Portrait

    いつものように愛し子を腕に乗せて語らっている途中、不意に彼女からの反応が返ってこなくなった。そちらを見やると、私の身体に寄りかかるような体勢になっている。身長差がある故に表情は伺いしれないが、この雰囲気は……

(これは……寝たな)
(うむ)

いつからだろうか。こうやって抱きかかえていると疲れているのか安心するのか、時折愛し子が寝てしまうようになった。考えようによってはそれだけ私たちに気を許してくれるようになったとも言えるのだろう。出会ったばかりの頃からは想像もつかない変化である。
そんな彼女を起こさぬように、そっと頬を撫でる。

(ふふ……これは寝室に連れていかねばならぬな)
(そうだな、これでは寝顔を愛でられぬしのう)

念話で片割れとひっそり言葉を交わし、身体を極力揺らさぬよう私はゆっくりと立ち上がった。
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