Portrait
誰もいない海岸で、私と女神様は向かい合って座っている。
「それにしても、ずいぶん立派な島を持っているのね」
「まあ……ひょんなことから手に入れまして」
「普通“ひょんなこと”で島が手に入ったりしないと思うの。まあ……貴女らしいと言えば貴女らしいけれど」
「どういう意味ですかね」
「そのまんまの意味よ」
打ち寄せた波が、その跡を砂浜に残して引いていく。そのさざめきと焚き火の弾ける音だけが私たちの会話の合間を埋めるように静かに響き、よく晴れた空を流星が駆け抜ける。
この島も属するシェルダレー諸島は比較的温暖とはいえ、流石に夜は多少冷える。特に今は海岸にいるから尚更だ。横に置いていたコップを持ち上げ、温かいコーヒーを一口啜る。
「……で、何故また急に私をここに連れてきたのかしら?」
ニメーヤの問いかけにすぐには答えず、“満天の星”という形容が相応しい空を見上げる。つられたのか、彼女も空を見上げる気配がした。
「……今まで連れてきたこと無かったな、と思って」
「それだけ?」
「そう」
私の回答が予想外だったのか、彼女が呆気にとられているのが分かる。そんな女神様に構わず私は再びコーヒーに口をつけた。……実のところ、開拓に勤しんでいてばかりでタタルが連れてきた客以外迎え入れたことが無かったのでニメーヤが私の連れてきた初めてのお客様ということになるのだが、それは秘密にしておこう。
「お招きに与り光栄だわ」
それを察したのか否か、にっこりと笑う星神に軽く微笑み返す。──静かな夜はまだ続く。
「それにしても、ずいぶん立派な島を持っているのね」
「まあ……ひょんなことから手に入れまして」
「普通“ひょんなこと”で島が手に入ったりしないと思うの。まあ……貴女らしいと言えば貴女らしいけれど」
「どういう意味ですかね」
「そのまんまの意味よ」
打ち寄せた波が、その跡を砂浜に残して引いていく。そのさざめきと焚き火の弾ける音だけが私たちの会話の合間を埋めるように静かに響き、よく晴れた空を流星が駆け抜ける。
この島も属するシェルダレー諸島は比較的温暖とはいえ、流石に夜は多少冷える。特に今は海岸にいるから尚更だ。横に置いていたコップを持ち上げ、温かいコーヒーを一口啜る。
「……で、何故また急に私をここに連れてきたのかしら?」
ニメーヤの問いかけにすぐには答えず、“満天の星”という形容が相応しい空を見上げる。つられたのか、彼女も空を見上げる気配がした。
「……今まで連れてきたこと無かったな、と思って」
「それだけ?」
「そう」
私の回答が予想外だったのか、彼女が呆気にとられているのが分かる。そんな女神様に構わず私は再びコーヒーに口をつけた。……実のところ、開拓に勤しんでいてばかりでタタルが連れてきた客以外迎え入れたことが無かったのでニメーヤが私の連れてきた初めてのお客様ということになるのだが、それは秘密にしておこう。
「お招きに与り光栄だわ」
それを察したのか否か、にっこりと笑う星神に軽く微笑み返す。──静かな夜はまだ続く。