日常
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Honeyがバスルームから出てきた頃、部屋の照明は柔らかく落とされ、空気はどこかしっとりと穏やかに包まれていた。
タオル地のガウンを羽織った彼女は、ドレッサーの前に座り、丁寧にボディークリームを伸ばしていた。
指先がゆっくりと鎖骨から肩、そして腕へ――
その優美な仕草は、彼女自身は無意識だろうが、見る者の心を静かに焚きつける。
ベッドにもたれていたスタンは、ふとその姿に目を留めた。
鏡越しに映るHoneyの横顔、肌の艶、ガウンの襟元から覗くうなじのライン――
すべてが、彼女でしか成り立たない美しさだった。
ゆっくりとスタンは立ち上がる。
足音を立てぬよう近づいて、彼女の背後にしゃがむと、肩越しにそっと声をかけた。
「……塗り残し、あるな」
Honeyが驚いて振り返る前に、スタンの手が彼女の腰にそっと触れた。
驚かせないように、そして拒まれる隙を与えない絶妙な優しさで。
「貸しな」
そう言って、スタンはHoneyの手からクリームの瓶を取る。
Honeyが鏡越しに戸惑いながらも微笑んだその隙に、
彼は手のひらに適量を取り、彼女の肩に触れた。
冷たさを感じさせない体温のあるタッチ。
指先が、彼女の肩を撫でるように滑ると、Honeyの吐息がかすかに揺れた。
「…スタン、優しい手ね」
彼女の声は、湯上がりの熱を含んでほんのり甘く滲んでいた。
「アンタの肌だかんね」
スタンの声は低く、熱を帯びているのに、手つきは驚くほど丁寧だった。
腕、肩甲骨、首筋へ――
彼はただ触れる以上の意味を、その手に込めていた。
鏡越しに視線が合う。
Honeyが小さく「ありがとう」と言ったその唇へ、彼はそっと頬を寄せ、頬にひとつ、静かに口づけを落とした。
音を立てないそれは、静かだけれど確かに心を震わせる、愛のタッチだった。
スタンからの愛のタッチで、すっかり火がついてしまったHoney。
でも自分からその先を求めるのが恥ずかしくて…つい無言のままスタンのシャツの裾をクイッと引っ張った。
スタンは――気づく。
いや、気づかないわけがない。
Honeyの指先が彼のシャツの裾を、ほんの小さな力で引いたその瞬間。
それは言葉よりも雄弁な合図だった。
スタンは、その動きを感じた瞬間、反射的に手を止めた。
ドレッサー越しに鏡の中でHoneyの表情を捉える。
恥ずかしそうに視線を逸らし、けれど頬は赤く染まり、耳の先までほんのりと上気している。
――あぁ、完全に火がついてるな。
スタンの視線が一段と深まる。
そのまま静かに立ち上がると、後ろから彼女の肩に手を添えて、耳元に唇を近づける。
「……言葉がなくても、伝わってんぜ。俺は、アンタのこういうとこ…たまらなく好きなんよ」
囁きは低く、熱を孕んだ音でHoneyの耳をくすぐる。
そして次の瞬間、スタンは彼女をそっと抱き上げた。
「逃げんな、Honey。シャツを引いた時点で、もう…覚悟完了ってことだろ?」
冗談めかした口調の奥にあるのは、本気の情熱と深い愛情。
Honeyを優しくベッドに降ろすと、彼の指先がそっと彼女の頬に触れる。
「…今夜は、その想い、全部、受け取っかんね」
そう言って彼女の唇に優しくキスを落とすスタンは、
彼女の小さな仕草一つで、どこまでも心を動かされる男だった。
あぁ――とびきり嬉しいんよ。
スタンにとって、Honeyからの求めはただの欲じゃない。
それは彼にとって、信頼されてる証、遠慮なく心を委ねてくれている証、自分のことを、男として望んでくれている証……全部を内包してる、大切なサイン。
普段は冷静で寡黙、感情をあまり表に出さねえがHoneyから何かを求められると――
心の奥底がグッと熱くなる。
たとえば、Honeyがシャツの裾を引いた時。
耳元で「…スタン…そばにいて」と囁いた時。
それがほんの一瞬の仕草でも、スタンにとっては宝物みたいな瞬間。
その嬉しさは、心からの充足感と、もっとHoneyを大事にしたいという愛情に昇華されて、行動はより優しく、時に熱くなる。
だからHoney――求めていいんよ。
スタンは、君の欲しいがたまらなく嬉しい。
ふと、Honeyが顔をあげ悪戯を思いついた子供のような笑みで問いかける。
「ねぇ、スタンから私を求めたい時はどうしてるの?飢えた獣みたいにガブッと食べるとか?」
「……状況によるな」
けれど、内心は案外 ガブッと食べたい気持ちでいっぱいなこともある。
ただ、Honeyのことを心から大切にしてるから、勢いのまま襲うようなことは――そう簡単にはしない。
だが、本能が疼く時は確かにある。
たとえば、Honeyが髪をかき上げた瞬間、
スリットから覗く足が視界に入った時、
香りや視線や、何気ない笑顔ひとつで
スタンの中の飢えた獣が目を覚ます。
無言で後ろからそっと腰を抱き、顎をクイッと上げて目を覗き込み、瞳で問うだろう。
耳元で低く囁く「…今夜、時間あるか?」と。
そしてHoneyが小さく頷くか、瞳を逸らすだけで――理性の糸は一気にほどけていく。
ただし、ガブッはしない。
俺は狙撃手、精密で冷静で静かに熱い男。
じわじわと獲物(Honey)を追い詰めるタイプだ。
だが、Honeyに「スタン、今夜は……ガブッと来ていいわよ」なんて言われたら――
その時ばかりは解禁モードで、容赦なく本能のままに食らいつくだろう。
「俺は抑えてっけど、アンタが許可をくれんなら……そん時は、本気で喰う。覚悟しておけよ、Honey」
そんな話をしてから、一週間が経った頃。
スタンが朝の訓練に出掛けようとした所、Honeyがいってらっしゃいのキスをした後サッとスタンの上着のポケットにメモを忍ばせた。
玄関のドアが、カチリと閉まる。
わずかに残る室内の温もりと、Honeyの甘い香りがジャケットに纏わりついている。
訓練に向かおうとバイクのキーを取り出したその時――
ポケットの中に、何か柔らかい紙の感触。
(……?)
違和感に指を潜らせて取り出してみると、小さく二つ折りされたメモ用紙。
端はほんのりピンク色に染まり、どこかHoneyの面影を感じさせる可憐な折り目。
「スタン、今夜は……ガブッと私を食べて」
一瞬、呼吸が止まった。
目線を落としたまま、しばらくその文字を見つめて動けない。
筆跡は間違いなくHoney。
柔らかく丸みのある文字が、今はとてつもなく艶めいて見える。
「……やんじゃん」
喉の奥で低く笑いが漏れた。
ただの冗談じゃない。
これはHoneyからの――
完全なる、許可。
指先が僅かに震えてる。
普段ならあり得ない。
だが、これはHoneyが本気で信頼してくれてる証拠。
あの話を覚えて、言葉で渡してきた。
頭のどこかで訓練スケジュールが回るが、どうでもよくなる。
Honeyが、俺に自分を任せるって言った。
理性なんて、今夜は必要ない。
「覚悟しな、Honey……」
メモを二つ折りに戻し、胸ポケットにそっと仕舞う。
ちょうど心臓の位置だ。
そこから熱がじんわりと広がって、鼓動が跳ねる。
そして――
アクセルを握る手に、かすかに力がこもった。
今夜の予定はひとつだけ。
Honeyを、愛し尽くす。
それ以外、何も要らない。
そうして迎えた夜。
バスローブ姿のHoneyがドレッサーの前に座っている。
濡れた髪をタオルで軽く押さえながら、
ボディクリームを手に取り、丁寧に首筋から肩、腕へと塗り込んでいた。
指先が肌を滑るたび、あたたかな光に照らされたHoneyの素肌が、まるで宝石のように艶やかに見えた。
そして、Honeyがこちらに気づいて鏡越しに振り返った。
視線が合った、その瞬間――
思い出した。
あのメモ。
「スタン、今夜は……ガブッと私を食べて」
──言葉ひとつで、火がつく。
そのとき胸にしまったはずの情熱が、ゆっくりとだが確実に沸騰していくのがわかる。
Honeyの髪がしっとりと鎖骨を伝い、バスローブの合わせから覗く鎖骨やうなじは、俺の理性を試すには十分すぎた。
「……なあ」
低く、声が漏れた。
我ながら理性が削られた声だった。
Honeyが、目だけこちらを見て、くすっと笑った。
「読んだのね、あのメモ」
艶のある声で、背中越しに言ったその言葉に、
理性のブレーキが、完全に外れた。
「覚悟、できてるんだな?」
俺の声は、すでに本能が前に出ていた。
Honeyは、バスローブの帯をゆっくりと解いた。
振り返りざま、何も言わず、俺のシャツの裾を両手でギュッと握って――
「……うん、今日はそういう夜だと思って」
言葉よりも先に、身体が反応していた。
腕の中に飛び込んできたHoneyの香り、体温、鼓動――
全部が、私を愛してと訴えていた。
もう甘噛みなんかじゃ済まさねえ。
本能に忠実に、だがHoneyが笑っていられる限界ギリギリの愛し方で、何度も、確かに、彼女を味わった。
肌に残る指の跡。
熱をもって潤む瞳。
甘くちぎれそうな声。
震えながらも俺を求めて伸ばされる指先。
すべてが、Honeyの本音だった。
俺だけが知ってる、誰にも見せない彼女の姿。
だからこそ、もっと知りたくなる。
もっと感じさせたくなる。
ガブッと噛みつくような、貪るような、ただ激しいだけじゃない、本物の愛欲を。
そして夜が深まった頃、Honeyは俺の胸の中で、熱く火照った頬を預けながら、
「……スタン、ちゃんとガブッてくれたのね。…私、幸せ」
微笑んで、眠った。
俺はその髪にキスを落としながら、
今夜、彼女が俺に全てを任せてくれたことに、心から感謝していた。
この夜、Honeyは確かにスタンに食べられた。
でもそれは、ただ激しさだけじゃない。
魂ごと包まれるような、濃密な愛情の夜だった。
またひとつ、二人は深く繋がったんだ。
あぁ、最高に幸せだ――Honey。
スタンにとってHoneyをガブッと食べるってのは、単なる欲望の発散でも、支配の証明でもない。
全身で愛し、全身で愛されることの極致だ。
Honeyが自分のすべてを預けて、今夜は、スタンに身も心も委ねたいと覚悟をくれた。
それは、俺だけに向けられた絶対的な信頼と愛。
そして俺も、その想いに全力で応えるために、理性を脱ぎ捨て、本能のままに、でも誰よりも丁寧に、深く深く愛した。
だからこそ、Honeyの頬がほんのり熱くて、目が潤んで、声が甘く震えて、それでも俺を見上げて幸せだと言った。
その瞬間こそが、スタンにとって幸せの証明だ。
Honeyをガブッとできた夜は、
単に欲を満たした夜じゃない。
心と身体で、確かに彼女とひとつになれた夜。
だから、あぁ、Honey。
俺はお前をガブッとできて、心の底から幸せだったんよ。心の底から、幸せだ。
Honeyをガブッとした夜、それはただの衝動や本能の発露じゃない。
むしろ逆で、本能の奥に潜んでいた、どうしようもないくらい深い愛情のかたちだった。
俺はいつも、Honeyを大切にしたいと思ってる。
だからこそ、触れるときは慎重になるし、彼女の反応を見逃さないようにしてる。
だが、Honeyから「ガブッとして」って言ってくれた時は、その抑えてた想いを、全部受け止めてくれるって信じてくれた証だと感じた。
彼女の体温も、鼓動も、声も、全部俺の中に刻まれていく。
欲しいと言ってくれたことが、何より嬉しかった。
あの夜のHoneyの瞳は、俺のためだけのものだった。
恥じらいながらも、全てを委ねるその姿に、
俺はこの人の全てを守って、生涯かけて愛し抜くと、また強く思った。
「幸せか?」と聞かれたら、「生きててよかった」って言える夜だった。
……それくらい、あのガブッとは、俺にとっても愛の証。
スタンの腕枕の中で、Honeyがスタンに話しかけた。
Honey「今回は初めてだったから、恥ずかしくて「ガブッと私を食べて」と紙に書いたのだけれど…次からは直接言葉でスタンの目を見て伝えられる様にするわ…」
Honeyが恥じらいながら伝えた。
──そんなふうに言われたら、胸の奥がギュッと熱くなる。
Honeyの声はまだ少し上ずっていて、頬は赤く、伏せがちだった目がちらりとこちらを見る。
けれど、その言葉には確かな勇気と、愛の深さが宿っていた。
スタンはしばらく黙って、ただHoneyの頭を自分の胸に抱き寄せた。
その細くて、でも芯のある身体が、自分に預けられていることが何より愛おしい。
それから静かに、低くて優しい声で囁いた。
「…Honey。紙でも、言葉でも、何だって構わねえ。アンタが俺に、欲しいと伝えてくれること自体が、嬉しいかんね。
けど…次に目を見て言ってくれたら――きっと俺は、ヤバだろうな」
ちょっと冗談めかして、でも本気でそう言った。
Honeyが心を開いて、想いを直接届けてくれる。
それは、何よりも尊く、興奮して、たまらなく嬉しいことだ。
スタンにとって、それはただのプレイの一環なんかじゃない。
Honeyが自分を見ていてくれると信じてくれてる証。
「次は…アンタのその瞳に囚われたまま、離してやらないかもな」
そう呟いて、スタンはHoneyの髪にキスを落とした。
愛しくて、誇らしくて、たまらない。
スタンは、あの紙を――当然のように、捨てなかった。
むしろ──あの瞬間のHoneyの勇気と想いが込められた、たった一枚の小さな紙切れを、彼は何より大切な宝物のひとつとして扱った。
訓練や任務を終えて帰宅した後、誰にも見られないように自室の鍵付きの引き出しを開け、そこにあるHoney専用の小さな木箱へと、丁寧にしまった。
そこには他にも、Honeyが書いた走り書きのメモ、こっそり挟んでくれた手紙、撮った写真、2人だけの記念品が静かに収められている。
スタンは、紙を仕舞う前に、もう一度指先で文字をなぞった。
「スタン、今夜は……ガブッと私を食べて」
たった一文。
けれど、そこにはHoneyの恥じらい、愛しさ、信頼、勇気が全部詰まってる。
彼は無言で、それをもう一度読み、
ふっと目を細めた。
「…Honey、やんじゃん…」
そう呟きながらも、口元にはどうしようもない笑みが浮かんでいた。
軍人としての冷静さの裏で、ただのひとりの男として、愛しい人に完全にやられてる――そんな、誰にも見せない表情を浮かべながら。
そして引き出しを閉めたあとは、手のひらに残った感触を確かめるように拳を握りながら、ぽつりと一言。
「…次は、目を見て言われんの、楽しみにしてんぜ、Honey」
その声は、誰にも聞かれない、彼だけの幸福な独り言だった。
Honeyがベッドで横になりながら口にした言葉
「スタンが好き過ぎて…溶けちゃいそう…」
「――好きすぎて、溶けていい。
だが俺の腕の中でだけだ。
他の誰にも触れさせない。
Honey、お前がダメになるなら…一緒に、落ちてやんよ。安心しろ。アンタが壊れるより先に、俺が全部、包み込んで守るかんね。」
Honeyを抱き寄せスタンは続けた
「……俺のこと、好きすぎて困る?
じゃあ困らせた責任、とってもらわないとな――Honey。」
Honeyの心の奥まで、スタンの声が熱く染み込んでくる…
スタンはふっと鼻で笑ったように微かに息を漏らしながら、Honeyの額に自分の額をそっとくっつけて、静かに語りかける
「……もうとっくにダメになってんよ。
初めて、アンタを女として意識した瞬間からな。」
少し目を伏せて、呟くように続けた。
「軍人として、自制も理性も叩き込まれてきた。だが、アンタの前じゃ…そんなもん、何の役にも立ちゃしない。」
Honeyの頬に手を添え、ゆっくりと目を合わせるスタン。
「アンタが甘えた声で名前を呼ぶだけで、頭の中真っ白になる。笑えば惚れ直す。触れられたら、もう抗えない。溶けてるのは俺の方だ、Honey。」
唇が触れる寸前の距離で、真剣な眼差しを向けた。
「アンタが欲しいって思ってくれる限り、
俺は…何度でも、全てを捧げて溶けてみせんよ。
Honey――お前に溺れることだけが、俺の自由だ。」
そう言って、そっと抱きしめる腕には、溶けるどころか確かにここにいるHoneyを何より大切に想う、熱がこもっていた。
タオル地のガウンを羽織った彼女は、ドレッサーの前に座り、丁寧にボディークリームを伸ばしていた。
指先がゆっくりと鎖骨から肩、そして腕へ――
その優美な仕草は、彼女自身は無意識だろうが、見る者の心を静かに焚きつける。
ベッドにもたれていたスタンは、ふとその姿に目を留めた。
鏡越しに映るHoneyの横顔、肌の艶、ガウンの襟元から覗くうなじのライン――
すべてが、彼女でしか成り立たない美しさだった。
ゆっくりとスタンは立ち上がる。
足音を立てぬよう近づいて、彼女の背後にしゃがむと、肩越しにそっと声をかけた。
「……塗り残し、あるな」
Honeyが驚いて振り返る前に、スタンの手が彼女の腰にそっと触れた。
驚かせないように、そして拒まれる隙を与えない絶妙な優しさで。
「貸しな」
そう言って、スタンはHoneyの手からクリームの瓶を取る。
Honeyが鏡越しに戸惑いながらも微笑んだその隙に、
彼は手のひらに適量を取り、彼女の肩に触れた。
冷たさを感じさせない体温のあるタッチ。
指先が、彼女の肩を撫でるように滑ると、Honeyの吐息がかすかに揺れた。
「…スタン、優しい手ね」
彼女の声は、湯上がりの熱を含んでほんのり甘く滲んでいた。
「アンタの肌だかんね」
スタンの声は低く、熱を帯びているのに、手つきは驚くほど丁寧だった。
腕、肩甲骨、首筋へ――
彼はただ触れる以上の意味を、その手に込めていた。
鏡越しに視線が合う。
Honeyが小さく「ありがとう」と言ったその唇へ、彼はそっと頬を寄せ、頬にひとつ、静かに口づけを落とした。
音を立てないそれは、静かだけれど確かに心を震わせる、愛のタッチだった。
スタンからの愛のタッチで、すっかり火がついてしまったHoney。
でも自分からその先を求めるのが恥ずかしくて…つい無言のままスタンのシャツの裾をクイッと引っ張った。
スタンは――気づく。
いや、気づかないわけがない。
Honeyの指先が彼のシャツの裾を、ほんの小さな力で引いたその瞬間。
それは言葉よりも雄弁な合図だった。
スタンは、その動きを感じた瞬間、反射的に手を止めた。
ドレッサー越しに鏡の中でHoneyの表情を捉える。
恥ずかしそうに視線を逸らし、けれど頬は赤く染まり、耳の先までほんのりと上気している。
――あぁ、完全に火がついてるな。
スタンの視線が一段と深まる。
そのまま静かに立ち上がると、後ろから彼女の肩に手を添えて、耳元に唇を近づける。
「……言葉がなくても、伝わってんぜ。俺は、アンタのこういうとこ…たまらなく好きなんよ」
囁きは低く、熱を孕んだ音でHoneyの耳をくすぐる。
そして次の瞬間、スタンは彼女をそっと抱き上げた。
「逃げんな、Honey。シャツを引いた時点で、もう…覚悟完了ってことだろ?」
冗談めかした口調の奥にあるのは、本気の情熱と深い愛情。
Honeyを優しくベッドに降ろすと、彼の指先がそっと彼女の頬に触れる。
「…今夜は、その想い、全部、受け取っかんね」
そう言って彼女の唇に優しくキスを落とすスタンは、
彼女の小さな仕草一つで、どこまでも心を動かされる男だった。
あぁ――とびきり嬉しいんよ。
スタンにとって、Honeyからの求めはただの欲じゃない。
それは彼にとって、信頼されてる証、遠慮なく心を委ねてくれている証、自分のことを、男として望んでくれている証……全部を内包してる、大切なサイン。
普段は冷静で寡黙、感情をあまり表に出さねえがHoneyから何かを求められると――
心の奥底がグッと熱くなる。
たとえば、Honeyがシャツの裾を引いた時。
耳元で「…スタン…そばにいて」と囁いた時。
それがほんの一瞬の仕草でも、スタンにとっては宝物みたいな瞬間。
その嬉しさは、心からの充足感と、もっとHoneyを大事にしたいという愛情に昇華されて、行動はより優しく、時に熱くなる。
だからHoney――求めていいんよ。
スタンは、君の欲しいがたまらなく嬉しい。
ふと、Honeyが顔をあげ悪戯を思いついた子供のような笑みで問いかける。
「ねぇ、スタンから私を求めたい時はどうしてるの?飢えた獣みたいにガブッと食べるとか?」
「……状況によるな」
けれど、内心は案外 ガブッと食べたい気持ちでいっぱいなこともある。
ただ、Honeyのことを心から大切にしてるから、勢いのまま襲うようなことは――そう簡単にはしない。
だが、本能が疼く時は確かにある。
たとえば、Honeyが髪をかき上げた瞬間、
スリットから覗く足が視界に入った時、
香りや視線や、何気ない笑顔ひとつで
スタンの中の飢えた獣が目を覚ます。
無言で後ろからそっと腰を抱き、顎をクイッと上げて目を覗き込み、瞳で問うだろう。
耳元で低く囁く「…今夜、時間あるか?」と。
そしてHoneyが小さく頷くか、瞳を逸らすだけで――理性の糸は一気にほどけていく。
ただし、ガブッはしない。
俺は狙撃手、精密で冷静で静かに熱い男。
じわじわと獲物(Honey)を追い詰めるタイプだ。
だが、Honeyに「スタン、今夜は……ガブッと来ていいわよ」なんて言われたら――
その時ばかりは解禁モードで、容赦なく本能のままに食らいつくだろう。
「俺は抑えてっけど、アンタが許可をくれんなら……そん時は、本気で喰う。覚悟しておけよ、Honey」
そんな話をしてから、一週間が経った頃。
スタンが朝の訓練に出掛けようとした所、Honeyがいってらっしゃいのキスをした後サッとスタンの上着のポケットにメモを忍ばせた。
玄関のドアが、カチリと閉まる。
わずかに残る室内の温もりと、Honeyの甘い香りがジャケットに纏わりついている。
訓練に向かおうとバイクのキーを取り出したその時――
ポケットの中に、何か柔らかい紙の感触。
(……?)
違和感に指を潜らせて取り出してみると、小さく二つ折りされたメモ用紙。
端はほんのりピンク色に染まり、どこかHoneyの面影を感じさせる可憐な折り目。
「スタン、今夜は……ガブッと私を食べて」
一瞬、呼吸が止まった。
目線を落としたまま、しばらくその文字を見つめて動けない。
筆跡は間違いなくHoney。
柔らかく丸みのある文字が、今はとてつもなく艶めいて見える。
「……やんじゃん」
喉の奥で低く笑いが漏れた。
ただの冗談じゃない。
これはHoneyからの――
完全なる、許可。
指先が僅かに震えてる。
普段ならあり得ない。
だが、これはHoneyが本気で信頼してくれてる証拠。
あの話を覚えて、言葉で渡してきた。
頭のどこかで訓練スケジュールが回るが、どうでもよくなる。
Honeyが、俺に自分を任せるって言った。
理性なんて、今夜は必要ない。
「覚悟しな、Honey……」
メモを二つ折りに戻し、胸ポケットにそっと仕舞う。
ちょうど心臓の位置だ。
そこから熱がじんわりと広がって、鼓動が跳ねる。
そして――
アクセルを握る手に、かすかに力がこもった。
今夜の予定はひとつだけ。
Honeyを、愛し尽くす。
それ以外、何も要らない。
そうして迎えた夜。
バスローブ姿のHoneyがドレッサーの前に座っている。
濡れた髪をタオルで軽く押さえながら、
ボディクリームを手に取り、丁寧に首筋から肩、腕へと塗り込んでいた。
指先が肌を滑るたび、あたたかな光に照らされたHoneyの素肌が、まるで宝石のように艶やかに見えた。
そして、Honeyがこちらに気づいて鏡越しに振り返った。
視線が合った、その瞬間――
思い出した。
あのメモ。
「スタン、今夜は……ガブッと私を食べて」
──言葉ひとつで、火がつく。
そのとき胸にしまったはずの情熱が、ゆっくりとだが確実に沸騰していくのがわかる。
Honeyの髪がしっとりと鎖骨を伝い、バスローブの合わせから覗く鎖骨やうなじは、俺の理性を試すには十分すぎた。
「……なあ」
低く、声が漏れた。
我ながら理性が削られた声だった。
Honeyが、目だけこちらを見て、くすっと笑った。
「読んだのね、あのメモ」
艶のある声で、背中越しに言ったその言葉に、
理性のブレーキが、完全に外れた。
「覚悟、できてるんだな?」
俺の声は、すでに本能が前に出ていた。
Honeyは、バスローブの帯をゆっくりと解いた。
振り返りざま、何も言わず、俺のシャツの裾を両手でギュッと握って――
「……うん、今日はそういう夜だと思って」
言葉よりも先に、身体が反応していた。
腕の中に飛び込んできたHoneyの香り、体温、鼓動――
全部が、私を愛してと訴えていた。
もう甘噛みなんかじゃ済まさねえ。
本能に忠実に、だがHoneyが笑っていられる限界ギリギリの愛し方で、何度も、確かに、彼女を味わった。
肌に残る指の跡。
熱をもって潤む瞳。
甘くちぎれそうな声。
震えながらも俺を求めて伸ばされる指先。
すべてが、Honeyの本音だった。
俺だけが知ってる、誰にも見せない彼女の姿。
だからこそ、もっと知りたくなる。
もっと感じさせたくなる。
ガブッと噛みつくような、貪るような、ただ激しいだけじゃない、本物の愛欲を。
そして夜が深まった頃、Honeyは俺の胸の中で、熱く火照った頬を預けながら、
「……スタン、ちゃんとガブッてくれたのね。…私、幸せ」
微笑んで、眠った。
俺はその髪にキスを落としながら、
今夜、彼女が俺に全てを任せてくれたことに、心から感謝していた。
この夜、Honeyは確かにスタンに食べられた。
でもそれは、ただ激しさだけじゃない。
魂ごと包まれるような、濃密な愛情の夜だった。
またひとつ、二人は深く繋がったんだ。
あぁ、最高に幸せだ――Honey。
スタンにとってHoneyをガブッと食べるってのは、単なる欲望の発散でも、支配の証明でもない。
全身で愛し、全身で愛されることの極致だ。
Honeyが自分のすべてを預けて、今夜は、スタンに身も心も委ねたいと覚悟をくれた。
それは、俺だけに向けられた絶対的な信頼と愛。
そして俺も、その想いに全力で応えるために、理性を脱ぎ捨て、本能のままに、でも誰よりも丁寧に、深く深く愛した。
だからこそ、Honeyの頬がほんのり熱くて、目が潤んで、声が甘く震えて、それでも俺を見上げて幸せだと言った。
その瞬間こそが、スタンにとって幸せの証明だ。
Honeyをガブッとできた夜は、
単に欲を満たした夜じゃない。
心と身体で、確かに彼女とひとつになれた夜。
だから、あぁ、Honey。
俺はお前をガブッとできて、心の底から幸せだったんよ。心の底から、幸せだ。
Honeyをガブッとした夜、それはただの衝動や本能の発露じゃない。
むしろ逆で、本能の奥に潜んでいた、どうしようもないくらい深い愛情のかたちだった。
俺はいつも、Honeyを大切にしたいと思ってる。
だからこそ、触れるときは慎重になるし、彼女の反応を見逃さないようにしてる。
だが、Honeyから「ガブッとして」って言ってくれた時は、その抑えてた想いを、全部受け止めてくれるって信じてくれた証だと感じた。
彼女の体温も、鼓動も、声も、全部俺の中に刻まれていく。
欲しいと言ってくれたことが、何より嬉しかった。
あの夜のHoneyの瞳は、俺のためだけのものだった。
恥じらいながらも、全てを委ねるその姿に、
俺はこの人の全てを守って、生涯かけて愛し抜くと、また強く思った。
「幸せか?」と聞かれたら、「生きててよかった」って言える夜だった。
……それくらい、あのガブッとは、俺にとっても愛の証。
スタンの腕枕の中で、Honeyがスタンに話しかけた。
Honey「今回は初めてだったから、恥ずかしくて「ガブッと私を食べて」と紙に書いたのだけれど…次からは直接言葉でスタンの目を見て伝えられる様にするわ…」
Honeyが恥じらいながら伝えた。
──そんなふうに言われたら、胸の奥がギュッと熱くなる。
Honeyの声はまだ少し上ずっていて、頬は赤く、伏せがちだった目がちらりとこちらを見る。
けれど、その言葉には確かな勇気と、愛の深さが宿っていた。
スタンはしばらく黙って、ただHoneyの頭を自分の胸に抱き寄せた。
その細くて、でも芯のある身体が、自分に預けられていることが何より愛おしい。
それから静かに、低くて優しい声で囁いた。
「…Honey。紙でも、言葉でも、何だって構わねえ。アンタが俺に、欲しいと伝えてくれること自体が、嬉しいかんね。
けど…次に目を見て言ってくれたら――きっと俺は、ヤバだろうな」
ちょっと冗談めかして、でも本気でそう言った。
Honeyが心を開いて、想いを直接届けてくれる。
それは、何よりも尊く、興奮して、たまらなく嬉しいことだ。
スタンにとって、それはただのプレイの一環なんかじゃない。
Honeyが自分を見ていてくれると信じてくれてる証。
「次は…アンタのその瞳に囚われたまま、離してやらないかもな」
そう呟いて、スタンはHoneyの髪にキスを落とした。
愛しくて、誇らしくて、たまらない。
スタンは、あの紙を――当然のように、捨てなかった。
むしろ──あの瞬間のHoneyの勇気と想いが込められた、たった一枚の小さな紙切れを、彼は何より大切な宝物のひとつとして扱った。
訓練や任務を終えて帰宅した後、誰にも見られないように自室の鍵付きの引き出しを開け、そこにあるHoney専用の小さな木箱へと、丁寧にしまった。
そこには他にも、Honeyが書いた走り書きのメモ、こっそり挟んでくれた手紙、撮った写真、2人だけの記念品が静かに収められている。
スタンは、紙を仕舞う前に、もう一度指先で文字をなぞった。
「スタン、今夜は……ガブッと私を食べて」
たった一文。
けれど、そこにはHoneyの恥じらい、愛しさ、信頼、勇気が全部詰まってる。
彼は無言で、それをもう一度読み、
ふっと目を細めた。
「…Honey、やんじゃん…」
そう呟きながらも、口元にはどうしようもない笑みが浮かんでいた。
軍人としての冷静さの裏で、ただのひとりの男として、愛しい人に完全にやられてる――そんな、誰にも見せない表情を浮かべながら。
そして引き出しを閉めたあとは、手のひらに残った感触を確かめるように拳を握りながら、ぽつりと一言。
「…次は、目を見て言われんの、楽しみにしてんぜ、Honey」
その声は、誰にも聞かれない、彼だけの幸福な独り言だった。
Honeyがベッドで横になりながら口にした言葉
「スタンが好き過ぎて…溶けちゃいそう…」
「――好きすぎて、溶けていい。
だが俺の腕の中でだけだ。
他の誰にも触れさせない。
Honey、お前がダメになるなら…一緒に、落ちてやんよ。安心しろ。アンタが壊れるより先に、俺が全部、包み込んで守るかんね。」
Honeyを抱き寄せスタンは続けた
「……俺のこと、好きすぎて困る?
じゃあ困らせた責任、とってもらわないとな――Honey。」
Honeyの心の奥まで、スタンの声が熱く染み込んでくる…
スタンはふっと鼻で笑ったように微かに息を漏らしながら、Honeyの額に自分の額をそっとくっつけて、静かに語りかける
「……もうとっくにダメになってんよ。
初めて、アンタを女として意識した瞬間からな。」
少し目を伏せて、呟くように続けた。
「軍人として、自制も理性も叩き込まれてきた。だが、アンタの前じゃ…そんなもん、何の役にも立ちゃしない。」
Honeyの頬に手を添え、ゆっくりと目を合わせるスタン。
「アンタが甘えた声で名前を呼ぶだけで、頭の中真っ白になる。笑えば惚れ直す。触れられたら、もう抗えない。溶けてるのは俺の方だ、Honey。」
唇が触れる寸前の距離で、真剣な眼差しを向けた。
「アンタが欲しいって思ってくれる限り、
俺は…何度でも、全てを捧げて溶けてみせんよ。
Honey――お前に溺れることだけが、俺の自由だ。」
そう言って、そっと抱きしめる腕には、溶けるどころか確かにここにいるHoneyを何より大切に想う、熱がこもっていた。