episode10 月夜

時計の針は日付を変えていて
大きなソファーで
毛布にくるまって帰りを待つ。

いつの間にか眠ってしまったよう。

hydeが帰宅すると
ソファーで小さくなった姿を見つけて
眠る河南の髪を撫でた。

よく知っているテーブルの上のDVDケース。

トップメニューを映し出しているテレビの電源を切り
河南を起こして言った。

『ただいま、イブ』

半分眠ったままの私は
微笑み返す。

hydeの首に腕を回しながら言ったんだ。

「アダム、おかえり」

あの映画のアダムとイブは悲恋だけど…

お姫様抱っこでhydeに運ばれる。

部屋を通りすぎた。

「どこ行くの?」

『俺のベッドで寝ときって言うたやん』

夢と現実を交差させる。

私だけのアダムがいる。

hydeの首もとに顔をうずめて言った。

「大好き」

静かに下ろされると
そのまま抱かれた。
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