Portrait

穏やかな日差し降り注ぐ中央森林を、知神と二人ゆっくりと歩く。世界情勢が一応の落ち着きを見せてきたからか、行き交うチョコボキャリッジの数も心なしか増えてきたように思う。小さな滝にかかる虹を横目に見ながら橋を渡り、グリダニアの横に広がる翡翠湖に辿り着いた。……サリャク神が水属の神だから故なのか、二人で散策する時はよく水辺を歩いている気がする。

「いい天気だね」

陽の光を浴びてキラキラと反射する水面に目を細める彼の言葉に無言で頷く。翡翠湖から眺めるフィガガ大水車はいつも綺麗だ。その横に併設されているランディングに飛空挺が滑り込んでいくのが見える。お互いに何を言うでもない時間が過ぎていく。


□■□■


……どれくらいそうしていただろう。不意に頬を触れられて我に返る。そちらを見ると、サリャク神と目が合った。

「そろそろ日も傾いて来る頃だ。街に戻ろうではないか」

言われて空を見れば、抜けるような青の中にうっすらと朱が広がりつつあるのが分かる。思っていた以上にここで過ごしていたらしい。

「そうですね、そうしましょう」

私はひとつ頷いて、知神が伸ばした手を取った。
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