うちはクーデター
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「いない…」
里のどこを探しても、マダラはいなかった。
「あー疲れた…」
もう夕方だ。
暗くて見えにくいし、ママに言ってないし、今日は帰った方が良いのだろうか。
明日、なんとしてでも早起きしてマダラを問い詰めれば良いのかもしれない。
でも、夜に帰ってきてるのか分からない。だとすれば、1日家に居なきゃ会えないかも。
そもそも、明日もマダラが帰ってくるなんて保証はない、何かに巻き込まれるかもしれない。
「待てよ…」
マダラは、危険を冒してでも、自身の情報を得たいと言っていた。
だとすれば、マダラはイタチさんに何か手がかりがあると感じて…イタチさんを尾行している?
それなら、イタチさんを探せば良いんじゃないか?イタチさんは…この間は夕方に帰ってきていた。
今日もそろそろ帰ってくるかも。
「あーもうわかんないけど…」
とりあえず、サスケの家に行ってみるか。
「…」
サスケの家の屋根に降りてみる。
イタチさんは帰っているのかな…。
…あ!イタチさんと、サスケ!
うちは集落の門の前に向かって歩くイタチさんと、その後ろから、走って近づくサスケが見える。
…アカデミー抜けなくて良かったかも。
そう思いつつ、気づかれないように近くの木へと移動した。
「…?」
あれ?あの人は誰だろう。
その男の人は、イタチさんを見ると、すぐに姿を消した。
「兄さん!任務終わったの?だったら俺の修行に付き合ってよ!」
「許せサスケ、急な呼び出しだ」
サスケが頬を膨らませてる、かわいい。
呼び出しってさっきの人かな。
シュンッ
イタチさんの後を追いかける。
足を止めたのは、南賀ノ川。川の滝が見える。
「…」
二人に気づかれないように、かつ話が聞こえる程度まで近づく。
「シスイ」
シスイさん…聞いたことがある。
上忍の中でもかなり強いって言われていたな。
そんな人と何を…。
「あぁ分かっている」
「…!」
二人の眼がこちらに向いた。
「…動くな」
次の瞬間、後ろから低い声が聞こえた。
それに首に当たる冷たい何か…クナイだ。
「…」
首にクナイを当てられたのは初めてで…こわい…。
身体中に冷や汗が流れる。
「ユヅキ。どうして俺の後をつけてきた?」
「それは…」
マダラのこと。
言ったらマダラに何か影響があるかもしれない。
「なんだ?」
シュンッ
「…俺のことを探してたから、だろ?」
マダラの声が後ろから聞こえた。
「マダラ!?」
「お前…!」
イタチさんも声をあげた。
「…」
シスイさんは驚いた顔で私の後ろを見ている。
どうやら、私の後ろのイタチさんの後ろにマダラはいるらしい。
「悪ぃな。まずはユヅキに当てたクナイを降ろせ。話しはそれからだ」
「…っ」
イタチさんから解放され、私は少し距離を取った。
「まぁ、お前はユヅキに傷をつけることはしないだろうがな」
「…」
マダラもクナイを手にしている。
イタチさんが私を放してくれたのはそういうことか…。
「…いつから俺を尾行していた?」
イタチさんはマダラを睨んだ。
「お前と会った日の夜からだ」
「…なんだと!?」
「じゃあ、俺たちの話は全部聞いていたのか?」
シスイさんは落ちついた声で話す。
「あぁ。クーデターのことだろ」
「…っ!」
イタチさんは眼を細めた。
「…」
クーデター?なんの話だ?
「マダラ。目的はなんだ?」
シスイさんは冷静だ。
シスイさんが、マダラの名前を知っているあたり、イタチさんはシスイさんにマダラのことを話したのだろう。
「俺は記憶がない。それは、知っているだろう?」
「あぁ」
「え?なんで!?マダラの記憶がないことは里の上層部しか知らないはずなんじゃ…」
「こいつは暗部。…ダンゾウと俺の話ぐらいしてるだろう」
「え」
イタチさんて暗部だったの!?
すごい秘密知っちゃったんだけど。
「イタチ。お前は俺の名を聞いて明らかに動揺した。その理由を探るために後をつけていた。そしたらクーデターの話を聞いたってわけだ」
「さっきからクーデターって…何の話?」
「イタチ…どうする?」
「…幻術にかけるっ!」
イタチさんの瞳が一瞬にして赤くなった。
「…っ」
意識が遠退いて…
「諦めろ」
……
「…」
…なんともなくなった。
マダラが解いたの?この一瞬で?
「その瞳はッ!!」
「そ、その瞳!!」
マダラの瞳が赤くなっている。
イタチさんと同じ!?てことは!!写輪眼っ!?
「万華鏡写輪眼!なぜお前が!?」
イタチさんとシスイさんはマダラから距離を取り、警戒している。
「万華鏡写輪眼?」
写輪眼とは違うのかな。
どちらにせよ、マダラが写輪眼を持っていたなんて!!
「焦んな。俺はお前たちに協力する」
「協力する…だと?」
「ユヅキ。お前はどうする?できればお前を巻き込みたくないから黙ってた。だが、ここまで知ったんだ。どうするか、お前が選んで良い」
マダラの目がこちらに向けられた。
「…」
マダラの瞳、すごい迫力だ。
敵意が込められれば、見ただけで意識が奪われてしまいそう。
「ユヅキは関わらない方がいい!」
イタチさんは叱るような声だ。
「…」
正直こわい。これ以上知ること、関わること。
だけど…
「できません」
イタチさんのこと、クーデターのこと。
マダラは向き合おうとしているのに、私だけこのまま引き返すなんて嫌だ。
それに、マダラのことをもっと知りたい。
「ユヅキ。俺はお前に嘘をつかないと言った。だから、幻術にもかけたくない。俺はお前のことを止めねぇ」
「それはユヅキを危険に晒すということだぞ!」
「俺が絶対にユヅキを守る」
「…ありがとう」
「…わかった。お前には敵いそうにない」
イタチさんはクナイを降ろした。
「二人に全てを話すのか?」
「どちらにせよ、マダラはほとんど知っているだろう。それに二人がかりでも止められるかわからない」
「そうだな」
「はぁ?だから俺は敵じゃねえっての!協力してやるってんだからありがたく思え!」
マダラの瞳は、いつもの黒い瞳に戻った。
「なぜ協力する?お前は里の者ではないだろう」
「…俺は記憶がねぇ。だから、何でもいい、手がかりがほしいんだ。そんだけ」
「…」
少しの間、二人は無言だったが、シスイさんとイタチさんは、目を見合わせると頷いた。
「マダラ」
イタチさんはマダラを見据えた。
「あ?」
「…お前の正体は分からない。だが、今は時間がない…信用しよう」
「あぁ。そうしてくれ」
「ユヅキにもクーデターについて話そう。だが、その前にこうなるに至った経緯を話す」
「はい」