episode23 クリスマス

まだ着かない距離に不安が頂点に昇る。

疲れちゃったな。

見慣れない景色が余計に不安をあおる。

充電が切れそうな携帯。

暗くなる辺り。

前にもあったな、こんなこと。

てっちゃんから電話が鳴る。

『河南?どこにおるん?』

目につくお店を口に並べる。

『もう少しやから
迎えに行くから』

「うん」

辺りはクリスマスムードもない静かな場所。

ここは丘なのかな。

キレイなイルミネーションは
少し下に見える。

かじかんだ手はもう感覚がない。

『河南!』

向こうからする声はユキ。

「ユキ・・・」

ユキと密着すると
頭をコツンとされた。

『迎えに行くって言ったのに』

「だって」

荷物を有無も言わさず持って
冷たい手を握って
歩き出したユキに
不安だった気持ちが軽くなった。

「ごめんね」

すると私の大好きなユキの笑顔。

マンションに着く。

『心配したんよ』

「ごめんね」

てっちゃんの温かい手が
私の冷えた顔を包んだ。

私の大好きなてっちゃんの笑顔。

部屋の奥から出てきたhyde。

『女の子は冷やしたらあかんよ』

そっと抱き締めてくれる。

もう限界だった。

hydeの胸の中で声を出して泣いた。
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