episode14 勝ち組

当日、河南には内緒で
仕事だからと三人で家を出た。

河南は実家に顔を出してから
友人と会場に向かった。

「行ってきて」

そう友人に告げたのは河南。

私の隣にいなくていいから
みんなとの時間を楽しんで。

友人の周りには自然に友達が集まる。

羨ましいけど
私には無理だからって
壁にもたれかかる河南を
tetsuya、yukihiro、hydeが目にして傷付いた。

俺たちの河南は笑顔も
優しさもちゃんとあるのに
何でって。

様子を伺うと
話かけるのは決まって男子。

モテる河南に嫉妬している女子の姿があるんだと
そう感じた三人。

余興の演奏が始まる。

それぞれの思い。

ギターは河南の古い友人。

ボーカルは河南の初恋の相手。

ベースは河南の元カレ。

夢中になる会場が
アンコールを告げると
ラルクがステージに立った。

わぁっと熱くなるのを感じたkenを横目に
闘志を燃やすtetsuya、yukihiro、hyde。

《自由への招待》
《killing Me》
《Link》
《TRUST》
を披露した。

誰もがラルクに夢中になり、
それぞれの名前を呼ぶ女子達。

手を伸ばす女子を横目に
鼻で笑うhyde。

『河南、おいで』

手招きをするtetsuya。

ステージに上がる河南を
誰もが羨ましそうに
不思議に見ていた。

戸惑う河南を抱きしめたtetsuya。

『悪いけど、俺のカミさんやねん』

tetsuyaの一言に
ざわめく会場。

『河南な、てっちゃんの奥さんやねん。やからイジメんといて』

hydeの冷め切った視線が
女子たちに捧げられる。

後悔させてやる。

河南を苛めた罰や。

tetsuyaから奪うように河南を抱きしめたhyde。

悲鳴と罵声が飛び交う中
そのままステージ裏へと消えた。

緊張していた河南の顔が
驚きに変わる。

「なんでっ」

t『同窓会って自慢の集まりやねん 』

h『だったら自慢しとかな』

y『大丈夫。守るから』

k『俺は付き添い(笑)』

ラルクのみんなが心強くて
大好き。

《READY STEADY GO》
《STAY AWAY》
をアンコールしたら
みんなに囲まれて
笑顔を取り戻した河南がいた。

俺らにとって河南は勝ち組なんよ?

だから
自分に自信を持って。

河南を苛める奴がいたら
俺らが守るから。
3/3ページ
スキ