episode13 真夜中の吸血鬼

『もう少しで帰るから』

「本当に?」

 ―本当だよ―
 ―だから泣かないで―
 ―俺の河南―

『愛してる』

私も愛してる。

だから帰ってきたら
一番に私の所へ来てね。

一番にキスしてね。

数日後
海外ツアーから帰って来たhydeは
真夜中の河南の部屋へ忍び込む。

『ただいま』

携帯を握りしめたまま眠る河南の唇に
約束のキスを落とす。

おかえりと言ってはくれない眠り姫。

大事そうなその携帯には
hydeの写真が写っている。

サイドボードに携帯を置くと
hydeは河南の顔に涙の跡を見た。

そのままベッドへ滑り込む。

久しぶりに抱きしめた
その華奢な体。

折れないように
大切に抱きしめると
その温もりに目を覚ます。

王子様のキスで目覚めたお姫様は
微笑みながら言った。

「おかえり」

寂しさも
涙も
君を壊す要素は
全て俺が吸い上げてあげる。

そう言った王子様は
吸血鬼に変身して
お姫様を襲った。

首もとに残る痕は
永遠の愛の証。

 ―お前はもう俺から離れられない―
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