episode22 絆

その夜からだった。

最初はhydeが
次にyukihiroが
tetsuyaまでもが
真っ直ぐ帰って来なくなったのは。

気付けば
バラバラになっていた。

それでも
河南は待ち続けた。

食べて貰えない食事。

増えない洗濯物。

一人では大きすぎる家。

もう気力さえなくなっていた。

河南は決心し
三人にメールを入れると
幸せをもらった家を後にした。

tetsuyaへは
自分のせいで戸籍が汚れたことを詫びたメール。

hydeとyukihiroへは
自分がいなくなるから
ラルクとしてバラバラにならないように願ったメール。

それを見た三人が帰宅すると
テーブルの上には離婚届と指輪がみっつ並べられていた。

三人は戻ってきた。

ただ一人、愛した人を除いては…

河南がいなくなってから
めまぐるしい忙しさが落ち着き
河南がいない家が寂しいと思うのが日課。

戻ってこないかもしれない人は
今もまだ愛され続けている。

三人が再び集まったあの日
河南が作り置いて行った食事をした。

『俺たち逃げたんよね』

hydeの発言に言葉が詰まったtetsuyaとyukihiro。

『甘えてたのは僕たち』

yukihiroの一言に想うのは河南のこと。

こうやって待っていてくれたことに感謝を覚えた。

そう…
河南をこんな風にしてしまったのは
自分たちのせいなのだと
三人は自責にかられる。

それでも愛したことは
過去ではなく
今もちゃんと愛していると言えると確信していた。

その日を思い出している一年後。

河南の分を用意した食事を三人で囲んでいる。

すると突然yukihiroが
二人に黙っていたことを話た。

『この間、見かけたんだ…河南』

赤ちゃんをベビーカーに乗せてた河南を見かけたyukihiro。

怖くて声をかけられなかったことを悔やんだ。

『再婚したんやろか…』

hydeの疑問をかき消したのはtetsuya。

『俺…離婚届出してへん』

食事の手が止まったのは誰でもない三人。

そして悟った。

三人の誰かの子供なのだと。

yukihiroはもう一度確かめるため
河南を見かけた場所に幾度となく通った。

三人で協力したが見当たらない。

仕事柄、毎日見張ることも出来ずに探偵を雇った。

連絡を待つこと1ヶ月
tetsuyaに連絡が入った。

言われた場所に行くと
変わらない河南と赤ちゃんの姿。

すぐには声をかけられなくて
時が止まったかのよう。

『河南…』

tetsuyaの声に反応した河南もまた時が止まったかのように
身動き出来なかった。

『赤ちゃん…かわええな』

視線を逸らした河南は
ただ黙ったまま。

tetsuyaも一言しか発せない。

ただ時間だけが過ぎ
しびれを切らしたのは赤ちゃんだった。

あやす河南に
tetsuyaは母の顔を見た。
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