episode13 真夜中の吸血鬼

見慣れない番号。

「はい…」

知らない人だったら嫌だから
いつもより低めのトーン。

『もしもし俺』

「はい…ど?」

そう電話の向こうの声は
今、一番愛おしいhyde。

国際電話の番号だった。

『みんな元気か?』

いつもは笑って応えるのに
今は何も言えない。

『河南?』

声が出ない。
振り絞る。

「本当に…hyde?」

『何言って…』

はははと笑いながら言ったhydeが止まった。

電話口で泣いている河南に気づく。

『泣くな…』

hydeも切ない声になる。

hydeがいないと不安だよ。
早く会いたい。

寂しいよ。

泣きながら
嗚咽しながら
崩れ落ちながら
思わずぶつけてしまった本音。

今までも何度も離れていたことはあるのに
いつだってまめに連絡をくれるのはhyde。

奥さんなのに不甲斐ないって思うけど
hydeの優しさに甘えているからなのかな。

てっちゃんもユキもいて
hydeがいない状況に
逆に耐えられない。

三人がいないなら仕方ないし
三人がいるから笑えるのに
一人が欠けるのは
どうしようもない喪失感がある。
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