高遠遙一
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「急がないと花火始まっちゃいますよ!」
助手席に乗っている凜華が高遠に向かって叫ぶ。
「分かっています。しかし凜華、貴女がずっと売店で迷っていたからですよ、こんな時間になったのは」
運転している高遠は前方から視線を外さずに答えた。
二人は今まで動物園に行っていたのだ。
「だってペンギンのマスコット可愛かったから…!」
「はいはい、分かりました。とにかく自宅まで急ぎましょう。もう会場は混んでいるでしょうから」
高遠は一気にアクセルを踏んで、凜華の家へと急いだ。
15分後、高遠たちの車は凜華の家に到着した。
「ちょっと待ってて!」
ばたばたと凜華が車から降り、鍵を開けに行く。
「ふむ…凜華の家に入るのはこれが初めてでしたね」
きっと入った瞬間凜華の優しい香りがするんだろうとか、凜華の部屋はどんな風になっているんだろうとか、いろいろ考えてしまう自分がいた。
「…いけない」
これから花火大会なのに、違う目的を持ってしまいそうになる。
「さすがに凜華に怒られてしまうでしょうね」
「高遠さん、上がっていいですよーっ!」
準備が終わったらしい、凜華が玄関からひょっこりと顔を出して呼んでいた。
「はい、今行きます」
ひたすら我慢だと念じながら凜華の家へと入っていった。
「浴衣を部屋から持って来ますから、ここで待っててください」
家に高遠を入れた凜華は居間に通すと、そのまま自分の部屋のある2階へと姿を消した。
凜華の家族は実家へ帰省中で今はいない。凜華自身は学校の補習があるからと言い訳をして残っているのだが、実際は夏休み最初の頃に終了していた。
すべては、今日この日のため。
「えーっと、浴衣と…下駄と…帯に……」
今凜華の家には、浴衣の着付けをするために来ている。
慣れない凜華には1人ではさすがに無理だということで、高遠にも手伝ってもらうのだが。
「ほう。ここが貴女の部屋ですか」
何気なく振り返った先に、1階で待っているはずの高遠がいた。
「た、高遠さん!?下で待っててくださいって言ったじゃないですか!」
「さすが凜華の部屋。綺麗で落ち着きます」
言葉を華麗に無視し、失礼、と言ってベッドに腰掛けた。
「そんなことないです…!(こんなこともあろうかと思って、掃除しておいて良かった…!)」
「ありますよ。品格が表れてるじゃないですか。…あぁ、話していた浴衣とはそれですか?」
不意に、凜華が持っていた浴衣に目がいく。
「そうです。なかなか可愛いでしょう?」
「えぇ。凜華がますます可愛くなりそうな浴衣です」
「…なに恥ずかしいことさらっと言ってるんですか…」
「おやおや。その通りだと思ったからです。間違ったことを言ったつもりはないのですが?」
「ぐ…そうやって…!」
「素直にありがとうといつになったら言えるのやら。…しかしさすがに疲れましたね」
「む…あ、ありがとうございます…。でも、確かに…こんなに暑くなると思いませんでしたし。結構体力奪われましたね」
言われて確かにと思った凜華は、少し小さめの声でお礼を言い、高遠の隣に座った。
そのままついベッドに横になると、同時に少しずつ睡魔が襲ってくるのが分かった。
「…そうですね、今度は夜に海にでも行きましょうか。夜の海はとても綺麗ですよ。暑さは残ってますが、日中ほどではありませんし」
「えー、確かにお昼の時よりは涼しいかもしれないけど、夜の海は怖そう…。綺麗だとは聞いたことがあるけど…」
「凜華の好きな天体観測をするには絶好の場所の1つですよ?それに、私がいながら凜華に怖い思いなどさせません」
「すごい自信……ん…じゃあ今度…行きましょうね…」
睡魔に完全に襲われそうになった時、黒い影が凜華に近づいてきた。
と、同時に唇に触れるもの。
「ん……?」
ぼんやりと見ればすぐ目の前に高遠の顔。
「……!」
瞬間、頭が覚醒し、今何をされているのかが分かった。
「んっ……」
逃れようとすればするほど、逃すまじと噛みつくようにキスをしてくる。
いつものことだと観念して素直に委ねると、気を良くした高遠がさっきより激しく、でも優しさのある口付けをしてきた。
「凜華…可愛いです…」
「遙一さ、ん…」
めったに名前で呼ばない凜華が遙一と呼んだことで、高遠の中で何かのスイッチが入った。
ぐい、と凜華を引き寄せ床へ押し倒す。
「きゃ…!よ、遙一さんっ、花火見に行くんですよっ!?」
「そうやって…本当はこうしたかったんじゃないですか?」
クスリ、と笑う高遠の表情は、余裕があってとても色っぽい。
そんなちょっとした表情にすら凜華の思考は簡単に止まってしまう。
「そ、そんなこと、な……ぁ」
今度は首筋に口付け。
触れた部分が熱を持ったように熱いような気がした。
「ほら…、そうやって艶声を出したりして……。さっきだってわざと私に胸元を見せるようにしてきたでしょう?」
「ちがっ…!」
「貴女は油断しすぎですよ……凜華のそういう姿を見たり、声を聞いたりしたら…私が欲情しないはずがない」
「…!」
耳元で囁かれる、低く熱を帯びた声。
切なそうに欲情と言われ、胸がきゅんとした。
「花火と浴衣は来年までお預けでしょうか、ね…?」
「ちょ、うそでしょ高遠さん…!」
「ふふ…、いつまでその減らず口が続くのやら…」
楽しみにしていた花火大会。
綺麗なところを見せようと張り切って買った浴衣は、思わぬアクシデント(?)で来年に持ち越しとなってしまったのだった。
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お久しぶりでございます。
季節外れにも程があると言いたい…。
2013/10/17
12:49
如月凜華