前以外は何もわからなくて」
「そう…だったのね…。マダラ君のこと、少し不思議には思っていたから」
あ、やっぱりママにもスプーン上手く扱えてないとかばれていたか。
「ママ。マダラのこと、里に言うの?」
「マダラ君が里で倒れていたってことは、この里の一族の可能性が高いんじゃないかしら。うちは一族とか。きっとご両親が探しているわ」
ママは心配そうな顔をマダラに向けた。
「…うーん、私もそうじゃないかとは思ったけど」
うちは一族にしては物を知らなすぎるというか、ちょっと変というか。
「ユヅキも言っていたけど、うちは一族って何ですか?」
「あら…そういう記憶もないのね」
「はい…」
「そう…。うちは一族は、里の警務部隊を担っている一族よ。あなたのように、黒髪で黒目の人が多いの。だから、あなたもそうじゃないかって思うんだけど」
「あぁ、あの人たちか。確かに見ました。里の外れで」
「…」
そういうマダラは少し悲しそうな顔な顔に見えた。
「でも私だけじゃ何もできない。まずは火影様に相談してみましょう」
「ママ…大丈夫なの?もしマダラがこの里の人じゃなかったら…」
「…でもね、このままマダラ君を家に泊めていても、何も分からないわ。それに、それは里のルール違反なの」
「…私不安だよ」
「火影様はお優しい方よ、安心して。マダラ君、いいかしら?」
「はい。何か疑われたとしても…俺は情報がほしい」
その顔に不安は見えなかった。
「…マダラ」
マダラは強いな。きっと誰よりわけわかんなくて、不安で、こわいはずなのに。
「では、すぐ向かいましょう。火影様、まだいらっしゃるといいのだけど。マダラ君、チャクラは扱えるわね?」
マダラは頷いた。