兄の瞳は何を見る
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茶屋を出て、着いたのは、うちはの稽古場。
いつも、千手というかほぼ私の家の稽古場だから、なんか新鮮だ。
「…さてっ!何の修行をするか!」
シスイさんは伸びをしている。
考えてみれば、休みの日なのに修行でいいのかな。でも、誘ってくれたんだ、好意に甘えた方がいいか。
「私は影分身かな」
「先程も、影分身をしていたな」
「まだ一人しか…」
「ユヅキ!!お前影分身ができんのかよ!?」
サスケは驚いた顔で見てきた。
「まぁ…うん。みんなに言わないでね?」
「はぁ!?なんで隠すんだよ!?」
「ちょっとね…」
「…ふーん?まぁ、そんなこと、別に頼まれなくたって言わないけどさ」
「ユヅキには、何か訳ありみたいだね。だが、自分のペースでいいと俺も思うよ」
「そうだな」
「ありがとうございます」
里のために、早くに卒業した二人には尊敬しかないけど、私はまだゆっくりしていたい。
「あ、そうだ!兄さん、豪華球の術見てよ!」
「あぁ」
「いくよー!火遁、豪華球の術!」
ボォォッ
吹き出したのは、人、一人分くらいの炎。
「フフッ、良くできているよ、サスケ」
イタチさんは笑顔で、優しくサスケを撫でた。
「ほんと!?やったぁ!!」
二人が微笑ましくて、こちらもつられて笑顔になる。
「…」
どことなくマダラも二人を見て少し穏やかな表情をしている気がする。
「ねぇ、マダラ。マダラも豪華球の術教えてもらえば?」
「それなら俺が教えようか?」
シスイさんは、マダラを見た。
…教えたそうな顔を…。うっ…尊い…。
「いや、俺、豪火球の術はできる」
「そうなのか!?」
シスイさんと、隣で聞いていたイタチさんは目を見合わせている。
そんなに驚くことなのかな。
「お前、アカデミーでは猛火の術使ってただろ!?」
「それは諸事情ってやつだ」
「意味わかんねぇ!マダラといい、ユヅキといい、ホントへんな奴らだな!!」
「それは否定できないけど…」
私もマダラも。
「マダラ、豪華球の術、やってみてくれるか?」
「あぁ、いいぜ」
マダラは川の方を向いた。
「火遁、豪華球の術!!」
ゴォォォォッ!!!
「わぁぁっ!!」
家一軒程の炎。
川も水面が蒸発しているようで、水蒸気が発生している。
「…!これ程の豪華球は見たことがない…」
「…あぁ。だが印も同じだし、間違いなく豪華球の術だ」
イタチさんとシスイさんは驚いている。
「…な、なんだよ!!!俺だって…うぅ…!!」
サスケは凹んじゃってる。
「サスケだってすごいよ!!」
「う、うん…」
フォローしてあげれば、サスケは少し機嫌が戻ったようだ。
なんか弟みたいでかわいい。
「火を吹くときは腹の底から吹き出す感じで…」
「なるほど!!」
その後、私も火遁をしたくなって、シスイさんに火遁の練習に付き合ってもらっていれば、ボール一つ分くらいの炎が出せるようになった。
というか、シスイさんの教え方がすごく上手いのだ。
まぁ、マダラだって上手いんだけど、シスイさんの方が詳しく教えてくれるから、早くコツを掴める。
「…」
一方のマダラは豪華球よりも高度な技を習得したい、と豪華球の術にあれこれ印を加えて練習しているようだった。
その後、私たちは数時間修行を続け、気づけば、もう夕方になっていた。
「またな」
「じゃーなー!!」
サスケは手を振ると、イタチさんの手を握り、帰っていった。
「私たちも帰ろうか!」
「あぁ」
「ちょっとだけいいかい?」
帰ろうとしたら、シスイさんに声をかけられた。
「…?はい」
「マダラに伝えておきたいことがある」
「なんだ?」
「豪火球の術はうちは一族で継承されてきた術だ。だから、うちは以外が使える術じゃない」
「え!?」
じゃあマダラは…。
「ある程度の年齢まで、うちはの者に育てられていることは確実だ」
「マダラの親は、木の葉に!?でも戸籍は…」
どういうことなんだ!?
…隠し子的な?それで記憶をなくした…。
考えられなくもないけど…。
「…」
「詳しいことはわからないが。それと、もう一つ。少し辛い事実かも知れないが、いいかい?」
「あぁ。なんだ?」
「万華鏡写輪眼は、写輪眼を持つ者が、親しい者の死を目の当たりにすることで開眼する」
「…そうなのか」
「…」
マダラは、親しい誰かを目の前で…。
記憶はなくても、その事実はきっと辛く、苦しい。
「だが、万華鏡写輪眼が開眼することで守れる命もある」
シスイさんは微笑んだ。
「シスイさん…」
そっか、シスイさんも…。
「分かった、ありがとな」
「いや、こちらこそ修行に付き合ってくれてありがとう」
「そんな!私が教わってばかりだったのに!」
「教えるのは好きだし、俺は二人と話せて楽しかったから。また一緒に修行をしよう!それじゃ」
シュンッ
シスイさんは、一瞬で姿を消した。
「やっぱり…イケメン」
シスイさんは絶対もてるよ…。
「ほら、俺たちも帰んぞ」
「うん!」