明智健悟
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「こりゃあ大雨になっても文句言えねぇ天気だな…」
警視庁捜査一課の刑事たちが溜め息混じりに呟いた。
こんな天気では何となく気分も落ち込む。
ただでさえ仕事が多くてどんより気分なのに、更に追い打ちをかけられたようなものだ。
その中で、明智だけが相変わらず涼しげな顔でパソコンに向かっていた。
「……」
刑事たちの話が終わって各々が席に着いた頃、明智は初めて顔を上げて窓の外を見た。
確かに真っ黒な雲が辺りを漂っている。
そう言えば今日は降水確率が90%で、いろいろ警報が出ていたはず。
「…まずいですね」
明智は今の仕事を片付けるため、ピッチを上げて取り掛かった。
─────。
「すみませんが、今日は早目に切り上げます。後は頼んでいいですか?」
「あれ、警視今日は何か用事でも?」
出来上がった資料を明智から受け取る剣持。
「…えぇ、まぁ」
眼鏡を少し上げて返答に困る仕草は、明智の最近ついた新しい癖。
「…早く帰ってあげてください。今日のは俺が仕上げておきます」
「すみません。それでは失礼します」
急いで出ていく明智の後ろ姿を見て、剣持は一人微笑んだ。
「…さて、警視が帰るまでに如月君の気力が持つかねぇ……」
────。
愛車をスピード違反に引っ掛からない程度に飛ばし、自分のマンション、いや、凜華の待つマンションへと急ぐ。
その間にも天気は悪くなる一方で、雨が激しく降ってきた。
遠くで雷も鳴っているらしい。
「……チッ」
こういう時に限って無駄に信号に引っ掛かる。
明智は滅多にしたことのない舌打ちを2~3回してしまう程に焦っていた。
「凜華…」
マンションに一人自分の帰りを待つ凜華を思い浮かべては、その華奢な体を早く抱き締めてやりたいと思った。
やっと信号が青になり、再び愛車を飛ばす。
そこの角を曲がればマンションが見える。
あとは、例のアレが自分が帰るまでに酷くならなければいい。
車を停めて降りてからも早足で向かう。
エレベーターのボタンを押して、ドアが開くのを今か今かと待つ。
幸い近くで止まっていたらしく、ドアはすぐに開いて明智を乗せて最上階へと上り始めた。
チン、と音が鳴りドアが開く。
あともう少し。
あのドアを開ければ可愛い凜華が顔を出してくれる。
明智がドアを開けた瞬間、今までにない程の稲光が辺りにほとばしり、同時に雷鳴が轟いた。
「きゃあっ!雷っ!!」
それと変わらない速さで小さな悲鳴が聞え、明智に小さくも痛い衝撃が走る。
「おっと、もう大丈夫ですよ、凜華…。私がいますから」
飛び付いてきた凜華をそっと抱き締め、恐怖から守ろうと両腕に力を込めた。
「もー…何で雷なんか鳴るの……ひゃっ!」
小さな衝撃を与えてきた本人は雷に文句を言い、また光を見ては驚いて明智の胸に顔を埋めた。
「大丈夫です。さぁ、部屋に入りましょう」
「健悟さん…今日随分とお早いお帰りですね…?」
ゆっくりと部屋に入り、一緒にソファに腰掛ける。
「─…可愛い凜華をこんな時に1人にしたくないですから」
「それはすごくありがたいですけど、仕事他の人に投げてきたんでしょう?あああ、あとで剣持警部にお礼を言わなくちゃ…!」
仕事任せてきたんでしょ?
と言われたら白状するしかない。
「…そうです。あとでちゃんと感謝しなければ、ですね」
私たちの間柄を一番理解してくれているのは、きっと彼だろうから。
「あっ!」
「どうしました?」
突然思い出したように声を上げる凜華。
「おかえりなさい、健悟さん」
何かと思えば。
なるほど、確かに雷のせいでまだ言ってないし言われていない。
「ただいま、凜華」
2013/10/13
13:41
2018/4/3
7:22一部修正
如月凜華