Portrait

夜の二面宮で、愛を語らうかのように私たちは踊る。流れる汗も気にもせず夜の帳のような濃紺のドレスを揺らす愛しき人の子は、艶やかな色を持って私たちの目に映る。

彼女が私から少し離れてくるりと回った、そのタイミングで私たちは入れ替わる。再び向き合った彼女は躊躇いなく片割れが差し出した手を握った。寄り添うように身体を近付け、腰に手を添える。

「私たちを愛したこと……後悔したりはしないのか?」
「……今、それを聞きますか?」

ちょっと呆れたように彼女が笑う。首元に軽く口付けられて、彼女は続ける。

「この瞬間が一番幸せですよ」


□■□■


夜の二面宮で、愛を語り合うように私たちは踊り続ける。……砂の都である炎天の夜は冷える。それなのに寒さを感じないのは、冷めることのない熱ゆえか。

響き続ける音楽を背に、ステップを踏んで取り合った手を離しくるりと回る。揺れる身体を追ってドレスの裾が翻る。転換した神と再び正対し、離した手を再び握って身体を寄せた。腰に黄金の大きな手が添えられる。
顔を上げて、愛する神の伏せられた目と見つめ合う。顔を寄せられたかと思うと、優しい口付けを一つ唇に落とされた。胸に暖かい気持ちが広がっていく。

(嘆きの雲から悲しみの雨が溶けて落ちようとも、貴方の炎が燃え続ける限りこの想いが尽きることはないでしょう)

──この身とこの心は永遠に貴方と共に。
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