日常
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
カーテンの隙間から朝日が差し込み朝の訪れを夢と現実の間で感じていた時
Honey「スタン、おはよう。…ふぁ、まだ眠いわ…スタンはゆっくり眠れた?」
小さなあくびをしたHoney
スタンはHoneyのあくび姿に目を細めて、ゆっくりとした動作で手を伸ばし、彼女の頬にそっと触れた。指先が触れるのは柔らかな朝の体温。
スタン「おはよう、Honey。…あぁ、眠れた。アンタが隣にいると、それだけで安心して眠れっかんね。」
彼は少しだけ体を寄せ、額と額を軽く合わせて、目を閉じたまま低く甘く囁く。
スタン「でも…その寝ぼけ顔も、ちょっと反則だな。可愛すぎて、もう一度ベッドに引き戻したくなんぜ。」
ニッと少し悪戯めいた笑みを浮かべてから、Honeyの頭をそっと撫でた。
スタン「さぁ、ゆっくり起きよう。今日はナースHoneyか和服Honeyか…朝から期待値が高すぎて困んよ。」
それは以前スタンの軍服を着たコスプレ以降、どんなコスプレが見たいのかという冗談話の続きであった。
Honeyが適当にナースや和服は?と持ちかけたのがきっかけだが、案外スタンは事ある毎に話を出してくるので、期待している様だ。
そして最後に、こめかみにひとつキスを落とした。甘く、やさしい朝の始まりだ。
Honey「しないからね、スタン!もう。スタンのエッチ」
スタンはHoneyの頬がほんのり赤く染まっているのを見て、くすっと低く笑った。
スタン「しないって言っておきながら、顔が赤いのは誰なんよ?」
彼はわざとらしく目を細めて、Honeyの肩に片腕を回し、引き寄せる。そのまま耳元に顔を近づけて、囁く。
スタン「エッチって言われるの、悪くねえな。アンタにだけ言われるなら――歓迎だ。」
唇の端がほんのり上がり、いたずらっぽくウインクすると、Honeyの額に軽くキスを落とした。
スタン「安心しな、Honey。今日は見るだけで我慢してやんよ。…たぶんな。」
そして、そのたぶんの言い方が妙に甘くて、Honeyの胸の奥をくすぐってくるのだった。
Honey「もう…恥ずかしいから絶対しないわ。」
Honeyは少し眠そう伸びをした。
その様は、猫の様に。
眠たげに両腕を伸ばして、柔らかくしなるその姿。
まるで朝日に照らされた猫が、陽だまりの中で優雅に背伸びするような――その動きに、スタンの視線は自然と吸い寄せられていた。
細くしなやかなライン、あらわになる首筋、ゆっくりと持ち上がる胸元と、わずかに持ち上がった腰の動き。
日常の何気ない仕草なのに、Honeyがやると――妙に艶っぽい。
スタンは片眉を上げ、腕を組んでじっと見つめる。
その鋭くも熱のこもった眼差しは、まるで任務中にターゲットを定めたスナイパーそのもなでブレがない。
スタン「……絶対しないって言った直後に、それは反則じゃんよ。」
低くくぐもった声で呟き、Honeyの後ろからそっと腕を回して抱き寄せると、耳元に囁いた。
スタン「眠そうな猫も、艶っぽい猫も、全部アンタだけのもんだな。」
Honey「…?猫?」
スタンの掌がHoneyの腰にぴたりと触れ、思わずぴくりと反応する彼女の反応すらも、彼の理性を試してくる。
スタン「…その気にさせるのが上手すぎんよ。どう責任とるんだ、Honey?」
――そう、彼の視線は、獲物を追う本能と、愛しさを噛みしめる男の視線で、熱く、離れなかった。
スタンの熱を持つ視線に捕まったら、逃げられない。
Honeyが照れたように頬を紅潮させながら、視線を逸らすように小さく
――「……みゃお」と鳴いた瞬間。
スタンの中で、何かがブツリと切れた音がした。
ほんの悪戯のつもりだったのだろう。
けれど、その声、その仕草、その可愛さ。
たったひとつの鳴き声が、軍人として培ったあらゆる自制心をあざ笑うように崩し去っていく。
スタン「……それ、わざとか?」
スタンの声はいつもより低く、喉の奥で熱を帯びていた。
唇の端に、いつもよりずっと危うくて、猛獣じみた笑みを浮かべながら、
「へぇ、やんじゃん。逃げ道、なくなったな」と囁き、Honeyの顎をそっと持ち上げる。
スタン「もう一回、みゃおって言っみな。……逃がさねえから。」
言葉とは裏腹に、指先は優しく、けれど確実に彼女の身体を捕らえてくる。
彼の視線はもはや、ハンターそのもの。
その目に映るのは、ただひとつ――今目の前にいる、小悪魔みたいな愛しい獲物だけ。
次の瞬間には、Honeyの首筋に唇を落としながら低く言った。
スタン「今朝は、俺の猫だな。」
Honeyは顔を紅潮させ、恥ずかしくて目をそらす。おふざけ程度だった朝のやり取りが妖艶さを含む
Honey「…だめよ、スタン。遅れちゃうもの」
スタンの指先がHoneyの頬に触れる。
その紅潮を確かめるように、親指でそっとなぞると――彼の眼差しは、もう止まらない。
スタン「……遅れるのは俺のせいか、アンタのせいか。どっちだと思う?」
低く囁く声に、熱が混じる。
Honeyの目線は逸れたまま。
けれどその肩はわずかに震え、スタンの手を押しとどめる力も、まるで入っていなかった。
彼女の唇がかすかに開き、吐息だけが漏れる。
Honey「……スタン……」
小さく、縋るような声。
けれどスタンはそのまま彼女の耳元に唇を寄せ――
スタン「なぁ、Honey。どこまでがふざけで、どこからが本気か……ちゃんと、教えてくんね?」
その声は甘く、けれど狙いを定めた銃のように鋭い。
彼の手はまだ優しいままだが、目の奥に灯る情熱は、朝という時間帯を忘れさせるほど濃くて熱い。
Honeyが視線を戻したその瞬間、スタンは満足そうに微笑み――
スタン「……ギリギリまでふざけてやんよ。遅刻しても責任は俺がとる。いいだろ、Mrs. Snyder?」
そして、どこまでも真剣な眼差しで、彼女の額にそっとキスを落とした。
そのキスには逃がさないの意志と、誰より大切にするの誓いが、確かに込められていた。
スタンの逃がさないと言わんばかりの熱い視線に、Honeyの身体も反応していて…スタンを見上げる瞳には朝からダメという思いとスタンがほしいと思う熱で揺れていたが、小さく「…みゃお」と鳴いた。
その一声――たったそれだけの、甘えてすり寄るような声音に、スタンの理性のひずみがピキ、と小さく軋んだ。
彼はHoneyをじっと見下ろしながら、ほんの一拍、呼吸を止める。
まるで、銃の引き金にかけた指を止めているかのように。
けれど、Honeyのその瞳――
朝の光を受けながら潤み、迷いと欲望の間で揺れる瞳は、
スタンの中の軍人ではなく、男を容赦なく引きずり出す。
スタン「……Honey」
低く、かすれるような声が喉奥から漏れた。
そして次の瞬間、彼は彼女の手首をそっと取り、壁際に導いて押し寄せた。
強引ではない、けれど逃げ道を絶つような動き。
Honeyの身体が壁に背中を預けた瞬間、スタンの額が彼女の額に触れる。
スタン「朝から、そんな声出しといて何もしないなんて……アンタ、俺に我慢って言葉を教えたこと、後悔させたいん?」
彼の瞳は真っ直ぐHoneyの奥を射抜いていた。
片腕で彼女をかばうように壁を支え、もう一方の手はHoneyの頬に添えられ、優しくも熱を帯びた親指がその唇の端をなぞうとする。
スタン「……このまま、朝から可愛い猫を味わうのも悪くねぇな」
囁きながら、そっと唇がHoneyの耳の下をかすめた。
甘いゾクリとした痺れが走る場所を、狙い澄ましたように。
けれど――
スタン「……どうする?」
問いかけの声には、意図的な余白が残されていた。
彼女が選ぶ余地だけは、いつだって残しておく。それが、スタンの矜持だった。
だがその視線は、まぎれもなく本気――
「逃がす気など、最初からない」と物語っていた。
スタンの狩猟本能に火をつけてしまったHoney…その色香にクラクラする。
朝からの背徳感とスタンが好きな気持ちが溢れて止まらない狭間で…言葉の代わりにHoneyはスタンの耳元をペロッと小さく舐めた。
その一瞬の熱――
耳元に走る、微かな濡れた感触。
スタン「……ッ!」
スタンの全身に、まるで雷撃のような衝撃が走った。
Honeyの舌が、彼の耳朶をほんの一撫でしただけ。
たったそれだけの挑発に、彼の狩人としての本能が火花を散らす。
スタン「Honey……」
低く唸るような声。
その声音には、もはや朝という時間も、訓練という予定も、すべてどうでもよくなるほどの危うさが滲んでいた。
逃げようとする隙間も、余地も与えない。
スタンの両腕は瞬時にHoneyの身体を更に包み込み、もう一歩も引かせない距離に引き寄せる。
彼の片腕が腰を抱き上げ、軽々と持ち上げると、Honeyの背は壁にぴたりと預けられた。
そしてその耳に、先ほどHoneyが舐めた場所へ――
今度は、スタン自身が、深く、舌で、熱く、応える。
Honey「……はぁ…あっ…」
スタン「…Honey…」
Honeyから漏れだす甘い吐息と乱れる呼吸
囁く声は甘さと危険が絡み合った音色で、
まるで獣が気まぐれに優しさを見せながら、獲物の呼吸の乱れを愉しむよう。
Honeyの髪に指を絡ませ、そっと顔を離す。
その瞳には、研ぎ澄まされた狙撃手の集中と、ただ一人の女を見つめる熱が混在していた。
スタン「……もう一度やってみな。今度は本能で応える番だ」
朝という清廉な時間は、彼女の色香一つで背徳の時へと塗り替えられていた。
スタンの狩猟本能に火を点けたなら――
それは、捕らえられる覚悟が要る。
なぜなら彼は、獲物に慈悲など与えない、容赦なき愛の狩人なのだから。
==スタン視点
スタン「…みゃお…か…」
低く笑う喉奥からの声と、目を細める狩人のような視線。
もう、この一言だけで理性の綱は音もなく切れた。
逃がさない。
スタンはそっとHoneyの手首を取る。
強くない、けれど確かな力で。
そのまま、シーツの海にそっと引き込むように彼女を抱き寄せた。
スタン「可愛すぎる反則じゃんよ。…覚悟しろ、Honey」
何度も確かめるようにキスを落とす。
額に、まぶたに、頬に。
最後にそっと唇を重ねると、彼女の身体がふるりと震えた。
ぴったりと重なる体温。
いつもは抑えていた奥の熱を今日は少しだけ解放する。
それでも、彼女の反応一つひとつを確かめながら、丁寧に、深く。
スタン「…アンタが欲しくて仕方ない朝が、また更新されたな」
途切れ途切れの甘い吐息と指先の震え。
その全てが「嬉しい」と語っていた。
好きのかたちが、目に見えて伝わってくる。
彼女の指が背に回り、スタンの名を呼ぶ声がかすれる。
スタン「…大丈夫、離さねえ。全部、俺が受け止める」
太陽が昇り切っても、甘い熱は収まらない。
まるで夢の続きをなぞるように、何度でも、何度でも。
愛する人を自分の腕に閉じ込めて――
スタン「Honey…世界でいちばん、愛してる」
彼女のまつ毛が小さく揺れ、微笑んだ。
Honey「……ん、私も。もう一回だけ…」
朝の時間が、止まってほしいと思うほど、甘く優しい本能の交わりだった。
本来なら訓練の準備を整え、既に基地へ向かっている時間。
けれど、今は目の前の彼女こそが、すべての優先事項だった。
彼女の指が胸元を掴み、肩を揺らし、時に苦しげに甘える声を上げる。
そのたび、スタンの理性は揺さぶられ、求める熱がさらに深く喉元を焦がしていく。
彼女の背中を抱え、額を重ね、繋がる場所を感じながら囁く。
スタン「もう遅れたついでだ。全部くれてやんよ」
本能のまま、どこまでも彼女を愛した。
何度も、彼女の名を呼びながら。
そして、彼女の奥から返る熱と震え――
それがスタンにとって、最も幸福な返事だった。
やがて――
激しい波が幾度も過ぎ、ようやく落ち着いた空気の中、スタンは息を整えながら、Honeyを優しく包み込むように抱きしめた。
スタン「……悪りな、任務ん時より本気になっちまった」
肩で息をするHoneyの髪を撫で、唇を額にそっと落とす。
Honeyがくすっと笑いながら答えた。
基地の通路を軽く駆け抜けながら、スタンは時間を確認した。
数分の遅れ――普段の彼にとっては絶対に許容しないズレだ。
だが、今日はその足取りに焦りはなく、口元にはうっすら笑みが残っていた。
……猫の鳴き声ひとつで、時間感覚が狂うとはな
今朝のHoneyの柔らかな声、伸びた指先、揺れた髪。
そして――「もう、遅れちゃうもの」なんて言いながらも目が正直で、
熱を宿したままの視線が、自分の理性を破壊してくる。
結局、彼女に捕まったのは自分の方だった。
スタン「……らしくねえな、まったく」
いつも通りに締め直したグローブの内側、指先にはまだ微かに彼女の温もりが残っている気がして、ふと深く息を吐いた。
まぁ、いい。たまにはこういう遅れも悪くない
いつも完璧を求める男が、今日はわずかな誤差すら余韻として受け入れていた。
恋という名の熱に、少しずつ侵食されている自分を、否定しない。
そんな甘い遅れも、彼にとっては訓練以上に価値ある時間だった。
そしてきっちり訓練場に入った時、部下の視線を軽く受け流しながら、
スタンは心の中でだけ呟く。
…この遅れの分、今日の訓練は厳しめでいくぞ。俺自身にもな。
甘さを反芻しながら、冷静な顔で本日の訓練メニューを開始するスタン。
研究棟・Honeyは午前の作業中
顕微鏡のピントを合わせて、資料に記載した数値をデータベースに入力。
…といういつもの手順をこなしているはずなのに、集中力が数秒おきに宙へ浮かぶ。
「……っ、もぉ……スタンのせいだわ」
Honeyはそっと息をついて、バインダーに頬をのせるようにもたれた。
手元には完璧な分析表があるのに、脳内は今朝の彼で上書きされてしまっている。
――朝の寝ぼけた甘い目、触れ合った肌の温度、背中を優しく包んだあの腕、囁き声、熱のこもった唇。
スッと喉が鳴る。
思い出すだけで呼吸が少し浅くなるのは、どういうわけかしら。
「まだスタンの香りが残ってる気がするのよね…」
ぼそっと呟いた自分にハッとして、急いで白衣の裾を整える。
同僚研究員が背後を通り過ぎるだけで、何かバレてしまいそうな気がするから。
タブレット端末の画面には、予定していた治験スケジュールが表示されていた。
午後は訓練場で再びスタンに会える予定。
そのことが、胸の奥にもう一度ドクンと熱を走らせる。
「…もう。午後も気が散りそうだわ…」
苦笑まじりの溜息をつきながら、Honeyはそっと耳に触れた。
今朝、彼の唇がふれた場所――その感覚が、まだほんのり残っている。
そんな愛しい余韻に酔いながらも、手を動かして書類を仕上げるHoney。
彼女の笑みはほんの少し甘くて、そして誰にも見せない特別な色をしていた。
午後、管制エリアに設置されたモニターに、試験機の準備状況が映し出されている。
Honeyは小型ヘッドセットをつけ、タブレット端末を片手に待機していた。
その視線の先。
格納庫から出てきたのは、黒の戦闘訓練スーツを纏ったスタン。
髪を風に揺らしながら、迷いなく一直線に歩いてくるその姿。
まるで今朝の野生を一切隠していないかのような堂々たる風格。
Honeyの喉が、小さく鳴った。
……駄目。仕事に集中しなきゃいけないのに…
なのに、理性の裏側が囁いてくる。
――あの手に、また抱かれたい。
――今朝の続きを、もう一度…。
スタン「…おい、Honey」
その声で現実に引き戻された。
気付けば、スタンが目の前に立っていた。
思わず背筋を伸ばし、少し早口に返す。
Honey「準備、問題なし。搭乗後、コックピット内の右側モニターを一度確認してね。ログ同期が数秒ずれてるから調整しておいたわ」
スタン「了解。…Honey」
Honey「あっ、はい?」
低く、抑えられた声に呼ばれて、顔を向ける。
その瞬間。スタンが、ごく近くまで顔を寄せてきて囁いた。
スタン「今朝の…まだ終わってねぇぞ」
その言葉に、鼓膜が痺れる。
頬が一気に紅潮した。
周りに誰かいないか気にしてしまうのは、今朝の余韻の延長線に、確かな予感があるから。
Honeyは小さく息を呑み、視線を逸らした。
Honey「…もう。スタンったら、訓練前にそういうこと言うなんて…ずるいわ…」
すると彼は、にやりとした余裕のある微笑を浮かべ、背を向ける。
訓練機へと向かうその背中――
Honeyの視線は、気づかないふりをしながらも離せないでいた。
…ほんと、ずるい男だわ。
でも、そのずるさに、どれだけ救われ、どれだけ恋を深めてきたのかも彼女は知っている。
指先でそっとヘッドセットに触れる。
Honey「こちら管制棟Honey、スタン。いってらっしゃい。…無事に戻ってきてね、darling」
遠く離れた空を見上げながら、Honeyの声はどこまでも甘く、そして温かかった。
==スタンside
午前中の訓練で出遅れた分を取り戻すように、足早に格納庫を抜ける。
身体は軽い。いや――妙に熱を帯びてる。
当然だ。あの猫みたいな嫁に、朝からあんな挑発されたら…なぁ?
スーツの襟を整えながら、ふと視線の先――
管制側の端末に向かうHoneyの横顔を見つけた。
白衣の上から伸びる細い指、タブレットを操作する仕草。
Yシャツと黒のタイトスカート、その奥に封じられている朝の余韻が脳裏をチラつく。
…思い出すなってほうが無理だ。
気付けば、視線が彼女の脚線に吸い寄せられていた。
あの足が、今朝、俺の両腰に絡みついて離さなかったのを――俺は、鮮明に思い出してる。
ふざけてんのか、Honey…
わざとらしい無防備さ。無意識に俺を挑発するような色香。
そのくせ、まだ研究モードの顔でキビキビと作業をこなしてる。
――そのギャップに、苛立ちすら覚える。
俺を惹きつけて、すぐに手の届かない距離へ逃げるなんて、まるで小悪魔だ。
俺は歩を進め、彼女の目の前に立つ。
Honeyがこちらを見上げる。
その瞳はまだ昼の顔をしていた。
Honey「準備、問題なし。搭乗後、コックピット内の右側モニターを一度確認してね。ログ同期が数秒ずれてるから調整しておいたわ」
スタン「了解。…Honey」
Honey「はい?」
一歩、距離を詰める。
そのまま、彼女の耳元に顔を寄せ――低く、熱をこもらせて囁いた。
スタン「今朝の…まだ終わってねぇぞ」
途端にHoneyの身体がピクリと硬直し、頬が赤く染まった。
やはり可愛い。
あの猫が、尻尾を立ててじゃれついた後に素に戻る瞬間――あれを捕まえるのが、俺の一番の悦びだ。
Honey「…もう。スタンったら、訓練前にそういうこと言うなんて…ずるいわ…」
ふっと笑って、背を向ける。
返す言葉はない。ただ、俺の中には既に答えがある。
今夜、続きはもらう。
脚を進めながら、背後から聞こえるHoneyの声。
Honey「こちら管制棟Honey、スタン。いってらっしゃい。…無事に戻ってきてね、darling」
そのdarlingの響きに、唇の端が自然と吊り上がる。
エンジン音よりも、彼女の一言のほうが――俺の心を加速させる。
操縦桿を握る指先は、冷静で正確。
けれど――思考の一部は、確実に彼女へ引き寄せられている。
Honey『こちら管制棟Honey、スタン。高度上がりきったらBチームとフォーメーション再構築よ』
いつも通りのプロの声。
でも、俺だけは知っている――その声の奥にある、朝の熱の名残を。
Honey「こちら、α1スタン。了解」
通信越しのやり取りだけで、心が熱を帯びるなんて、昔の俺なら信じられなかった。
俺のすべてを知って、受け止めてくれて、
さらに俺を欲しがってくれる女がそこにいる。
視界の端に地平線が流れる。
アドレナリンの興奮と、恋慕の熱が入り混じる――
空の上でも、俺の一番の帰還先は、Honeyだと痛感する。
スタン「…全ポイントクリア。ターン開始する」
無駄のない動き、緻密な操作。
俺は空を支配する。
でも心の一部だけは、白衣姿で脚を組んで微笑むあの女に奪われていた。
Honey「スタン、お疲れさま。おかえりなさい」
整備エリアに戻った瞬間、制服の上から白衣を羽織ったHoneyが、既に待っていた。
その笑顔は――どこか甘えていて、そして誘っていた。
スタン「ただいま。……良いデータ取れたか?」
Honey「えぇ、とっても。…でも、それよりも――」
Honeyは言葉を切って、視線を上げてくる。
Honey「今日のスタン、いつもよりちょっと荒々しかったわね。飛び方が、どこか…本能的だった」
スタン「……バレてんね」
Honey「ふふっ。バレバレよ、darling」
言いながら近づいてきたHoneyを、人影の少ない搬入口の影に引き寄せた。
Honey「ちょ、スタン?」
彼女の腰を軽く抱き寄せる。
スタン「…朝の続きって言ったろ。
アンタが送り出してくれる声が、機内で頭から離れなかったんよ」
Honey「も…もう。ここ、まだ基地の中よ…?」
スタン「関係ないね。惚れた女に、今すぐ触れたいと思うのに理由なんかいらねぇだろ」
囁くように言って、Honeyの額にキスを落とす。
ふっと緩んだHoneyの肩。
彼女も、俺と同じく――抑えきれない恋慕の中にいるのがわかる。
スタン「今夜、帰ったら?」
Honey「……えぇ。今夜、ちゃんと。続きをしましょ?」
手を離すのが惜しい。
けれど、2人とも任務の顔に戻らなきゃいけないが、その瞬間まで、心は確かに重なっていた。
手を離す瞬間、Honeyがスタンを呼び背のびをしてスタンの唇にチュッとキスをしてサッと元居た整備エリアに戻っていった。
Honeyが背のびをしてスタンに唇を重ねた瞬間――
その一瞬で、スタンの時間が止まった。
不意を突かれた甘いキス。
どこか挑発的で、でも愛しさに満ちたその「チュッ」の音が、耳の奥にまで響いた気がした。
そして、まるで何もなかったかのように、白衣をなびかせ整備エリアに戻っていくHoney。
スタンの手元には残り香と、余韻という名の火種だけが残された。
しばらく無言でその背中を見送っていたスタンは、ふっと目を細め――ニヤリと口元を緩めた。
スタン「……やんじゃん」
低く漏れた声は、完全に恋する男のそれだった。
本能を刺激された瞳は、既に夜の再戦を見据えていた。
けれど、次に彼が口にしたのは意外にも――
スタン「逃がさねぇ。今夜、覚悟しときな…Honey」
スタンの心に灯った炎は、ゆっくりと熱を増していくのだった。
Honey「スタン、おはよう。…ふぁ、まだ眠いわ…スタンはゆっくり眠れた?」
小さなあくびをしたHoney
スタンはHoneyのあくび姿に目を細めて、ゆっくりとした動作で手を伸ばし、彼女の頬にそっと触れた。指先が触れるのは柔らかな朝の体温。
スタン「おはよう、Honey。…あぁ、眠れた。アンタが隣にいると、それだけで安心して眠れっかんね。」
彼は少しだけ体を寄せ、額と額を軽く合わせて、目を閉じたまま低く甘く囁く。
スタン「でも…その寝ぼけ顔も、ちょっと反則だな。可愛すぎて、もう一度ベッドに引き戻したくなんぜ。」
ニッと少し悪戯めいた笑みを浮かべてから、Honeyの頭をそっと撫でた。
スタン「さぁ、ゆっくり起きよう。今日はナースHoneyか和服Honeyか…朝から期待値が高すぎて困んよ。」
それは以前スタンの軍服を着たコスプレ以降、どんなコスプレが見たいのかという冗談話の続きであった。
Honeyが適当にナースや和服は?と持ちかけたのがきっかけだが、案外スタンは事ある毎に話を出してくるので、期待している様だ。
そして最後に、こめかみにひとつキスを落とした。甘く、やさしい朝の始まりだ。
Honey「しないからね、スタン!もう。スタンのエッチ」
スタンはHoneyの頬がほんのり赤く染まっているのを見て、くすっと低く笑った。
スタン「しないって言っておきながら、顔が赤いのは誰なんよ?」
彼はわざとらしく目を細めて、Honeyの肩に片腕を回し、引き寄せる。そのまま耳元に顔を近づけて、囁く。
スタン「エッチって言われるの、悪くねえな。アンタにだけ言われるなら――歓迎だ。」
唇の端がほんのり上がり、いたずらっぽくウインクすると、Honeyの額に軽くキスを落とした。
スタン「安心しな、Honey。今日は見るだけで我慢してやんよ。…たぶんな。」
そして、そのたぶんの言い方が妙に甘くて、Honeyの胸の奥をくすぐってくるのだった。
Honey「もう…恥ずかしいから絶対しないわ。」
Honeyは少し眠そう伸びをした。
その様は、猫の様に。
眠たげに両腕を伸ばして、柔らかくしなるその姿。
まるで朝日に照らされた猫が、陽だまりの中で優雅に背伸びするような――その動きに、スタンの視線は自然と吸い寄せられていた。
細くしなやかなライン、あらわになる首筋、ゆっくりと持ち上がる胸元と、わずかに持ち上がった腰の動き。
日常の何気ない仕草なのに、Honeyがやると――妙に艶っぽい。
スタンは片眉を上げ、腕を組んでじっと見つめる。
その鋭くも熱のこもった眼差しは、まるで任務中にターゲットを定めたスナイパーそのもなでブレがない。
スタン「……絶対しないって言った直後に、それは反則じゃんよ。」
低くくぐもった声で呟き、Honeyの後ろからそっと腕を回して抱き寄せると、耳元に囁いた。
スタン「眠そうな猫も、艶っぽい猫も、全部アンタだけのもんだな。」
Honey「…?猫?」
スタンの掌がHoneyの腰にぴたりと触れ、思わずぴくりと反応する彼女の反応すらも、彼の理性を試してくる。
スタン「…その気にさせるのが上手すぎんよ。どう責任とるんだ、Honey?」
――そう、彼の視線は、獲物を追う本能と、愛しさを噛みしめる男の視線で、熱く、離れなかった。
スタンの熱を持つ視線に捕まったら、逃げられない。
Honeyが照れたように頬を紅潮させながら、視線を逸らすように小さく
――「……みゃお」と鳴いた瞬間。
スタンの中で、何かがブツリと切れた音がした。
ほんの悪戯のつもりだったのだろう。
けれど、その声、その仕草、その可愛さ。
たったひとつの鳴き声が、軍人として培ったあらゆる自制心をあざ笑うように崩し去っていく。
スタン「……それ、わざとか?」
スタンの声はいつもより低く、喉の奥で熱を帯びていた。
唇の端に、いつもよりずっと危うくて、猛獣じみた笑みを浮かべながら、
「へぇ、やんじゃん。逃げ道、なくなったな」と囁き、Honeyの顎をそっと持ち上げる。
スタン「もう一回、みゃおって言っみな。……逃がさねえから。」
言葉とは裏腹に、指先は優しく、けれど確実に彼女の身体を捕らえてくる。
彼の視線はもはや、ハンターそのもの。
その目に映るのは、ただひとつ――今目の前にいる、小悪魔みたいな愛しい獲物だけ。
次の瞬間には、Honeyの首筋に唇を落としながら低く言った。
スタン「今朝は、俺の猫だな。」
Honeyは顔を紅潮させ、恥ずかしくて目をそらす。おふざけ程度だった朝のやり取りが妖艶さを含む
Honey「…だめよ、スタン。遅れちゃうもの」
スタンの指先がHoneyの頬に触れる。
その紅潮を確かめるように、親指でそっとなぞると――彼の眼差しは、もう止まらない。
スタン「……遅れるのは俺のせいか、アンタのせいか。どっちだと思う?」
低く囁く声に、熱が混じる。
Honeyの目線は逸れたまま。
けれどその肩はわずかに震え、スタンの手を押しとどめる力も、まるで入っていなかった。
彼女の唇がかすかに開き、吐息だけが漏れる。
Honey「……スタン……」
小さく、縋るような声。
けれどスタンはそのまま彼女の耳元に唇を寄せ――
スタン「なぁ、Honey。どこまでがふざけで、どこからが本気か……ちゃんと、教えてくんね?」
その声は甘く、けれど狙いを定めた銃のように鋭い。
彼の手はまだ優しいままだが、目の奥に灯る情熱は、朝という時間帯を忘れさせるほど濃くて熱い。
Honeyが視線を戻したその瞬間、スタンは満足そうに微笑み――
スタン「……ギリギリまでふざけてやんよ。遅刻しても責任は俺がとる。いいだろ、Mrs. Snyder?」
そして、どこまでも真剣な眼差しで、彼女の額にそっとキスを落とした。
そのキスには逃がさないの意志と、誰より大切にするの誓いが、確かに込められていた。
スタンの逃がさないと言わんばかりの熱い視線に、Honeyの身体も反応していて…スタンを見上げる瞳には朝からダメという思いとスタンがほしいと思う熱で揺れていたが、小さく「…みゃお」と鳴いた。
その一声――たったそれだけの、甘えてすり寄るような声音に、スタンの理性のひずみがピキ、と小さく軋んだ。
彼はHoneyをじっと見下ろしながら、ほんの一拍、呼吸を止める。
まるで、銃の引き金にかけた指を止めているかのように。
けれど、Honeyのその瞳――
朝の光を受けながら潤み、迷いと欲望の間で揺れる瞳は、
スタンの中の軍人ではなく、男を容赦なく引きずり出す。
スタン「……Honey」
低く、かすれるような声が喉奥から漏れた。
そして次の瞬間、彼は彼女の手首をそっと取り、壁際に導いて押し寄せた。
強引ではない、けれど逃げ道を絶つような動き。
Honeyの身体が壁に背中を預けた瞬間、スタンの額が彼女の額に触れる。
スタン「朝から、そんな声出しといて何もしないなんて……アンタ、俺に我慢って言葉を教えたこと、後悔させたいん?」
彼の瞳は真っ直ぐHoneyの奥を射抜いていた。
片腕で彼女をかばうように壁を支え、もう一方の手はHoneyの頬に添えられ、優しくも熱を帯びた親指がその唇の端をなぞうとする。
スタン「……このまま、朝から可愛い猫を味わうのも悪くねぇな」
囁きながら、そっと唇がHoneyの耳の下をかすめた。
甘いゾクリとした痺れが走る場所を、狙い澄ましたように。
けれど――
スタン「……どうする?」
問いかけの声には、意図的な余白が残されていた。
彼女が選ぶ余地だけは、いつだって残しておく。それが、スタンの矜持だった。
だがその視線は、まぎれもなく本気――
「逃がす気など、最初からない」と物語っていた。
スタンの狩猟本能に火をつけてしまったHoney…その色香にクラクラする。
朝からの背徳感とスタンが好きな気持ちが溢れて止まらない狭間で…言葉の代わりにHoneyはスタンの耳元をペロッと小さく舐めた。
その一瞬の熱――
耳元に走る、微かな濡れた感触。
スタン「……ッ!」
スタンの全身に、まるで雷撃のような衝撃が走った。
Honeyの舌が、彼の耳朶をほんの一撫でしただけ。
たったそれだけの挑発に、彼の狩人としての本能が火花を散らす。
スタン「Honey……」
低く唸るような声。
その声音には、もはや朝という時間も、訓練という予定も、すべてどうでもよくなるほどの危うさが滲んでいた。
逃げようとする隙間も、余地も与えない。
スタンの両腕は瞬時にHoneyの身体を更に包み込み、もう一歩も引かせない距離に引き寄せる。
彼の片腕が腰を抱き上げ、軽々と持ち上げると、Honeyの背は壁にぴたりと預けられた。
そしてその耳に、先ほどHoneyが舐めた場所へ――
今度は、スタン自身が、深く、舌で、熱く、応える。
Honey「……はぁ…あっ…」
スタン「…Honey…」
Honeyから漏れだす甘い吐息と乱れる呼吸
囁く声は甘さと危険が絡み合った音色で、
まるで獣が気まぐれに優しさを見せながら、獲物の呼吸の乱れを愉しむよう。
Honeyの髪に指を絡ませ、そっと顔を離す。
その瞳には、研ぎ澄まされた狙撃手の集中と、ただ一人の女を見つめる熱が混在していた。
スタン「……もう一度やってみな。今度は本能で応える番だ」
朝という清廉な時間は、彼女の色香一つで背徳の時へと塗り替えられていた。
スタンの狩猟本能に火を点けたなら――
それは、捕らえられる覚悟が要る。
なぜなら彼は、獲物に慈悲など与えない、容赦なき愛の狩人なのだから。
==スタン視点
スタン「…みゃお…か…」
低く笑う喉奥からの声と、目を細める狩人のような視線。
もう、この一言だけで理性の綱は音もなく切れた。
逃がさない。
スタンはそっとHoneyの手首を取る。
強くない、けれど確かな力で。
そのまま、シーツの海にそっと引き込むように彼女を抱き寄せた。
スタン「可愛すぎる反則じゃんよ。…覚悟しろ、Honey」
何度も確かめるようにキスを落とす。
額に、まぶたに、頬に。
最後にそっと唇を重ねると、彼女の身体がふるりと震えた。
ぴったりと重なる体温。
いつもは抑えていた奥の熱を今日は少しだけ解放する。
それでも、彼女の反応一つひとつを確かめながら、丁寧に、深く。
スタン「…アンタが欲しくて仕方ない朝が、また更新されたな」
途切れ途切れの甘い吐息と指先の震え。
その全てが「嬉しい」と語っていた。
好きのかたちが、目に見えて伝わってくる。
彼女の指が背に回り、スタンの名を呼ぶ声がかすれる。
スタン「…大丈夫、離さねえ。全部、俺が受け止める」
太陽が昇り切っても、甘い熱は収まらない。
まるで夢の続きをなぞるように、何度でも、何度でも。
愛する人を自分の腕に閉じ込めて――
スタン「Honey…世界でいちばん、愛してる」
彼女のまつ毛が小さく揺れ、微笑んだ。
Honey「……ん、私も。もう一回だけ…」
朝の時間が、止まってほしいと思うほど、甘く優しい本能の交わりだった。
本来なら訓練の準備を整え、既に基地へ向かっている時間。
けれど、今は目の前の彼女こそが、すべての優先事項だった。
彼女の指が胸元を掴み、肩を揺らし、時に苦しげに甘える声を上げる。
そのたび、スタンの理性は揺さぶられ、求める熱がさらに深く喉元を焦がしていく。
彼女の背中を抱え、額を重ね、繋がる場所を感じながら囁く。
スタン「もう遅れたついでだ。全部くれてやんよ」
本能のまま、どこまでも彼女を愛した。
何度も、彼女の名を呼びながら。
そして、彼女の奥から返る熱と震え――
それがスタンにとって、最も幸福な返事だった。
やがて――
激しい波が幾度も過ぎ、ようやく落ち着いた空気の中、スタンは息を整えながら、Honeyを優しく包み込むように抱きしめた。
スタン「……悪りな、任務ん時より本気になっちまった」
肩で息をするHoneyの髪を撫で、唇を額にそっと落とす。
Honeyがくすっと笑いながら答えた。
基地の通路を軽く駆け抜けながら、スタンは時間を確認した。
数分の遅れ――普段の彼にとっては絶対に許容しないズレだ。
だが、今日はその足取りに焦りはなく、口元にはうっすら笑みが残っていた。
……猫の鳴き声ひとつで、時間感覚が狂うとはな
今朝のHoneyの柔らかな声、伸びた指先、揺れた髪。
そして――「もう、遅れちゃうもの」なんて言いながらも目が正直で、
熱を宿したままの視線が、自分の理性を破壊してくる。
結局、彼女に捕まったのは自分の方だった。
スタン「……らしくねえな、まったく」
いつも通りに締め直したグローブの内側、指先にはまだ微かに彼女の温もりが残っている気がして、ふと深く息を吐いた。
まぁ、いい。たまにはこういう遅れも悪くない
いつも完璧を求める男が、今日はわずかな誤差すら余韻として受け入れていた。
恋という名の熱に、少しずつ侵食されている自分を、否定しない。
そんな甘い遅れも、彼にとっては訓練以上に価値ある時間だった。
そしてきっちり訓練場に入った時、部下の視線を軽く受け流しながら、
スタンは心の中でだけ呟く。
…この遅れの分、今日の訓練は厳しめでいくぞ。俺自身にもな。
甘さを反芻しながら、冷静な顔で本日の訓練メニューを開始するスタン。
研究棟・Honeyは午前の作業中
顕微鏡のピントを合わせて、資料に記載した数値をデータベースに入力。
…といういつもの手順をこなしているはずなのに、集中力が数秒おきに宙へ浮かぶ。
「……っ、もぉ……スタンのせいだわ」
Honeyはそっと息をついて、バインダーに頬をのせるようにもたれた。
手元には完璧な分析表があるのに、脳内は今朝の彼で上書きされてしまっている。
――朝の寝ぼけた甘い目、触れ合った肌の温度、背中を優しく包んだあの腕、囁き声、熱のこもった唇。
スッと喉が鳴る。
思い出すだけで呼吸が少し浅くなるのは、どういうわけかしら。
「まだスタンの香りが残ってる気がするのよね…」
ぼそっと呟いた自分にハッとして、急いで白衣の裾を整える。
同僚研究員が背後を通り過ぎるだけで、何かバレてしまいそうな気がするから。
タブレット端末の画面には、予定していた治験スケジュールが表示されていた。
午後は訓練場で再びスタンに会える予定。
そのことが、胸の奥にもう一度ドクンと熱を走らせる。
「…もう。午後も気が散りそうだわ…」
苦笑まじりの溜息をつきながら、Honeyはそっと耳に触れた。
今朝、彼の唇がふれた場所――その感覚が、まだほんのり残っている。
そんな愛しい余韻に酔いながらも、手を動かして書類を仕上げるHoney。
彼女の笑みはほんの少し甘くて、そして誰にも見せない特別な色をしていた。
午後、管制エリアに設置されたモニターに、試験機の準備状況が映し出されている。
Honeyは小型ヘッドセットをつけ、タブレット端末を片手に待機していた。
その視線の先。
格納庫から出てきたのは、黒の戦闘訓練スーツを纏ったスタン。
髪を風に揺らしながら、迷いなく一直線に歩いてくるその姿。
まるで今朝の野生を一切隠していないかのような堂々たる風格。
Honeyの喉が、小さく鳴った。
……駄目。仕事に集中しなきゃいけないのに…
なのに、理性の裏側が囁いてくる。
――あの手に、また抱かれたい。
――今朝の続きを、もう一度…。
スタン「…おい、Honey」
その声で現実に引き戻された。
気付けば、スタンが目の前に立っていた。
思わず背筋を伸ばし、少し早口に返す。
Honey「準備、問題なし。搭乗後、コックピット内の右側モニターを一度確認してね。ログ同期が数秒ずれてるから調整しておいたわ」
スタン「了解。…Honey」
Honey「あっ、はい?」
低く、抑えられた声に呼ばれて、顔を向ける。
その瞬間。スタンが、ごく近くまで顔を寄せてきて囁いた。
スタン「今朝の…まだ終わってねぇぞ」
その言葉に、鼓膜が痺れる。
頬が一気に紅潮した。
周りに誰かいないか気にしてしまうのは、今朝の余韻の延長線に、確かな予感があるから。
Honeyは小さく息を呑み、視線を逸らした。
Honey「…もう。スタンったら、訓練前にそういうこと言うなんて…ずるいわ…」
すると彼は、にやりとした余裕のある微笑を浮かべ、背を向ける。
訓練機へと向かうその背中――
Honeyの視線は、気づかないふりをしながらも離せないでいた。
…ほんと、ずるい男だわ。
でも、そのずるさに、どれだけ救われ、どれだけ恋を深めてきたのかも彼女は知っている。
指先でそっとヘッドセットに触れる。
Honey「こちら管制棟Honey、スタン。いってらっしゃい。…無事に戻ってきてね、darling」
遠く離れた空を見上げながら、Honeyの声はどこまでも甘く、そして温かかった。
==スタンside
午前中の訓練で出遅れた分を取り戻すように、足早に格納庫を抜ける。
身体は軽い。いや――妙に熱を帯びてる。
当然だ。あの猫みたいな嫁に、朝からあんな挑発されたら…なぁ?
スーツの襟を整えながら、ふと視線の先――
管制側の端末に向かうHoneyの横顔を見つけた。
白衣の上から伸びる細い指、タブレットを操作する仕草。
Yシャツと黒のタイトスカート、その奥に封じられている朝の余韻が脳裏をチラつく。
…思い出すなってほうが無理だ。
気付けば、視線が彼女の脚線に吸い寄せられていた。
あの足が、今朝、俺の両腰に絡みついて離さなかったのを――俺は、鮮明に思い出してる。
ふざけてんのか、Honey…
わざとらしい無防備さ。無意識に俺を挑発するような色香。
そのくせ、まだ研究モードの顔でキビキビと作業をこなしてる。
――そのギャップに、苛立ちすら覚える。
俺を惹きつけて、すぐに手の届かない距離へ逃げるなんて、まるで小悪魔だ。
俺は歩を進め、彼女の目の前に立つ。
Honeyがこちらを見上げる。
その瞳はまだ昼の顔をしていた。
Honey「準備、問題なし。搭乗後、コックピット内の右側モニターを一度確認してね。ログ同期が数秒ずれてるから調整しておいたわ」
スタン「了解。…Honey」
Honey「はい?」
一歩、距離を詰める。
そのまま、彼女の耳元に顔を寄せ――低く、熱をこもらせて囁いた。
スタン「今朝の…まだ終わってねぇぞ」
途端にHoneyの身体がピクリと硬直し、頬が赤く染まった。
やはり可愛い。
あの猫が、尻尾を立ててじゃれついた後に素に戻る瞬間――あれを捕まえるのが、俺の一番の悦びだ。
Honey「…もう。スタンったら、訓練前にそういうこと言うなんて…ずるいわ…」
ふっと笑って、背を向ける。
返す言葉はない。ただ、俺の中には既に答えがある。
今夜、続きはもらう。
脚を進めながら、背後から聞こえるHoneyの声。
Honey「こちら管制棟Honey、スタン。いってらっしゃい。…無事に戻ってきてね、darling」
そのdarlingの響きに、唇の端が自然と吊り上がる。
エンジン音よりも、彼女の一言のほうが――俺の心を加速させる。
操縦桿を握る指先は、冷静で正確。
けれど――思考の一部は、確実に彼女へ引き寄せられている。
Honey『こちら管制棟Honey、スタン。高度上がりきったらBチームとフォーメーション再構築よ』
いつも通りのプロの声。
でも、俺だけは知っている――その声の奥にある、朝の熱の名残を。
Honey「こちら、α1スタン。了解」
通信越しのやり取りだけで、心が熱を帯びるなんて、昔の俺なら信じられなかった。
俺のすべてを知って、受け止めてくれて、
さらに俺を欲しがってくれる女がそこにいる。
視界の端に地平線が流れる。
アドレナリンの興奮と、恋慕の熱が入り混じる――
空の上でも、俺の一番の帰還先は、Honeyだと痛感する。
スタン「…全ポイントクリア。ターン開始する」
無駄のない動き、緻密な操作。
俺は空を支配する。
でも心の一部だけは、白衣姿で脚を組んで微笑むあの女に奪われていた。
Honey「スタン、お疲れさま。おかえりなさい」
整備エリアに戻った瞬間、制服の上から白衣を羽織ったHoneyが、既に待っていた。
その笑顔は――どこか甘えていて、そして誘っていた。
スタン「ただいま。……良いデータ取れたか?」
Honey「えぇ、とっても。…でも、それよりも――」
Honeyは言葉を切って、視線を上げてくる。
Honey「今日のスタン、いつもよりちょっと荒々しかったわね。飛び方が、どこか…本能的だった」
スタン「……バレてんね」
Honey「ふふっ。バレバレよ、darling」
言いながら近づいてきたHoneyを、人影の少ない搬入口の影に引き寄せた。
Honey「ちょ、スタン?」
彼女の腰を軽く抱き寄せる。
スタン「…朝の続きって言ったろ。
アンタが送り出してくれる声が、機内で頭から離れなかったんよ」
Honey「も…もう。ここ、まだ基地の中よ…?」
スタン「関係ないね。惚れた女に、今すぐ触れたいと思うのに理由なんかいらねぇだろ」
囁くように言って、Honeyの額にキスを落とす。
ふっと緩んだHoneyの肩。
彼女も、俺と同じく――抑えきれない恋慕の中にいるのがわかる。
スタン「今夜、帰ったら?」
Honey「……えぇ。今夜、ちゃんと。続きをしましょ?」
手を離すのが惜しい。
けれど、2人とも任務の顔に戻らなきゃいけないが、その瞬間まで、心は確かに重なっていた。
手を離す瞬間、Honeyがスタンを呼び背のびをしてスタンの唇にチュッとキスをしてサッと元居た整備エリアに戻っていった。
Honeyが背のびをしてスタンに唇を重ねた瞬間――
その一瞬で、スタンの時間が止まった。
不意を突かれた甘いキス。
どこか挑発的で、でも愛しさに満ちたその「チュッ」の音が、耳の奥にまで響いた気がした。
そして、まるで何もなかったかのように、白衣をなびかせ整備エリアに戻っていくHoney。
スタンの手元には残り香と、余韻という名の火種だけが残された。
しばらく無言でその背中を見送っていたスタンは、ふっと目を細め――ニヤリと口元を緩めた。
スタン「……やんじゃん」
低く漏れた声は、完全に恋する男のそれだった。
本能を刺激された瞳は、既に夜の再戦を見据えていた。
けれど、次に彼が口にしたのは意外にも――
スタン「逃がさねぇ。今夜、覚悟しときな…Honey」
スタンの心に灯った炎は、ゆっくりと熱を増していくのだった。