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Portrait

 ある晴れた穏やかな昼下がり、英雄とも呼ばれる冒険者は二人の男性と自宅でのんびりと過ごしていた。冒険者はその男性──十二神が一柱であるナルザル神にアラガントームストーンで撮ってきた風景を見せている。興味深そうに風景を見つめていたナルザル神は、ある画像に目を留めた。それはナルザル神や共に依頼を請け負う冒険者とその家族、他の十二神を撮ったものである。

「そなた、私たちや他の者は撮るのに自らのことは撮らないのだな」

目を向けられた冒険者はなんでもないことのように自分を撮っても面白くないですから、と答える。それを聞いた商神は何やら思うところがあるようでアラガントームストーンを弄びながら考えていたようだが、しばらくして“いいことを思いついた”と言わんばかりの顔をして冒険者に向き直ると、おもむろに冒険者の腰に手を回して抱き寄せる。

「な、なんですか急に」
「まあいいではないか」

言うが早いがナルザル神は冒険者を両脇で挟んで逃げ道を塞ぎつつアラガントームストーンを顔の上に掲げてみせる。

「こうか?」
「もうちょっと詰めたほうがいいな」

そうやって手早くアラガントームストーンに三人が写るように画角を調整しボタンを押す。と、三人が写った画像が記録される。

「何撮ってるんですかもう」
「なに、“思い出の一環”として私たちを撮るのならばこれだって“思い出の一環”であろう?」
「……それはそうかも知れませんが」

自分を撮られると思っていなかった冒険者は肩を竦めてみせたものの、ふっと笑うと軽く髪を整える。

「どうせ撮るのでしたらもうちょっと綺麗なところを撮って欲しいですね」
「そうこなくてはな」

商神はニッと笑うともう一度アラガントームストーンを高く掲げてみせた。
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