episode23 クリスマス

自宅には大きなクリスマスツリー。

てっちゃんが張り切って
四週間前に用意したのを
みんなで飾りつけた。

毎週日曜日になると
誰かがクリスマスプレゼントをツリーの下に置いて
当日には雪崩が起きるかのように積まれていた。

まだ小さい河南をあやしながらの準備は簡単にはいかなくて
でもそれぞれに役割を決めた。

ただいまと先に帰宅したのはhyde。

自身のクリスマスソングを鼻歌で歌いながら
シャンパンを冷し始めた。

とてとてとする足音に振り向く。

1人で歩き始めたばかりの姫の姿を見て
絶句している。

hydeの垂れた目が
さらに溶けるような顔つき。

声にならないまま抱き上げると
姫の頬にキスを落とした。

h『食べてしまいたいわぁ』

hydeが姫と遊んでいると
ただいまと
てっちゃんが帰宅した。

t『買ってきたでぇ』

大きな袋から
温かないい匂いをさせて
チキンの丸焼きがテーブルに乗せられた。

hydeと姫の笑い声に反応して
そちらを向くと
hyde同様に絶句した。

t『何なんこれ?!』

hydeから姫を奪うと
むぎゅっと抱き締めた。

あらかた準備も終わると
ユキがケーキを持って帰宅した。

y『ただいま。あれ姫は?』

見当たらない我が子を探す。

h『ユッキーこっち』

hydeが呼ぶ方向に行くと
てっちゃんに隠されるようにいる姫を見つけて
二人同様に絶句していた。

我が家の姫は
可愛いサンタクロースの格好をして愛想を振りまいていたのだ。

それにパパ達が反応していた。

目に入れても痛くない姫を
三人のパパ達が取り合っている。

そしてママに逃げてくる。

「『merryChristmas!』」

姫を囲んでグラスを鳴らす。

すると何処からともなく
merryChristmasと掛け声がする。

Kenトナカイと
KAZサンタが来た。

それを見た我が家の姫は
あまりにもリアル過ぎるその姿に
絶句して泣き出す。

笑い声と泣き声が響くリビングは幸せのかたまり。

姫の反撃は
トナカイに股がり
お馬さんをさせて
サンタのゴムのヒゲを引っ張り離しては泣かせていた。
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