レーズンバター(hyde)

彼女と交わした小さな乾杯を思い出すと
自然に手が動き作詞も順調にすすんだ。

愛おしい彼女を想う歌が出来上がった。

さっそくレコーディングに入ると
歌い上げる気持ちはBARにいるような錯覚に落ちる。

女はというと
デザインの締め切りを経て
パターンに上げた服が完成間近だ。

つい彼を思った服のデザインを描いてしまうが
ここは量販店だからそうもいかない。

彼がいつも身に着けている洋服は
どれも彼自身のようで
アクセサリーからしても
けして安いとは言えないブランド物なのに
さらりと着こなしているのが印象深い。

仕事にまでお互いの存在が入り込むほど
彼、彼女…
いやhydeと河南はすでに恋に落ちているのだろうか。

レコーディングも終え
あとは仕上げを待つのみ。

缶詰めだった日々もようやく落ち着きを取り戻し
hydeは帰宅途中の車の中で
ため息混じりの背伸びをしながら
タバコに火を付けた。

この信号を曲がれば自宅マンション。
ふとOWLを見ると彼女が店のドアを開けるのを見つけた。
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