高遠遙一
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「…私を殺しに来たのね」
そう、あれは半年前のことだけど。
「…知ってるのよ、貴方のこと。高遠さんって言うんでしょ?」
「───よくご存知で」
冷ややかに答える高遠の手には、鋭い光を放つナイフがあった。
「私を殺すように依頼されたらしいじゃない。依頼者が話してくれたわ」
凜華は椅子からゆっくりと立ち上がると、高遠に近付いた。
「……そうですか」
「貴方の手からは逃げられないだろうし、私ももう逃げたくないの」
死の恐怖に怯える毎日なんて。
滑稽過ぎて飽きがきた。
「私を殺せばあなたの仕事は終わる」
「……そうですね」
────────。
60、59、58…とテレビがカウントダウンを始めた。
「…もうすぐ年が明けますね、高遠さん」
ただ付けているだけのテレビを眺めて言う。
「今年ももうお終いですか。あっけないものです」
「…あの時は私を殺しに来たのに、生かしてしかも側に置くなんて」
あの時のことを思い出して、凜華が笑う。
「私自身も信じられませんが、何となく凜華に惹かれてしまったんです」
つられて高遠も笑う。
「あれから半年、か…」
その時テレビに「Happy New Year」という字幕が大きく出た。
テレビの向こうで人々が喜んで騒いでいる。
「年を越しましたね」
「私結局生きたまま年を越せたのね。何だか笑えちゃうわ」
凜華が皮肉をちょっと言ってやると、高遠本人はそれを真剣な面持ちで返事をした。
「貴女のせいですよ。何も無ければ…」
そこで口をつぐむ。
「ふふ、いいの。…そうしなかったのは、私には何か魅力があったんでしょ?自分で魅力なんて言うのも変だけど」
「…えぇ、まぁ」
珍しくはにかむ高遠を見て気を良くしたのか、凜華は更に続けた。
「…私も何だかんだ言いながらそんな高遠さんが好きになっちゃったよ。これって変?」
「えぇ、とっても変です」
「やっぱり?」
お互い顔を見合わせて笑い出す。
「──今年もよろしくお願いします、高遠さん」
「こちらこそ、いつまでもどこへでも凜華を連れていきますよ」
地獄でもどこでもない、暗くて人の恨みが行き交う、でも二人なら怖くない世界へ。
今ならどこでも行ける気がします、高遠さん。
──────
貴女の瞳に映る何かを見たようです。
2013/10/14
13:29
2018/4/3
0:24一部修正
如月凜華