「ユキがね…」

河南がドア越しに話始めた。

ユキがね…。
笑うんだよ。

歌番組で笑うユキって
あまり見られないでしょ。

いつも私の隣にいてくれる
ユキの笑顔も大好きだけど
テレビの中で
また別のユキに会えるのが
嬉しくて。

俺…。

河南にこんなこと言わせたかったわけじゃないのに。

だけど
kenくんだけを見てたわけじゃなくて
ホッとした気もする。

何やってるんだ俺。

同じメンバーに
勝手に嫉妬したりして
かっこ悪い。

大人げないな。

そう思ったら
河南の顔が見たくなって
ドアを開けた。

すると河南から抱きついてきた。

先、越された。

河南が耳元で言った。

最近の中では
あの番組が一番だったの。

ユキが映る回数。

…数えてるの？

たぶん俺
今、耳まで赤いと思う。

日頃、冷静な河南が
夜な夜な俺がテレビに映る回数を
数えていたなんて。

可愛い奴。

河南からは見えないだろうけど
にやけてると実感している。

「ねぇユキ…」

『ん？』

「キスしていい？」

大好き。

キスの途中に河南が何度も言う。

やっぱり
河南が俺の虜じゃなくて
tetsuyaくん
hydeくん
俺が河南に転がされてるんだな。

まあいいや。

河南が心地いいから。

何度も離れては
何度もつなぎ合う
このキスが河南となら
俺はずっと
河南のそばにいる。

翌日のスタジオで
kenの後ろから声をかけたyukihiro。

今までkenに対して冷たかったyukihiroが
いきなり笑顔で現れた。

『kenくん、ごめんね』

そう言われたkenが
理由を訪ねたら
kenくんが格好いいから悪いんだと言われたそうです。