マダラと修行~その1~
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翌朝。
…なんだろう…頬をつままれている。痛い。
「ん…?」
「よっ!」
目を開けるとマダラの顔がすぐ上にあった。
「うわぁっ!驚かさないでよ!」
思わず飛び起きる。
「お前が起きるの遅っせぇから、起こしてやろうと思ったんだよ!」
「はぁ!?マダラが早いんだよ!ていうか今日はアカデミー休みだし…」
「だからこそ稽古つけてやるっての!」
「えぇ…こんな早くから…?もう少し寝かせてくだせぇ…」
時計を見ればまだ朝の6時なのに。
「だめだ!行くぞ!」
「うへぇ…」
マダラと共に、近くの稽古場に来た。ここは木々に囲まれていて、人目につかない。
「稽古って?」
「その前にお前の実力を見せてみろ。まずは手裏剣だ」
マダラは的を指差した。
「何それ…テストみたい…」
「ほら、早くやってみろ」
「はいはい、わかったよ…」
全部で的は15個、奥の的は6つ。
奥にある的にはここからだと手裏剣を時間差で投げて屈折させる必要がある。
先に投げる手裏剣は少し遅く…後に投げる手裏剣は早く…。
「…!」
シュウンッ!
シュッ!
カキンッ
タタタタッ
…10個か。やっぱり奥の的に当てるのは難しい。
「中心を外してるし、これじゃ実戦で敵に当たることはねぇな」
「…わかってるっての」
「次は体術。組手だ。俺に攻撃を当ててみろ」
「えぇ…」
「ほら、早く」
「わかったよ…」
渋々マダラと向き合う。
マダラ、隙がないんだよなぁ…。とりあえず攻撃するしかないけど。
シュッ
タンッ
案の定、殴りも蹴りも全く当たらない。
「遅いな」
「…うぅ…体術は苦手だし…」
パシッ
マダラに拳を受け止められた。
「2点。力も体力もスピードもない」
「わかってますー!」
「じゃあ、最後は性質変化だ。得意な2つの性質の術をやってみてくれ」
「わかった。まずは…土遁、土波の術!」
グラッ
地面が波のようにゆらゆらと揺れた。
「水遁、水乱波!」
ゴオオッ
水を口から吹き出す。
「…なるほど。性質変化以外にお前ができる術は?」
「影分身と、変化の術はできるよ」
ボワンッ
影分身を一人だす。
ポンッ
そして、私はマダラに変化した。
「結果はどう?」
私は術を解いた。
「全部詰めが甘ぇ。特に、手裏剣と体術は基本だ。これから修行すること」
「えぇ…」
別に強くならなくていいんだけどな…。
「ま、全体的に見れば、周りのガキとは比べ物にならねぇくらいにはできてる。お前、ちゃんとやりゃ、アカデミーを卒業できるだろ」
「いやーどうかな…」
「ていうか、アカデミーで土波の術も水乱波も影分身も教えられてねぇだろ?」
「まぁ、ね…」
「それに。お前、俺に秘密にしてることがあるだろ?」
「秘密?」
「木遁が使えるってこと」
「え!なんでわかんの!?」
誰にも言ったことないのに!?
「俺くらいの忍になると、一瞬でそういうの分かるんだよ。お前には特殊なチャクラが流れてる」
「へぇ、それはすごい!…でも隠してた訳じゃないよ。わざわざ言うことじゃないから言わなかっただけ」
「お前なー。それじゃ、宝の持ち腐れだぞ?」
「そうでもないよ、私じゃ大した術使えないし」
「いいから、俺に木遁を見せてみろ」
「…はぁ…わかったよ…」
印を結ぶ。
「木遁!」
できればいいけど。
ザッ!!
地面から小さな木が生えた。
「おぉー、できるじゃねーか!」
マダラは木遁だけ露骨に嬉しそうだ。
印を組んだ術ですらないのに。
「できるって言っても、本当に木を生やすくらいしかできないし」
「なら、修行するべきだろ?」
「いいよ…二年は使っていなかったし」
「二年も?もったいねぇな」
「だからー、使う機会ないよ」
「お前、木遁を使わない理由があんだろ?」
「別にないって!」
「印を結ぶ手が震えていた」
「…。言ったって仕方がないよ。失ったものは戻らない」
「話してくれないのか?」
「マダラだって隠し事するじゃん!イタチさんの時だって私に黙って一人で…」
「お前に隠し事はしたくない。だが、全てを話せるわけじゃない」
「それが私のためって言うんでしょ?」
「…俺のためだ」
「…そんなの勝手だよ」
「分かってる」
「…」
マダラは、隠している事がある。そんなのはずっと分かってた。
でも、本当はね、それでいいんだよ。
だって私じゃ何もできないって、足を引っ張るだけって分かってるから。
ただ、置いていかれるのが嫌なんだよ。だから、意地を張ってるだけなんだよ。
「…それなら、私が隠し事をしても文句はないでしょ。なんで聞こうとするわけ?」
「そんなの、気になるからだ。お前、アカデミーでわざと手を抜くのもそれが理由なんだろ?」
「マダラだって手を抜いてるじゃん!」
「俺とお前じゃ理由が違う。そのままじゃお前は強くなろうとはしないだろ」
「それは…」
「それに…過去には戻れねぇ。辛くても前を向かなきゃいけねぇんだ」
「…」
はっとした。マダラは本当は分かっているんだ。私のためなんだ。
「…マダラは甘いよ」
他人に。マダラは自分のためって言って、人のために行動するような人だ。
「あ?急になんだよ」
「いいよ、話す…。
私には二歳上の兄がいた。でも、二年前に死んでしまったの」
「…」
「兄、カヅキは優秀な忍で、木遁が得意だった。その才を認められて、兄は7歳にして、中忍になった。でも、任務中にその能力に目をつけられて拐われた。残された遺書からわかったことだけど、兄は他里に利用されるくらいなら、と自…」
「…マダラ?」
気づくと私はマダラの腕の中いた。
「…大丈夫」
マダラの温もりが広がっていく。
「…っ…うぅっ…」
頬をスルリとつたう感触。
…あれから何度も涙を流したというのに。
「大丈夫だ」
「…っ…」
優しさに触れる度に、涙が溢れてしまう。
しばらくして、涙は乾いた。
もう大丈夫、と言えばマダラは私を離した。
「…ユヅキ。俺はお前の兄貴の代わりにはなれねぇ。だけど、お前を守る」
マダラは私に微笑んでくれた。その瞳は真っ直ぐだ。
「マダラ、ありがとう…」
マダラは前も私を守るって言ってくれた。
だけどね、私、向き合う決心ができたよ。
「…でもね、大丈夫。私は自分の身くらい守れるように強くなる」
「…そうか!」
マダラは、少し驚いたようだが、すぐにニッと笑うと頷いた。
「なら、続きするぞ!」
「うん!」