出会い
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「…ふぅ」
歴代火影の顔岩。
ここから見る景色は見ていると心が穏やかになる。だから、修行の後は、ここに来るのが最近の日課になっている。
「…」
それに、今日は月が綺麗な日だ。
…満月か。
サァァッ
初夏の風は爽やかで心地いい。
「ん…?」
しばらく、ただぼうっと里を眺めていると、少し離れた場所に気配を感じた。
私はその方向に目を向けた。
「…」
誰かがいる。倒れているのか?
近づいて見れば、黒い甚平を着た少年が目をつむり、横たわっている。
「…呼吸はしてる」
眠っているのか?
こんな場所で眠るなんて。
「…」
それにしても、この子、整った顔をしているな。しかも睫長い、女の子みたいだ。
「ま、いいや。風邪引かないでねー」
立ち上がろうと腰をあげた時だった。
「…」
少年の瞼がゆっくりと開いた。深い黒の瞳。
その美しさに私は思わず少年を見つめる。
「…綺麗な瞳だな」
「えっ!?」
突然そんなことを言われて、思わずドキリとする。
「…お前誰だ?」
「…私はただの通行人だけど」
これ以外答えようない。
あ、名前とか言うべきだったのか?
………
私は一人自問自答していたが、少年は、こちらを気にすることなく立ち上った。
そして、里を見渡すと、眉を潜めた。
「…ここどこだ?」
「火影岩の上だよ」
反射的に答えてしまったが、自分がいる場所わからないなんてことあるのだろうか。
「火影岩?なんだ、それ」
「え?木の葉の里の人じゃないの?」
「木の葉の…里…。…わからねぇ…」
少年は少し目を見開いたが、それも一瞬で、顔を歪めた。
「…もしかして、記憶がない?」
「…」
少年は黙っている。図星なんだろう。
「えぇ…」
記憶喪失ってやつ?
ていうか、本当にこんなことってあるんだ。こういう時ってどうすればいいんだろ。
思い付いたことを質問してみるか。
「なんでここで寝ていたか、わからないの?」
「…わからねぇ。起きたら、ここにいた」
「で、記憶がないと…。家族はいる?」
「家族?…わからねぇ」
「そう」
ふざけている様には見えないよね…本当に記憶喪失なのか…。
「そうだ、名前も覚えてないの?」
「名前は…マダラだ」
「マダラ?」
今時マダラって名前の人いるんだ。びっくりだな。
「なんだ?何か知ってんのか?」
「いや…マダラって、ひいおじい様と戦った人と同じ名前だからなんとなく驚いただけ」
「なら、俺はそのマダラ…なわけねぇか」
マダラは自分の手を見ながら呟いた。
「うん。生きてたら100歳近いはずだし…というか彼は死んでるし」
「そうか。お前は、俺について何か知らないのか?」
「知らない。気配を感じたから近づいて見たら、あなたがそこに倒れてたってだけで」
「じゃあ、まじで名前以外なにもわかんねぇのか、俺…」
マダラはがっくりと肩を落とした。
「どうするの?」
私は困っている人を放っておけない、みたいなできた人間ではない。
けど、流石に記憶喪失だと話が違う。
「手がかりがないか探してみる」
「あなたの歳じゃ、夜は補導されると思うけど」
「なら隠れながら探る。そんじゃーな」
「あ…」
シュンッ
マダラは行ってしまった。
「…せっかちだな」
ま、いいや。めんどくさいことに巻き込まれるのは嫌だし。
あ、そういえば、マダラって忍なんだ。
まぁ、火影岩の上にいるんだし当然と言えば当然か。
マダラって名前つけられるくらいだし。